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Blog, イベント報告
2022-10-31

2022年9月29日~10月1日 開智日本橋学園中学校2年生「森のフィールドワーク」

9月29日~10月1日に富士山麓の森に開智日本橋学園中学校2年生がやってきました。 2年生は探究学習として「森のフィールドワーク」を毎年実施されていますが、富士山ネイチャークラブはこの活動をずっと支援しています。学園の生徒たちも先生方も事前学習、事前準備を重ねて本番に臨んで来られます。

本番に先駆けて、9月6日スタッフの田中が学園に伺い、生徒たちに事前学習講話を行いました。この探究学習は「現地発見・現地解決型活動」を旨としていますが、2日間という限られた時間の中でより多くの疑問が発見出来るよう現地の情報を詳細に紹介する講話となりました。コロナ禍でさまざまなことに制約があり、生徒達の校外活動も思うように実施出来ていない現状がありますが、今回の探究学習が意義深い機会となるよう、念入りに準備を進めて来ました。

■1日目

そしていよいよ現地での活動です。1日目の9月29日はやっと夏の暑さから開放された過ごしやすい気候でした。苔むした岩と樹木に目も身体も癒される樹海。そして、ブナやミズナラの巨樹があり森として成熟した姿を見せてくれる大室山のふもと。森には秋の気配が漂い、きのこがあちこちで顔を見せ、松ぼっくりやどんぐりなどの木の実も沢山足元に落ちていました。

この日は、探究テーマを決めるための現地活動となります。森の理解をより深められるようフィールドを案内しながら、色々な疑問が発見できるよう生徒達とのコミュニケーションを深めて行きました。「樹海と大室山とは土の硬さが違うかな」「木の根の形が違う」「きのこやコケの種類も調べたい」などなど、いろいろな疑問が湧いたようでした。

宿舎に帰ると、フィールドで発見してきた「疑問」を先ず個で考え、そしてグループ全体での熱い論義が続きました。グループとして「本当に知りたい疑問は何か!」、この論義を通してグループが一丸となって行く姿は、まさに一人一人の生徒達の「本気度」が結集したものでした。 21時にはすべてのグループが疑問を絞り込み、その仮説を立て、明日の検証計画立案まで終了することが出来ました。

■2日目

2日目はグループで決めた探究テーマを対象に検証作業を行いました。

今年は土壌水分計や環境照度計などの計測器を利用した検証が印象的でした。自然現象をより客観的に検証することに力点が置かれ、自然の「疑問」をさまざまな角度から解き明かして行きました。

宿に戻ると、グループ毎に現地で検証してきた内容を整理し、検証内容を分析しながら熱い論義が続きました。仮説とかけ離れてしまったグループ、仮説に沿った検証が出来たグループ、それぞれでしたが、徹底して「現地での事実」に基づく検証が行われました。探究学習の大きな山場です。

夜の部は、最終日の発表会に向けた発表資料作成に取組みました。模造紙やデータシートを書き上げて、発表の練習も行いました。

■3日目

3日目の発表は毎年、私たちも楽しみにしています。本当にいろいろな角度から自然を見渡たし、発見する生徒さんたちの視点にはいつもビックリさせられます。私たちが見過ごしていたことが、まだまだこんなにあるのだなと思わざるを得ません。

今年の探求テーマの一例を紹介します。

・木の幹の太さとその付近の土の水分量にはどのような関係があるのだろうか。

・土の硬さと植物の関係には何があるだろうか。

・木の絡み合い方と環境の関係

・土壌の水分量と落ち葉の積もり具合にはどのような関係があるのか。

・木の太さとその木に生えているコケにはどのように関係があるのるか。

・光はコケにどのような影響をあたえるか。

今回の発表会では、測定データのグラフ化、検証内容の図解など、表現方法の工夫が随所に見られました。 難しい数式の表現もあり、興味深い検証がたくさんありました。

また、発表会では活発な意見交換が行われました。

・「仮説と一致した結果が一つしかありませんでした」と発表する生徒に、「仮説通りの結果が一つあったではないか!他の結果が仮説通りではなくても一つはそうだったと言えるのだよ」と、一円校長先生から検証の考え方に関するアドバイスがありました。

・「20か所以上測定したが、データがバラバラな印象で困りましたが、ミスデータという考え方を教えてもらい、データの分布を見直したところ相関性が見えてきました」との報告も。すかさず、同席の先生からミスデータを見極める論理的な手法についてアドバイスがありました。

・疑問の対象に関わる要素がすべて検証し切れていないとの指摘がいくつかありました。植生も動物もその生態は周囲環境の多くの要素と関わりがあることが、改めて論義されました。

・一方、検証データ数が多かったグループに賞賛の意見がありました。自然の中は個体差もあるためデータ数が多ければ多いほど、より事実に迫れるとの見解でした。

得られた結果に満足せず、粘り強く調べ続ける生徒たちがとても頼もしく感じました。私たちガイドも自然の中の疑問と向き合う日々ですが、またひとつヒントをもらえた気持ちになりました。森のフィールドワークは私たちにも毎年学びを与えてくれる楽しい活動になっています。開智日本橋中学のみなさん、今年もおつかれさまでした!

<リポート 関口>

開智日本橋学園中学校 サイト情報

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