2024年11月18日 森村学園中等部1年生「自然体験学習」
今年も神奈川県横浜市に所在する「森村学園中等部」の1年生(約200名)が富士河口湖町の西湖を拠点に自然体験学習(研修)を実施しました。その2日目はコース別に分かれて体験学習を実施されました。その中から「鳴沢コウモリ穴洞窟探険」と「忍野八海ツアー」の活動の模様をご紹介いたします。
■「鳴沢コウモリ穴洞窟探検」
このコースに参加された生徒さんは89名、前日は雨でしたが、18日は天候が回復して予定通り「洞窟探検」を実施しました。朝一番に「富岳風穴」の入洞体験からスタート、その後、「鳴沢コウモリ穴」に移動して、自然の溶岩洞窟に入洞体験しました。ここは864年に富士山麓(長尾山)から流れ出た青木ヶ原溶岩台地の東側に位置する所です。
6つのグループに分かれて、6つのポイント(4つの洞窟、2箇所の自然解説)を順に探険していきます。最初に体験した「富岳風穴」と異なり自然のままの「溶岩洞窟」です。想像を超えた体験に色々な発見と感動がありました。
◇P1洞窟
ここにある溶岩洞窟では一番大きな洞窟で、唯一、立って歩くことが出来ます。その意味ではほっとした気持ちで体験出来ました。溶岩チューブの造形がはっきり確認出来ます。溶岩棚も綺麗に残っています。玄武岩質の特徴とする無数の小さな孔にキラキラと光る水滴がとても綺麗でした。また沢山の菌糸が張りついていて、キノコも発見しました。光がなくともキノコは育つことが確認出来ました。また、岩の隙間から樹木の根が垂れ下がっており、地上の生態系が地下からも観察することが出来ました。
◇P2自然解説(青木ヶ原溶岩流の特徴)
このポイントでは、溶岩流の成立ちや特徴を解説し、青木ヶ原溶岩流をより深く理解する場です。当時の状況を想像しながらダイナミックな自然の営みを学ぶことが出来ました。玄武岩には鉄分が含まれるため、磁石に溶岩が着くことも確認しました。
◇P3洞窟
ここの洞窟の特徴は、最深部に入ると全く光が届かない所があります。また、洞窟内の静けさをより感じることが出来ます。洞内の壁のデコボコ、そして無数の小さな孔がまるで消音材のような働きで音を吸収してくれます。洞窟内の静寂をしっかり体験しました。そしてこの日は洞窟の天井に「ウサギコウモリ」を発見、ここが「鳴沢コウモリ穴」と言われる由来が分かりました。
◇P4洞窟
この洞窟は短いコースですが出口が最も小さな穴となっています。頭の向き、体の向き、足の確保など、全身の動きを工夫して穴の形に添うように抜けて行きます。
◇P5自然解説(富士山麓の動物たち)
富士山麓に生息する動物たちの特徴や生態について学んで頂きました。洞窟探検では相当な体力を消耗するため、ちょっと一息入れるタイミングとしても有効なポイントになりました。鹿やカモシカの骨格見本を見ながら、角の成長の違いなどを学びました。また熊の毛皮を実際に触れて、毛の硬さや長さを確認しました。
◇P6洞窟
この洞窟は洞窟群の中で最も天井が低く、常に四つん這いで移動しなければなりません。そのために全員「膝当て」を付けて入洞します。入口は狭く、天井は低いが、結構広い洞窟です。縄状溶岩流の造形や洞窟内に根を張って生きる不思議な樹木の様子を観察しました。
体験中、多くの生徒さんから活動の印象について多くのコメントがありました。
・想定していた洞窟体験と全く違った。体力的にも疲れる体験だったが楽しかった。
・まさにアドベンチャーワールドだった。
・初めて見る洞窟内の造形に感動した。
・天井でキラキラ光る水滴がとても綺麗だった。
・地上から見ただけでは地下にこんな洞窟があるとはとても想像できなかった。
えー、この穴から入るの? という感じだった。
・洞窟内の生物(ウサギコウモリなど)を観察出来た。
生徒さん一人一人にとって印象に残る体験になったようです。知識や論理の価値観だけでなく人の本能に宿る「感性」、「感動」、「意欲」と言った“心の動き”を体験出来たのではないでしょうか。
<リポート 田中留雄>
■「忍野八海巡り」
15時30分、『鱒の家』の前から、134名の生徒さんの『忍野八海巡り』がスタートしました。
忍野八海巡りとは、江戸時代に始まった、『富士山に登拝する前に水の霊力で身体を清める(禊ぎをすること)』ために行われた八つの水場を巡ることです。当時は『富士御手洗元八湖』と呼ばれていました。北斗七星と北極星になぞられた位置の八つの池、今回はそのうちの六つを巡ります。
◇二番霊場:お釜池
小さいけど豊富な湧き水が渾々と湧き出ていました。梅花藻が青々と美しい。
と、ここで
阿原川と新名庄川の合流地点を眺めます。
富士山に向かって流れて行くのに、富士山の雪解け水だなんで、
地層の下を流れる水の神秘に触れましたね。
◇四番霊場:銚子池
たくさんの淡水魚が泳いでいましたね。
◇五番霊場:湧池
一番有名な池なのでぐるりとたくさんの観光客で溢れていました。湧水量が八海の中で一番多い池です。90年前に岡田紅葉さんの撮った作品を見せてもらい月日の移り変わりに感嘆します。
◇六番霊場:濁池
観光用の池が掘られて、昔の姿とは変わってしまいましたが江戸時代の富士講の石碑は健在です。
◇七番霊場:鏡池
ここでなんと!鏡のように池の面に雪を被った逆さ富士が映り込んでいます。みなさま、写真に収められていました。
◇八番霊場:菖蒲池
菖蒲は邪気を払うと昔から言い伝えられる霊場に相応しい植物ですね。今も菖蒲が生え、すっかり観光地化された他の池に比べてここは昔の面影が残っていましたね。
これで『忍野八海巡り』は終わり、元来た道を戻りながら水の旅に想いを馳せてみます。
富士山の雪解け水が何年もかけて地下に溜まり、さらに山麓で湧出し、周辺の山々からの水と合流して独特の景観を作り出している、まさに日本の原風景を象徴するような忍野八海を楽しんでいただけたでしょうか? 富士山麓の表情はとても豊かで、身近にいるわたしたちも毎日飽きることがありません。そんな富士山麓の魅力の数々を、またご案内出来たら大変嬉しく思います。
<リポート 舟津川由利>
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