2022年6月8日~9日 杉並区立桃井第五小学校5年生 富士移動教室 山中湖「ネイチャーラリー」「明神山登山」
梅雨入りしたばかりの6月8、9日、杉並区立桃井第五小学校5年生たちの、ネイチャーラリーと登山をサポートいたしました。朝から雨がパラつく天候にスタッフ一同ハラハラしましたが、子どもたちが到着するころには雨はやみ、無事に二日間、野外活動を行うことができました。
一日目の「ネイチャーラリー」は山中湖畔の「文学の森広場」で行いました。「ネイチャーラリーは、便利な現代の暮らしから、原始の生活に戻る体験をします!」とスタッフの田中が説明すると、「原始って?」「何をするの?」と、期待高まる子どもたち。8つのポイントをグループ単位で巡り、点数を獲得していく体験活動です。競技の中身は、ふだん意識することがない五感をフル活用して行います。
五感の中で視覚が試されるのが“カモフラージュ”。自然の中から人工物を探しました。逆に視覚を閉ざし行うのが“目かくしトレイル”。目隠しをしてロープだけを頼りにゴールまで進むポイントでしたが、足裏の感覚を使いながら慎重に進むことができました。現代はなんでもそろうコンビニエンスストアなどがありますが、原始の時代では自ら食べものを選び、獲物を見つけ捕えなければなりません。“食べられる植物を探せ”では、8つの植物が並べられ、おいしそうと思う植物を選び、“ハンター”ではパチンコで獲物への的中率を競いました。
「どんなことをするのか分からなかったけど、すごく楽しかった!」という感想が多く、特に“火起こし”は大喜びしでした。湿った天気にも関わらず、ほぼ全員が火をおこすことができました。
「ハラハラしたけど、“ロープ渡り”が面白かった!」と、ロープ上を歩いてバランス力を試すポイントも人気でした。8つのポイントは3回まで挑戦できますが、1回目より2回目、2回目より3回目と点数を伸ばしていくチームが多く、一丸となって取組んだ証しです。ラリーが終わったあとのキラキラした目は、充実した活動を物語っていました。
翌日は、「明神山登山」を行いました。山中湖を取り巻くように丹沢山系の山々が連なっていて明神山はそのひとつです。丹沢山系は約500万年前にできた山で、眺望する富士山は1万年前に誕生した新しい山で、山の成り立ちの違いを体験することができます。
はじめはゆっくり平地を歩きながら、ゴマキやサンショウなどの葉を摘んで香りを楽しみました。ぬかるんだ場所ではイノシシの足跡も見られました。また別の所ではシカの足跡も多数確認出来ました。昨日のネイチャーラリーでは印刷物での「動物の足跡探し」でしたが、この日は本物を目にすることができました。動物の痕跡をフィールドサインといい、狩猟をするときには獲物の居場所を見定めるために足跡、フン、食べ物のあと、などが貴重な情報源となります。本物のフィールドサインを見て子どもたちはすっかりハンター気分になれました。
昨日のネイチャーラリーで出題された植物探しの山草も見ることができました。マムシグサやトリカブトは山道でたくさん見つかります。“これは食べられますか?”と質問してみると、「食べられる!」と回答した子どもに「ダメだよ~~~」と叫んだ子がいて、再度、毒があることを子ども同士で教え合いました。シカの骨や、イノシシのフンも見つけ、動物がこの付近にいることを確認できました。また、ブナの実を探したり、キクラゲ(キノコ)に触れてみたり、その他色々な自然観察を楽しみながらゆっくり登っていきました。
休みをはさみながら、平坦なところも 登りも、なるべくペースを変えず、一歩一歩確実に進んでいきました。途中にはフジの紫の花、ヤブウツギやヤマツツジの赤い花、ツクバネウツギの白い花が彩っていました。バイケイソウの群落を過ぎると、いよいよ頂上が近づいてきます。休憩中に友達のザックを持ってあげるなど、協力しながら、励まし合いながら頂上を目指しました。
「頂上ついたらお弁当!」「山登りが終わったあとはソフトクリーム!」と唱えながら、苦しい山道を登り切りました。頂上では、雲の切れ目から山中湖を見下ろすことができました。「苦しかったけど、登山は楽しい!」「頂上についたら、こんなにうれしいのだと思いました!」とうれしいそうな子どもたち。
山登りは、確かに苦しいですが、一歩一歩を積み重ねていけばやがて目的の頂上にとたどり着くことができます。今回は参加した全員が登頂できました。頂上での輝く笑顔が忘れられません。新型コロナウイルスの影響で自粛生活が続き、山登りに不安な子供がいたかもしれませんが、今回、頑張って頂上に立てたことは、これからの大きな自信になったことでしょう。
<リポート 関口>