2024年5月8日 横浜隼人中学校1年生「富岳風穴~野鳥の森公園」樹海ツアー
まだ、入学間もない元気いっぱいな横浜隼人中学校1年生(114名)の皆さんが富士山麓にいらっしゃいました。 その中でプランされた「樹海ツアー」を富士山ネイチャークラブがサポートいたしました。新緑が映えるこの季節の樹海の森をじっくり観察できる「富岳風穴(溶岩洞穴)~野鳥の森公園」が今回のコースです。
「早起きだったから眠い」と言う生徒さんもいましたが、先ずは富岳風穴に入洞します。一歩入ると、ひんやりした空気に包まれ、眠気も吹き飛び、氷の世界に魅了されました。そして、昔、蚕の卵や種を保管して、天然の冷蔵庫として利用したことも学びました。
ガイドの説明に耳を傾け、自分の考えや意見をはっきり言える生徒さんが多く、ツアーの中でもガイドとの会話が弾みました。そして、多くの気づき、発見、感動がありました。
生徒さん達との活動の一部をご紹介します。
■ “曲がっている木が多い。根っこが地面にたくさん出ている。倒木が多い。コケがたくさんある” と、素早く樹海の森の特徴を発見、それはなぜ?と分析が始まりました。
■どんな匂いがしますか? 匂いも森の観察にとても重要です。
■倒れた木の根っこの形を見て、“これで生きていたの?”
■“ギンリョウソウはキノコみたい!” “白い飴細工みたい!” 森の中でひときわ目立つギンリョウソウの姿はこの季節ならではの発見でした。ガイドからその生態の説明に「えー」との驚きの声が。
■森に生きる動物たちの痕跡も沢山発見しました。“リスの食痕(松ぼっくりのエビフライ)シカのフンや食痕、イノシシの掘った穴などなど。
■森のさえずりの主人公は「焼酎一杯グイー」と鳴く「センダイムシクイ」でした。グループ全員がその鳴声を確認し、きれいな声に聞きほれました。
■「クマは怖い!」という生徒さんにクマについて話をしました。森林生態系におけるツキノワグマの役割は、①種子散布(山桜や山ぶどうの種を散布し増やす)、②スズメバチの天敵としての君臨 などです。 クマによる被害などをテレビで見て怖いと思っていた生徒さんは、「クマを少し見直した」と言ってくれました。人間の側からだけでなく、自然からの見方をするだけで違う世界が広がったことと思います。自分とは違う意見も素直に聞いて、さらに思考することのできる生徒さんたちでした。
■菌類についても盛り上がりました。ロクショウグサレキンの色鮮やかさはインパクトが強く、腐生菌としての役割も理解し、菌類探しに夢中になったグループもありました。菌は樹海で観察されるような森を再生する役割だけではなく、人間の体の中にも1000種類以上の腸内細菌、数は100兆個以上、重さにすると1.5㎏ほど常在していて、食べ物の消化や免疫力の維持に貢献していると紹介すると大変驚いた様子でした。菌は汚いものではなく、すべての生き物にとってなくてはならないものと認識ができました。
■溶岩が繰返し流れ、何層にも重なって今の形になっていること確認。
■その他、ルーペを使ってコケや溶岩、虫やキノコなどのミクロの世界を観察したり、磁石が岩にくっつく実験を行ったり・・・・。私たちガイドもさまざまな発見を生徒さんとたちと共有する事が出来ました。
横浜隼人中学校の生徒さんたちは、強い好奇心を背景に、主体的、かつ積極的に学んでいる姿がとても印象的でした。
ツアーのクロージング(振り返り)では、
①生物(植物、動物、菌類)はお互いに依存しながら生きていること。その環境を維持していくことの重要性
②そこにある対象を理解するためには、自分の目で確かめ、自分の耳で聞き、自分の指先で確認し、そして匂いも。現地現物(事実)を自ら検証することの重要性
を共有しました。
これからも自然環境(地球環境)に関心を持って中学校での学びを更に深めてくれることでしょう。そして、森の一員として樹海に遊びに来てくださいね。
<リポート 関口東子>
横浜隼人中学・高等校 サイト情報