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2024-08-08 | Blog, イベント報告

2024年7月25日 静岡大学教育学部附属浜松小学校 5,6年生「林間学校」自然体験活動

 今年も、附属浜松小学校5,6年生が富士山麓で「林間学校」を実施しました。この初日、7月25日に4つのコースに分かれて自然体験活動を実施しました。

  ①富士山宝永火口コース

  ②富士山二ッ塚コース

  ③鳴沢氷穴―紅葉台コース

  ④精進湖自然観察路コース

それぞれのコースでの活動の模様をご紹介いたします。

①富士山宝永火口コース 

 富士山富士宮口五合目に到着したのは5,6年生35名の元気な子供たち、バスを降りてくると、「ここは涼しい!」の第一声が。浜松はこの夏、猛暑が続いているとのこと、先ずは、富士山五合目(標高2400m)の爽やかな世界が実感できました。

 今年から富士宮口でも「登山者登録」が義務化されました。事前申請を済ませ、全員が登録済みの証しとなる「リストバンド」を付けて、いよいよ出発です。 

 新六合目手前では、大きな溶岩流が観察出来ます。ここで休憩を取りながら、富士山の成立ちや溶岩の特徴について学びました。

 新六合目から、やや下りながら、宝永火口を目指します。この道の両脇には森林限界に力強く生息する高山植物が目を楽しませてくれました。

オンタデ
ミヤマオトコヨモギ
コタヌキラン
イワオウギ
コケモモ
イタドリ

 高山で、かつ乾いた火山台地でも繁殖できる植物の特徴は、長い根っ子、太い根っ子、そして光合成を盛んに行うことが出来る植物です。これら先駆植物がやがて樹木を呼び込み、樹林帯へと進化していきます。この六合目の登山道から、こうした植物の変遷がはっきりと観察出来ました。

 そして、宝永火口の稜線まで進むと、そこには大迫力の光景が目に飛びこんで来ます。「わー、すごーい!」、大きな歓声が上がります。1707年に爆発した「宝永火口」です。3つの噴火口が並び、最後に噴火した第一火口は直径1200m、富士山頂上の噴火口(直径780m)より遥かに大きく富士山で一番大きな噴火口です。

 火口の稜線から、火口の底を目指して下っていきます。

 噴火口の底に到着すると、ガイドとディスカッションしてノートに記録するグループ、大きな溶岩に登って迫力を楽しむグループ、静かに座ってその場の光景を楽しむグループなどなど、思い思いにその場での時間を楽しみました。

 ゆったりとした時間を過ごして後、帰途に付きます。第一火口の底から稜線まで登り、第二火口の稜線を下りていきます。そして宝永火口とお別れする分岐まで来ました。ここから樹林帯のコースを下り富士宮口五合目に戻りました。

登山の最中、多くの子供たちから色々な感想やコメントを聞くことが出来ました。

・生まれて初めて雲を食べました。味は? 

・想像していた富士山と全く違った。富士山のイメージが変わった。

・火山岩にも色々な形、色、組成密度があることが分かった。溶岩をもっともっと勉強したい。

・火山岩の中に黒曜石が必ずあるはずだ。見たい!

・この場所はとにかく気持ちが良い。ずっとここにいたい。

・ここの空気はとても美味しい。空いたペットボトルにここの空気を詰めて家族へのお土産にします。

このコースを選択した子供たちへ、

今回の体験で、どんなことに気づき、どんな発見、学びがありましたか? 自然の仕組を学んでもっともっと自然を好きになって下さい。

  <リポート 田中留雄>

②富士山二ツ塚コース

 富士山の静岡県側にそびえる、二ツ塚(標高1,804㍍)登山に参加したのは5,6年生38名。昨年5年生の時に同じコースを登った子供たちも5名ほどいます。我々ガイド2人とも1年ぶりの再会です、嬉しいですね。

 登山口に建つ鳥居の前で手を合わせ今年も無事の登山を祈願し、標高差364㍍の登山の開始です。約20分後、大石小屋に到着し突然視界が開けました。「見えた、見えた二ツ塚だ」。経験者の6年生が叫びました。「遠いなぁ…」。初体験の子供たちには当然の印象かもしれませんね。

 山頂からは厚い雲がたちこめ、富士の頂は見えませんが、目指す二ツ塚と、その奥に宝永山が見えます。江戸時代の宝永大噴火で降り積もった小石(スコリア)が山の斜面を覆い尽くしています。小石のメカニズムの説明には皆、熱心に耳を傾けてくれました。黒(灰)色、赤色でもない石の一部だけがキラキラ輝くスコリアに興味を持った子供もいました。その観察力に感服し、理由を調べるきっかけを投げかけてくれました。

 登山道は徐々に傾斜が強くなります。後方からは白い霧が駆け上がり、あっという間に視界を遮りました。「俺たち雲の中だぜ~」。ほんの1週間前、家族で富士山頂まで登った子供が仲間に教えてくれました。「でも、気持ちいい」。ヒンヤリした霧が疲れを和らげてくれます。登り出して約1時間半、目指した二ツ塚に登頂です。霧もいつしか遠ざかり、宝永山が近くに見えます。広い山頂に疲れも忘れ、走り出す子供たちの姿もありました。

 下山は同じコースですが、途中から登山道に平行した脇の斜面を300㍍ほど下りました。登山道とは違い踏み固められていないので、ひと足で靴一足分以上前に進みます。これこそが「砂走り」です。登山道から脇にそれないようガイド1人が先行し、皆一斉に走り出しました。止まりたくても勝手に足が前に出てしまい、まるで飛んでいるかのようです。今年もこのコースを選んだ6年生たちの最大の楽しみでもあったようです。

 下山後、「砂走りが最高だった」の声が一番聞かれました。そんな中、初参加の5年生女子の感想が心に残りました。「苦しくて登る意味があるのかな、と思っていたけど、山頂に着いたら景色も違うし、登り切った達成感で、心が満たされ最高でした」。

ガイド冥利に尽きますね。今年参加した5年生に伝えます。「来年もまた一緒に登ろうね。また違った景色や楽しみが待っているよ」。

  <リポート 関口純>

③氷穴―紅葉台コース

暑い中、バスは鳴沢氷穴に到着。バスの中で昼食をとったあと、まずは氷穴に入洞しました。足元や頭に気をつけながら暗い溶岩洞穴の奥へ。「本物の洞窟だ!」と賑やかに、慎重に進む。奥には氷の柱もあり、外の暑さが嘘のように涼しい。

氷穴から出ると、次は青木ヶ原樹海。

 樹海の成り立ちや植物の遷移などを話すと興味津々。いたるところにある溶岩を手に取って、色や重さや感触を確かめていました。樹海の特徴とも言える苔についてもみんなで意見交換。苔の知られざる暮らしぶりを知って感心しました。

樹海を抜けると、次は紅葉台へ。 途中、カミキリムシ発見。最近は虫を触れる人が少なくなってきているなか、ひとりの男子がつかんでみんなに見せてくれました。

 ここは紅葉台手前の休憩ポイント、木々の間からから迫力の富士の雄姿が見えました。

 暑い中、休み休み歩いて、紅葉台の展望台に到着!暑いけど風が少しあって心地よい。展望台から稜線が伸びる富士の造形美を堪能しました。みんなで元気に記念写真も。

 ここまでけっこう時間がかかったこともあり、今回は無理して三湖台まで行くことなく、ここから下山することに。

 下る途中の広場で休憩をしていたら、カナヘビ発見。みんなで2匹捕まえた。虫を触るのは苦手でもカナヘビはほとんどみんな大丈夫。自宅で飼っているという女子もいました。カナヘビを連れて帰りたいとのことでしたが、今日のところは放してあげて下山。

 みんなで元気に下山すると、木曽馬牧場の馬が迎えてくれました。

  <リポート 上岡雅之>

④精進湖自然観察路コース

22名の子供たち、このコースを選んでくださってありがとう!お待ちしておりました。

精進湖からの『子抱き富士』もにこやかに迎えてくれています。皆さまの歓声が上がりましたね。

ここからレクチャーを始めます。

富士山はどうやってできたのかな?精進湖はいつできたのかな?

さあ、湖の向こう側、青木ヶ原珠海の探索が始まります。

千年以上前に富士山の中腹から流れ出た溶岩流・・・・

樹海の遊歩道はここでしか見られないような不思議な形の溶岩がゴロゴロしていましたね。

どうしてこんな形になったのかな?富士山の不思議を楽しく学びます。

湖が見えるよ!

湖畔に出ると、オトギリソウが咲いています。

 『わあ、キレイ!』

ここからの富士山は雲に隠れてしまっていたね。

だけど精進湖をバックに記念撮影。

 さらに遊歩道を歩きながら色々なものを発見。シカが木の皮を食べた痕、ムササビが葉っぱを食べた痕、ここには色々な動物がいるんだね。

やがて、この日のハイライト、『釜畑』という不思議な名前の場所へ。

なんとここは、

 千年以上も前に、富士山の溶岩が『セノ海』という大きな湖に流れ込み、ここで水蒸気爆発を起こしたんですって。富士火山のスケールの大きさに、皆さま感動です。

なんとこの場所には、クルミ(オニグルミ)の木が一本。

 『梅の実みたい!』

 『クルミの実ってこの中に入ってるんだ!』

 落ちていた実を拾ってくれた生徒さんもいましたよね。皆さま『クルミアレルギー』はひとりもいらっしゃらないということで観察しました。リスが半分に割って美味しいところを食べたクルミの実も拾ったよね。

 戻りながら、湖畔のベンチで最後の休憩。

…とここで

なんと、パズルみたいな溶岩を発見してくれた方が!

これ!最初にお話した、『枕状溶岩』ですよ!

みんな集まって来て、観察します。

『どうしてこんな形になるの?』

それはね、溶岩流が湖に流れ込むとどうなるんだっけ?

『固まる!』

そう、それからね…

ここは生きた教材がゴロゴロしています。

最後のまとめ、

一人一人に、今日一番印象に残ったことを言ってもらいました。

 『空気が美味しかった!』

 『子抱き富士、見れて良かった!』

 『動物がたくさん棲んでいることがわかった』

 『シカが木の皮を食べるとは知らなかった!』

 『富士山が色んなところから噴火するとは知らなかった。』

 『溶岩の色んな形と出来方がわかって良かった。』

一人一人の心に、今日の思い出がいついつまでも輝いていることでしょう。

<リポート 舟津川由利>

2024-08-02 | Blog, イベント報告

2024年6月11日 杉並区立天沼小学校5年生 山中湖移動教室「パノラマ台ハイク」

 6月11日(火)、杉並区立天沼小学校5年生86人が、「山中湖移動教室」で山中湖村にある「パノラマ台」ハイキングを楽しみました。

 標高982㍍、富士五湖では一番標高の高い山中湖畔がスタート地点。足元には小さな軽石がいっぱい。1707年、宝永の大噴火で降ってきた「スコリア」です。石を手にしながら、317年前の痕跡が目の前にあるのが不思議そうです。富士山の成り立ちや周辺の山々との違いなどを教わり、いざ出発です。

 しばらく歩き出して山道に入ると、突然風景が一変しました。天を覆う樹木の葉で薄暗い1本道。左右にある斜面の草地が踏み荒らされた場所が現れました。「けもの道」です。朝晩、シカやイノシシたちが、この道を行き来します。シカの大きな足跡もくっきりと残っていました。緩やか登りを進むと、大きな大木が現れました。白い樹肌のブナです。ここで一息入れながら、ブナの種を拾い集めました。三角すい型をした面白い形に「かわいい」の感想も聞こえます。

 ハルゼミの鳴き声を聞きながら、元気いっぱいに標高を上げていきます。毒のあるマムシ草を教わり、逆に爽やかな香りがするサンショウの葉の香りには目を丸くしていました。

 傾斜がややきつくなった細長い樹林帯を抜けた瞬間、目の前に広大な斜面が突然現れました。「ワー広~い!」の歓声と同時に「ヤッホー」と誰かが叫びました。それを聞いた仲間も連続しての叫び声があちこちから上がります。「ヤッホー」の大合唱です。

 場所は、今日のハイキングの終着点。見渡す限り緑一色のススキの若葉が目にまぶしく感じます。富士山は五合目から上だけが厚い雲に覆われているだけで、降り注ぐ太陽の光がまぶしいく、青空に白い雲が浮かぶ、まさに360度の大パノラマです。

 標高差はわずか110㍍ですが、眼下にはスタート地点の山中湖の全貌が見渡せます。回りにはハイカーの姿もなく、まさに「独り占め」の絶景ポイント。「あとどれくらい?」、「まだ登るんですか」、「疲れた~」のセリフは、一瞬にしてどこかに吹き飛んだように、たくさんの笑顔が並びました。

 帰路は同じ道を戻ります。足元が滑る斜面も楽しそうです。登りでは見つけられかったキノコやハルゼミの抜け殻にも遭遇しました。

登山開始から1時間半。山中湖畔まで戻りハイキングの終了です。

 疲れた表情の生徒さんは誰一人もいません。「また登りたい」の感想にガイドの我々にも満足の笑みがこぼれました。

皆さん「また一緒に登りましょう、ね」。

<文、写真  関口純>

2024-07-31 | Blog, イベント報告

2024年7月3~5日 聖ヨゼフ学園小学校2年生 「山中湖自然体験学習」

 聖ヨゼフ学園小学校2年生と1年ぶりに再会しました。2年生になった今年も同じ山中湖で「自然体験学習」を実施しましたが、子供たちは色々な体験活動を通して、幅広く学ぶことが出来ました。

1日目 午後 「ネイチャーラリー」 文学の森

 1年生の時も「ネイチャーラリー」を実施しましたが、今年は2年生向けにメニューの入替えや内容のバージョンアップで難度を高め、新たな気持ちで取組んで頂きました。

 梅雨の季節にも拘わらず、素晴らしい天候の中、子供たちが元気に山中湖「文学の森」に到着しました。この活動をとても楽しみにしていたようで、その意気込みが伝わって来ました。オープニングでは、サポートスタッフの紹介、ルールの説明、注意事項等を共有して、いよいよスタートです。

 5人ほどのグループ構成で課題のポイントをクリアーして行きます。子供たちの活動の一部を写真でご紹介します。

 この他、「足跡から動物さがし」「動物に気付かれないように近づく」などに果敢に挑戦して頂きました。クロージングでは、代表の生徒さんからお礼の挨拶がありました。「私は障害物を乗り越えていく竹ポックリが一番楽しかったです」と言う言葉にスタッフ一同、笑顔がこぼれました。

■2日目 午前 「明神山登山」

 午前は標高1290mの「明神山」に登ります。朝からカンカン照りの天候で、「熱中症」に気を付けながらの登山になりました。三国峠の駐車場でオープニング、バスの小影に入ってコースの説明やハチの防御姿勢、疲れにくい登り方などを共有して、いよいよ出発です。2年生にとってはきつい登りでしたが、15分おきに給水して、ゆっくり頂上を目指しました。

 40分ほどで全員無事、登頂することが出来ました。ここからの大パノラマは圧巻の眺めです。眼下に山中湖、富士山頂もちょっとだけ姿を見ることが出来ました。

 ガイドから「富士山と明神山の成立ちの違い」「山中湖がどのように出来たのか」などなど眼下に広がる自然の説明を受けて、富士山の偉大さを学びました。 

 頂上で眺望を楽しみ、明神山ともお別れです。下りはより慎重に一歩一歩下りていきます。そして全員無事にゴールに到着出来ました。

■2日目 午後 山中湖畔「水生生物の観察」

 午前中の登山の疲れも感じられないほど、元気いっぱいの子供たち、午後からは山中湖で「水生生物の観察」を行いました。班ごとに採取の網やバケツを持って湖畔の岸辺を探っていきます。2年生にとっては、なかなか難しい活動となりましたが、「糸トンボのヤゴ」「フナの稚魚」「ワカサギの稚魚」「ミズグモ」「ヌマガイの貝殻」など色々な水生生物を捕獲し、観察することが出来ました。

   観察後、すべての生物を湖に戻して、観察会を終了しました。

■最後に

 聖ヨゼフ学園小学校2年生の皆さん、山中湖での自然体験学習は如何でしたか。一つ一つの活動が良い思い出になったことでしょう。また、現地での活動から多くの学びもありましたね。来年は3年生としての体験学習になります。益々成長した君たちにまたお会い出来ることを楽しみにしています。

<リポート 田中>

聖ヨゼフ学園小学校サイト情報

小学校|聖ヨゼフ学園 (st-joseph.ac.jp)

2024-07-31 | Blog, イベント報告

2024年7月12日、19日 認定こども園ウブントゥ「森のナイトイベント」

 この時期の恒例イベントとして回を重ねてきた、「認定こども園ウブントゥ」年長組園児たちの「森のナイトイベント」が今年も富士山麓の森で実施されました。

 7月12日に「ウブントゥ富士の森」の年長組園児、7月19日に「ウブントゥ忍野の森」の年長組園児と2回に渡って実施されましたが、7月19日「ウブントゥ忍野の森」園児たちの活動の様子ご紹介いたします。

 午後7時を回った頃、マイクロバスに乗った年長組園児18名が森の入口に到着しました。「皆さん暗いところは恐いですか?」との問いかけに、ほぼ全員が「恐―い!」と回答も、元気に森に入っていきます。この体験では、懐中電灯などの灯りは一切使用しません。暗さに目を慣らしながら、夜道への対応力を高めていきます。

 最初の挑戦は「目かくしトレイル」です。木々の間に張られたロープを頼りに目かくしして進みます。出発前は「恐い!」と言う声も聞こえましたが、皆が励まし合って全員が無事ゴール出来ました。

 2番目の挑戦は「勇気の小道 二人歩き」です。真っ暗な森の中の小道を、二人単位で進んで行きます。頼るのは道の脇にセットされた「小さな白いカード」のみ。これを唯一の目印に40mほどのコースを無言で進んで行きます。お互いに信じ合って手を繋いで進んで行く姿は感動的でした。ゴールで待っている先生に迎えられるとやっと笑顔に戻り、達成感でいっぱいな様子でした。

 3番目の挑戦は「勇気の小道 一人歩き」です。時間も進んで夜⒏時を過ぎた頃、真っ暗になった森の中で一人歩きに挑戦します。。自分を信じ、勇気を奮い立たせてスタートして行きます。限界を感じた園児が「泣き出す」場面もありましたが、ここは、先生方の心温まる励ましの中、気を取り直して果敢にスタートして行く園児の姿は、感動と言うよりはこの瞬間での成長を強く感じた場面でした。

 最後は、森の中で寝転んで「夜の森の静寂」を身体全体で感じます。夜の森の音を感じ取ります。夜の森の風を感じ取ります。夜の森の匂いを感じ取ります。森の合間から見える星を探します。

 1.5時間ほどの「森のナイトイベント」を無事終了して,森の入口に戻ります。もう「恐い!」という園児さんは誰一人いなく、「楽しかった!」との声が大半でした。勇気を出しての「夜の森の体験」は忘れられない思い出となったことでしょう。

 毎年、この活動を通して感心することは、ウブントゥ園児一人一人の「感性の高さと強さ」です。何事にも果敢に挑戦する園児たちは、これからも色々な体験に挑戦しながら「更に感性を高め、更に強い人」に成長して行くことでしょう。

<リポート、写真  田中>

認定こども園 ウブントゥ サイト情報

2024-07-31 | Blog, イベント報告

2024年7月9日 杉並区立高井戸第四小学校5年生 山中湖移動教室「明神山登山」

 昨年に引き続き、今年も6月から10月まで、杉並区立内の小学校に在籍する5年生が、野外活動などで山中湖村を訪れています。夏休み前の1学期最後の学校、高井戸第四小5年生82人の明神山登山を、富士山ネーチャークラブがサポートしました。「高四」は今の6年生に続き2年連続の明神山登山。昨年一緒に登った本橋忠旗校長も元気に同行です。

 子供たちとガイドが挨拶して、いよいよ出発です。

 天候は曇り、でも雲は富士山のはるか上空。富士は堂々としたその姿を見せています。日差しも弱く、梅雨明けを思わせる連日の猛暑がウソのように絶好の登山日よりとなりました。

登山口:目指す「明神山」山頂が見えています。

 歩き出して約30分。斜面の草地を削ったような細い道が何本もある場所に差し掛かりました。朝晩、シカやイノシシが行き来する「けもの道」です。「ほら、地面に足跡があるでしょ」と説明したとたん、「シカだ~」「ホントだ~」と子供たちの叫び声。仲間もガイドも斜面の上に目を凝らしましたが、一瞬にして走り去ってしまったようでした。数人とはいえ、本物のシカに出会えたのはラッキーでした。

 けもの道を確認する生徒たち

 この道沿には、サンショウとゴマキが数多く自生しています。「葉の匂いをかいでごらん」。花ではなく葉なのか、みな恐る恐る鼻を近づけます。でも、柑橘系の爽やかな香りのサンショウに驚いた表情。鰻にかける粉と知り、再度香りを嗅ぐ子もいました。ゴマギは名前の由来通り、ゴマのような甘い香りが漂います。その一方で、毒性があるマムシグサの存在も教わりました。花は既に終わり、秋には真っ赤になる今は緑色の実をじっと観察しました。

 いきなり1人ずつしか登れないほど道幅は狭くなりいよいよ登山開始です。「滑るから気を付けて~」と後方の仲間を気遣う声が飛びかいます。

 尾根筋に出ると、傾斜が強くなりはじめました。ひたすら無言の子、大はしゃぎに元気な子も、「登るしかない」と気合は十分のようです。それでも「疲れた~」と早くも弱音が聞こえてきました。「頂上で食べるお弁当は最高だよ」と励ましながら高度をどんどん稼ぎます。

 6月から始まった今年の明神山登山。毎回、同じ植物や生き物に出会えるとは限りません。今回はたくさんの生き物に出会えました。薄緑色の体に透明の羽根が美しいハルゼミ。5個の抜け殻が密集して付いた木もありました。ミヤマクワガタのペアを見つけた生徒さんは、秀逸の観察力。それもクワガタの王様ですので、先生たちも、もちろんガイドも興奮気味に写真を撮りました。ありがとう。

 更に都会ではほぼ見かけない甲虫のオオヒラタシデムシや、地面をはう赤いクモ。体長約5センチのカラフルな毛虫の不思議そうな動きに目を凝らします。細長い茎にたくさんの白い花を付けたバイケイソウが満開です。「美しい花には気を付けろ」で、これも毒があってシカも食べません。大きなアカガエルも捕まえました。「水のない山になんでいるんだろう」。とっさに疑問が浮かぶのはさすが。山の面白さを感じたようで、ガイドもうれしくなりました。

 急登も終わり、緩やかなアップダウンの登山道を進みます。ちょっと余裕が出てきたのでしょう、仲間同士の歌声が楽しそうです。

 歩き出してから約2時間半、森の先にある木々のすき間に、強く明るい光が見えます。標高1,291㍍、明神山の山頂は目の前です。ガイドの「その先が頂上だよ」のセリフを聞いたとたん、みな猛スピードで掛け登りました。

 山頂は広く、背の高い木々に覆われていた樹林帯の登山道と大違い。天空を遮るものは何もありません。気になる富士山も雲に覆われず、朝と変わらぬ姿で待っていてくれました。大きな富士山と眼下の山中湖に「きれい」の連続した声が聞こえてきます。クラスの集合写真にも笑顔、笑顔が並び、待ちに待った昼のお弁当も格別なおいしさです。

 登りの長い尾根の途中「また、この道を下るの」の質問がありました。「違う道を下るし、早いよ」と聞いても、その時は想像もできませんよね。その下山の始まりです。山頂から垂直の角度で下りる急坂が待っていました。江戸時代の宝永大噴火で降ってきた「スコリア」は下山直前に習いましたが、その小石の上を靴が滑る、滑る。上手に靴底を地面に付けてリズムよく下りる器用な子供がいる一方、小石に足を取られた子供たちは、すってんコロリンの連続。ならばと、最初からお尻を付いてズルズルと下り、「これなら恐くないし、けっこう楽しかった」の感想がありました。子供ならではの発想です。下りてしまえば急坂も短いもの。一気に斜面は緩やかになり、約4時間の登山も終わりが近づきました。

 子供たちにとっては、体も気持ちも「山あり、谷あり」の連続だったことでしょう。目と耳と肌で感じた今回の登山がずっと心に残ることを願うばかりです。後半の2学期も元気な5年生に会えるのをスタッフ一同、今から楽しみにしています。

<文、写真  関口純>

2024-07-02 | Blog, イベント報告

2024年6月12-14日 聖ヨゼフ学園小学校3年生「自然体験学習」

 横浜市にある聖ヨゼフ学園小学校の3年生が本栖湖を拠点に自然体験学習を実施しました。その2日目に「精進湖樹海ハイク」、3日目に「バードコール作り」を体験しました。元気な子供たちの活動の模様をご紹介します。

■2日目「精進湖樹海ハイク」

 精進湖からは、朝から富士山がお目見えして素晴らしいスタートとなりました。精進湖に流れ込んだ青木ヶ原樹海の遊歩道から、ツアーが始まります。

 最初にご案内したのは、湖に突き出した溶岩流の先端。千年以上も前に富士山が噴火して、チョコレートみたいに熱い溶岩が流れて冷えて固まった。その上を歩いて行きます。お池ボッチャンしないでね。みんなで先端まで歩いて行きました。

そのあとは、樹海の遊歩道をハイキング。

 『ムネアカオオアリがいるよ!』よく知ってるね!小さな生き物をよく見つけてくれたね。

歩いて行くと再び湖が見えて来ました。

『あ、ミント色!』

 ステキな感性ですね。樹海の木々から見え隠れする湖の色をそんなふうに表現してくれました。

やがて、富士山が見える場所まで来ました。

ヤッホー!

ここで記念撮影です。

ここから折り返して戻ります。

 ここに棲む動物たちのお話には目を輝かせてくれました。シカもクマもリスも、この森はみんなのお家なんですね。

 ゴールすると、最後に代表の子供さんから感謝の挨拶がありました。聖ヨゼフ学園小学校さんはどんな活動のあとにも必ず代表の子供さんから丁寧な感謝の挨拶があります。

 精進湖樹海のトレッキングは如何でしたか? 一生の思い出になったなら・・・と思いつつバスをお見送りしました。

■3日目「バードコール作り」

 最終日の午前中、本栖湖の宿舎で「バードコール作り」に挑戦しました。スタッフが到着すると最終日にもかかわらず元気な声で“ごきげんよう”の挨拶が。テーブルに新聞紙を敷いてくれるなど、子供たちに準備をお手伝いいただき、いよいよスタートです。

 先ずは、木片の穴に、アイボルトをねじ込んで行きます。だんだんきつくなりますが、力を込めて回します。そして少し緩めた所で、ボルトを回すと綺麗な「鳥の声」が鳴り響きました。

 ここから、本体に絵を描いていきます。それぞれが記念になる絵柄で個性を発揮しました。作品のいくつかをご紹介しましょう。

 絵を描き終えると、今度はヒモ作りを行いました。スタッフからヒモの付け方、長さの調整の仕方を教わり、それぞれに好きな色を選んで本体に結びました。首に掛けて、完成を確認! たくさんの笑顔がこぼれました。

 全員がそれぞれに個性的な「バードコール」を完成することが出来ました。最後に代表の子供さんから感謝のご挨拶があり、プログラムを終了しました。富士山の山麓に来た記念のお土産が出来ましたね。

 聖ヨゼフ学園小学校3年生の皆さん、3日間に渡る富士山麓での色々な自然体験は如何でしたか?体験を通して色々な学びがありましたね。来年、更に成長した皆さんにお会いすることを楽しみにしています。

<リポート 舟津川、田中> 

聖ヨゼフ学園小学校サイト情報

小学校|聖ヨゼフ学園 (st-joseph.ac.jp)

2024-06-27 | Blog, イベント報告

2024年5月22-24日 湘南学園小学校4年生「山の学校」

 藤沢市にある湘南学園小学校の4年生(約100名)が富士山およびその周辺で「山の学校」を開校しました。その3日間の活動をNPO法人富士山ネイチャークラブがサポートいたしました。

■「事前学習講座」

 「山の学校」の初日(5月22日)に取組む学習プログラムが「富士山お中道 探求学習」です。本番を前に、5月10日スタッフが学校にお伺いして「事前学習講座 富士山の紹介」を実施しました。富士山五合目(お中道)の様子を紹介しながら、「探求テーマの発掘」を行いました。学校での事前学習が進んでいたこともあり、沢山の質疑応答がありました。講話を聞きながら探求ノートに「疑問」がいっぱい書き出されました。

■1日目「お中道探求学習」

 「事前学習講座」から12日後、いよいよ現地(富士山五合目お中道)での探求活動が行われました。明るい雲が立ち込める富士山の五合目で、生徒さんたちをお迎えし、お中道と呼ばれてきた修験の道を3キロほど探索しました。

キクイタダキやメボソムシクイなど、鳥の美しい鳴き声を聞きながら、それぞれの感性で気づいたこと、不思議に思ったことを大切に、ガイドスタッフの説明とともに探求していきます。玄武岩質のマグマに由来する赤や黒のスコリアの生成の違い、溶岩流や眼下に見える側火山、高山植物などを興味深く観察/検証しました。

 夜の振り返り学習では、「富士山は青いと思っていたけれど、実際近くで見ると、緑や赤など色とりどりでびっくりしました。」「富士山の名前の由来は?」「富士山五合目に動物が少ないのは?」などなど、つぎつぎに質問が飛び出し、各自の考察や観察記録を、まとめていくお手伝いもさせていただきました。

■2日目午前「樹海/三湖台ハイク」

 昨日の天空からうって変わり、本日は地下の世界、鳴沢氷穴に入洞しました。「富士山五合目には水が無かったのに、こんなに水があるんだね、どうやって氷になったんだろう。天然の冷蔵庫だね。」など、体感したことから疑問や気づきが湧いてきます。

 地上へ出た後、緑輝く樹海~紅葉台~三湖台へとハイキングしました。山道を登り振り向けば、昨日歩いた富士山がそびえ、足元を見れば、オトシブミの卵をまいた葉や、誰かが食べた葉っぱの跡、その他、様々な虫、キノコなどの生き物たちが発見でき楽しい時間を過ごしました。

■2日目午後「ネイチャーラリー」

 原始時代にタイムスリップしたイメージで、自然の中で生きていくために必要なことを、ゲーム形式で体験していただきました。1チーム5.6人が力を合わせて各ポイントを巡りました。ヤリ投げ、竹ポックリ、人工物を探すカモフラージュ、ハンターパチンコ、重さ当て、などなど、頭と体をバランスよく使い、課題をクリアーしていきました。課題をクリアーするたびに、歓声上がり、チームメイトと喜び合っていました。一日ハードな活動が続きましたが、子供たちから「楽しかった~!」と嬉しい声が。サポートしたスタッフに笑顔がこぼれました。

■3日目「水生生物の観察」

 天気に恵まれた最終日、「陣場の滝」で水生生物を観察しました。富士山の湧水や天子山塊からの地下水が交わる場所で水生生物を探します。カワゲラやカゲロウ、ヒゲナガカワトビケラといったきれいな水に棲む生物がいっぱい確認出来ました。

■最後に

 3日間通して、富士山をフィールドに森や水にかかわる探求学習を行いましたが、さまざまな角度からそれぞれに気づきや発見があり、もっと調べたい、もっと知りたいと思う自然体験になったのではないかと思います。リアルに感じる、楽しい探求学習の時間、ありがとうございました。またお会いしましょう!

<リポート 藤園麻里>

湘南学園小学校 サイト情報

湘南学園小学校 (shogak.ac.jp)

2024-06-24 | Blog, イベント報告

2024年5月27日 横浜市立領家中学校「洞窟探検」

 富士山麓には溶岩流が作り出した溶岩洞窟が70個以上あることが確認されています。まだ発見されていない洞窟も含めると、実際には100個以上あるとも見られています。洞窟の形(大きさ、長さ、深さ)はすべて異なり、その造形美は、とても感動的です。

 横浜市立領家中学校の生徒さん(138名)が、青木ヶ原溶岩台地の一角で「洞窟探険」を体験しました。今回は6つのポイントを設定、「4つの洞窟体験+2つの自然解説」でローテーションを回しすべての生徒さんに全ポイントを体験して頂きました。

各ポイントの活動の模様をご紹介します。

■ポイント1: 4つの洞窟の中では一番大きな洞窟で立って歩くことが出来ます。

 一足中に踏み入れると冷たい空気が漂い、天井からぶらさがる木の根や菌類の様子を興味深く観察したり、溶岩棚の形成について意見交換しました。天井は沢山の水滴が光ってとても綺麗です。玄武岩の小さな穴に水が浸みています。

■ポイント2: 幅も高さも狭い穴を抜けていきます。

 「洞窟の中でも虫が生きている」「水滴が付いてキラキラしている蜘蛛の巣がきれいだった」「金色に光る菌が天井いっぱいに散りばめられていて、綺麗!」などなど、色々な気付きがありました。

 地上に出てきました。頑張りました!

■ポイント3: 溶岩の自然解説

 溶岩洞窟を目の前にして「青木ヶ原樹海と貞観噴火」について解説いたしました。生徒さんはすでに地学で岩石を習っていて「玄武岩」をご存じでした。「月も玄武岩で出来ているよ」との説明に「富士山も月も同じ玄武岩なんだ!」と感嘆の声が。

■ポイント4: 出口は2箇所、どちらの出口もとっても狭い洞窟

 「え~ここを行くの?」「行けるかなあ?」「大丈夫?」と最初は自信のなそうな声ばかり。ガイドが抜けていくコツを伝授すると、さすがに体が柔らかい中学生、次から次から進んで行きます。

 地上に出る穴は小さいが、足場と腕力を使って無事帰還出来ました。

■ポイント5: 富士山や樹海に生息する動物たちの解説

 富士山の山麓には沢山の動物が生息していることを学びました。実物の鹿の角2本を持って「こんなに重いんだ!」とビックリ。カモシカの角も実物で確認しましたが、富士山に「カモシカがいることを初めて知った」との声も。また夕方になるとこの洞窟にコウモリが飛び交うことをお話しすると「夕方にもう一度来てみたい」と好奇心いっぱいでした。

■ポイント6: 一番高さがない洞窟

 入口は狭いが内部は広間のような感じ、でも天井が低く這って奥まで進みます。木の根っ子が岩を突き抜けている姿、洞窟に差し込む小さな光に感動の声が上がっていました。

■最後に

 4つの洞窟はそれぞれに特徴があり、また、探険の苦労もそれぞれでした。「溶岩流」「動物」の解説ポイントを合せ、溶岩流が作り出した洞窟の自然美、造形美を楽しみながら、洞窟の成立ち、そこに生きる樹木、動物、昆虫等を観察することが出来ました。実体験は「考えていたこと」から「確信」に変わる瞬間です。生徒さん一人一人がその瞬間を多くの仲間と共有出来たことはとても有意義な活動になったと思います。領家中学校の皆さま、また富士山麓でお会いしましょう。

<リポート 田中>

2024-06-22 | Blog, イベント報告

2024年5月14日 横浜市立日吉台中学校1年生 自然体験活動「ネイチャーラリー」

 入学間もない横浜市立日吉台中学校1年生(10クラス 354名)の皆さんが「遠足」で箱根にいらっしゃいました。その中の活動として「ネイチャーラリー」に挑戦して頂きました。

 10時、予定通りの時間に箱根仙石原「星槎レイクアリーナ箱根」に到着。大涌谷から流れてくる「硫黄の香り」が生徒さん達を包み込み、箱根に到着したことを実感したことでしょう。元気な新入生の「おはようございます」の挨拶が行き交う中、大軍団が次々とグラウンドに集結してきました。運営委員(生徒)の進行で「開校式(開会式)」が始まり、この遠足の目的などが確認されました。

 「ネイチャーラリー」は、現在の便利な時代から一旦、原始の時代(人の営みの原点)に遡って人の生命力や知恵を体験するゲームです。8つのポイントに挑戦し、その成果で点数が付与されます。求められる能力は ①体力 ②感性 ③知恵、論理性 などですが最も重要な要素は「チームワーク」です。考える力はグループ全員の総和であり、その結果が成果に表れます。

 ルール説明、安全遵守事項の確認を行って、いよいよスタートです。55グループが最初のポイントに向かって、猛ダッシュ! して行きました。 

 今回は、オプションポイントとして「箱根の植物観察」が追加されました。ゲームを楽しみながら「少なくとも5種類の植物を覚えよう!」の取組みも行いました。

 活動の様子をご紹介します。

<ハンター:狩猟で食料を確保します>
<サイレントウォーク:獲物に気づかれないように近づきます>
<食べられる植物探し:猛毒な植物を見分けます>
<丸太切り:正確に丸太を切り落とします>
<植物観察:この植物の名前は? 特徴は?>

活動途中、「どうですか?」と声掛けすると

・簡単そうに見えて皆な難しい。思うように点が取れていない。

・時間配分を間違えて、まだ植物観察に行けていない。

・ハンター、ヤリ投げは上手くいった。コツを理解したから。

・重さ当ては、2回挑戦したが点数が取れなかった。がっくり!

・1回目より2回目は点数が伸びる。もっと回りたいが時間が足りない、残念。

・他のクラスの人とも交流できた。楽しかった。

・自分のグループは、この点数なので、あまりクラスに貢献出来ないだろう。

・どれが毒の植物か分からない。気を付けないと。

・どのポイントも初めての体験で、楽しかった。

などなど率直な感想が返ってきました。「楽しかった」は、積極的に取組んだ証しですね。

 2.5時間があっという間に過ぎて終了の笛が鳴ると、生徒さんが次々に戻ってきました。運営委員の司会で、午前の部のクロージング。いよいよクラス別総合得点の集計、発表です。総合得点トップは411点を獲得した4組、2位は393点を獲得した8組、3位は391点を獲得した1組でした。4組の皆さま、優勝おめでとうございました。上位3クラスに賞状をお贈りいたしました。

 横浜市立日吉台中学校の教育目標は「共に生きる」と伺いました。まだ入学して間もない1年生(新入生)が、この目標の実現に向けて新たな歩みをスタートしました。この箱根での活動が学年全体の協調、連帯を高める活動になったとしたら、とても幸いです。

<リポート 田中>

2024-06-17 | Blog, イベント報告

2024年5月8日 横浜隼人中学校1年生「富岳風穴~野鳥の森公園」樹海ツアー

 まだ、入学間もない元気いっぱいな横浜隼人中学校1年生(114名)の皆さんが富士山麓にいらっしゃいました。 その中でプランされた「樹海ツアー」を富士山ネイチャークラブがサポートいたしました。新緑が映えるこの季節の樹海の森をじっくり観察できる「富岳風穴(溶岩洞穴)~野鳥の森公園」が今回のコースです。

 「早起きだったから眠い」と言う生徒さんもいましたが、先ずは富岳風穴に入洞します。一歩入ると、ひんやりした空気に包まれ、眠気も吹き飛び、氷の世界に魅了されました。そして、昔、蚕の卵や種を保管して、天然の冷蔵庫として利用したことも学びました。

 ガイドの説明に耳を傾け、自分の考えや意見をはっきり言える生徒さんが多く、ツアーの中でもガイドとの会話が弾みました。そして、多くの気づき、発見、感動がありました。

 生徒さん達との活動の一部をご紹介します。

■ “曲がっている木が多い。根っこが地面にたくさん出ている。倒木が多い。コケがたくさんある” と、素早く樹海の森の特徴を発見、それはなぜ?と分析が始まりました。

■どんな匂いがしますか? 匂いも森の観察にとても重要です。

■倒れた木の根っこの形を見て、“これで生きていたの?”

■“ギンリョウソウはキノコみたい!” “白い飴細工みたい!” 森の中でひときわ目立つギンリョウソウの姿はこの季節ならではの発見でした。ガイドからその生態の説明に「えー」との驚きの声が。

■森に生きる動物たちの痕跡も沢山発見しました。“リスの食痕(松ぼっくりのエビフライ)シカのフンや食痕、イノシシの掘った穴などなど。

■森のさえずりの主人公は「焼酎一杯グイー」と鳴く「センダイムシクイ」でした。グループ全員がその鳴声を確認し、きれいな声に聞きほれました。

■「クマは怖い!」という生徒さんにクマについて話をしました。森林生態系におけるツキノワグマの役割は、①種子散布(山桜や山ぶどうの種を散布し増やす)、②スズメバチの天敵としての君臨 などです。 クマによる被害などをテレビで見て怖いと思っていた生徒さんは、「クマを少し見直した」と言ってくれました。人間の側からだけでなく、自然からの見方をするだけで違う世界が広がったことと思います。自分とは違う意見も素直に聞いて、さらに思考することのできる生徒さんたちでした。

■菌類についても盛り上がりました。ロクショウグサレキンの色鮮やかさはインパクトが強く、腐生菌としての役割も理解し、菌類探しに夢中になったグループもありました。菌は樹海で観察されるような森を再生する役割だけではなく、人間の体の中にも1000種類以上の腸内細菌、数は100兆個以上、重さにすると1.5㎏ほど常在していて、食べ物の消化や免疫力の維持に貢献していると紹介すると大変驚いた様子でした。菌は汚いものではなく、すべての生き物にとってなくてはならないものと認識ができました。

■溶岩が繰返し流れ、何層にも重なって今の形になっていること確認。

■その他、ルーペを使ってコケや溶岩、虫やキノコなどのミクロの世界を観察したり、磁石が岩にくっつく実験を行ったり・・・・。私たちガイドもさまざまな発見を生徒さんとたちと共有する事が出来ました。

 横浜隼人中学校の生徒さんたちは、強い好奇心を背景に、主体的、かつ積極的に学んでいる姿がとても印象的でした。

 ツアーのクロージング(振り返り)では、

①生物(植物、動物、菌類)はお互いに依存しながら生きていること。その環境を維持していくことの重要性

②そこにある対象を理解するためには、自分の目で確かめ、自分の耳で聞き、自分の指先で確認し、そして匂いも。現地現物(事実)を自ら検証することの重要性

を共有しました。

 これからも自然環境(地球環境)に関心を持って中学校での学びを更に深めてくれることでしょう。そして、森の一員として樹海に遊びに来てくださいね。

<リポート 関口東子>

横浜隼人中学・高等校 サイト情報

https://www.hayato.ed.jp/

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