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Blog, イベント報告
2023-10-13

2023年9月6日 武蔵野市立桜野小学校4年生 「富士山お中道探究学習」

 毎年、武蔵野市立桜野小学校4年生はプレセカンドスクールで富士山を対象にした「探究学習」を実施しています。今年も5月2日に当法人のガイドスタッフが学校にお伺いして「富士山の自然講話」を実施、9月の現地学習に向けて探究学習をスタートしました。

 探究学習は「自ら疑問を発見し、その中から本当に「知りたいこと」を絞り込んで、自ら調査し、仮説を立て、最終的には現地を探究して、「知りたいこと(疑問)」を解き明かしていく活動です。

 ガイドの講話を聞きながら、その場で抱いた疑問を次々にメモしていく子供たちの積極的な姿勢はこの活動に向けた強い意欲の現われでした。先生にお伺いしたところ30個以上の疑問を書き出した子供さんもいたとのことでビックリしました。より多くの疑問を考えることが出来たことはこの活動に幅や深さをもたらしてくれます。

 講話の後は、各教室を回って質疑応答をしました。桜野小学校の子どもたちは、現代では珍しく木の机で学んでいます。教室の中はどこか懐かしく温かい雰囲気に包まれていました。スライドで見たお中道の自然について、たくさんの子どもたちが手を挙げて質問してくれました。

 「富士山が噴火したら東京はどうなりますか?」「キツネやカモシカなど、動物と遭遇することはありますか?」「富士山には雪はいつからいつまで降りますか?」「富士山はなぜ、富士山という名前になったのですか」などなど、子どもたちの好奇心が一気に膨らんでいったのがわかりました。

 その後、校内活動として資料(文献)やインターネット等を活用して、自分の「知りたいこと」に対する調査を行いました。調べた結果から「多分答えはこうだろう」とする仮説を考え、現地での探究に備えました。

 9月6日、いよいよ実際の富士山に立ち、自分たちの目で探求する時がやってきました。当日の富士山五合目は霧雨模様でしたが、風も弱く、歩行可能な天候でしたので、さっそくお中道へ向かいました。調べたいテーマごとのグループに分かれ、ガイドも生徒さんの疑問「知りたいこと」に焦点を合わせて解説していきました。

・不思議な雲の形

・キノコの秘密

・木々の幹肌や葉の様子

・荒れ地に生きる植物の生態

・火山礫の色や重さ

・どんな哺乳類や昆虫が生息しているのかの痕跡探し

・鳥の鳴き声

などなど、それぞれが意欲的に問いの糸口を探っていました。熱心に観察したり質問したり、考えたりして、探究ノートにイラストやメモが沢山書き込まれました。

 森林限界の森を抜けると、霧も晴れ、下界の湖も見えてきて、思わずヤッホーの声が出ます。更に森林限界を進みながら観察を進めます。

 道中、こんなゲストも(アサギマダラ)

 そして見晴らしの良いところで昼食を頂きました。

 昼食後、富士山の赤や黒の溶岩礫を踏みしめて、ジャリジャリと音を立てながら楽しく下山しました。

 当日の夜は、宿舎で「探究ノート」の内容について整理しました。よく理解できなかったところをガイドに聞いたり、友達どうしで確かめたり、と「探究ノート」をより充実させる活動が続きました。

 そして、翌日の夜は、一人一人が昨夜整理した「探究ノート」を見ながら、現地で「分かったこと」を探究報告書に書き出し、「探究活動の感想」も書き添えました。夜9時、「探求学習」の大きな山場を超えた子供達は達成感に満ちあふれていました。

■最後に

 4ヶ月間に渡って活動してきた「探究学習」の感想を子供たちに聞いてみたところ「楽しかった!」という声が即座に返ってきました。先生方は「楽しく学ぶ」ことを最も重視されていましたが、それが確認出来た瞬間でした。

 最後に代表の子供さんからお礼のご挨拶がありました。“僕は、今回の活動で色々なことが分かったが、「知りたかったこと」の本当の答えまで届かなかった。しかし、今後、更に色々な調査を進めれば本当の答えに近づけると思っています。”と言う旨の発言がありました。

 「楽しかった!」は積極的な行動の証しであり、「本当の答えにもっと近づくための次の戦略」に思いを馳せる姿は、まさに「探究学習」の神髄です。そのことを子供達が見事に実践してくれました。

 <リポート: 関口東子、藤園麻里、田中留雄>

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