2023-06-15 |
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イベント報告
「楽しみにしていた富士登山でしたが、青木ヶ原樹海でもいろいろな体験をしましょう」と開会式で元気よく挨拶された代表の生徒さん。あいにくの天候で、「富士山五合目中道ツアー」が変更され、「青木ヶ原樹海の体験学習」が行われました。
先ずは「コウモリ穴入洞」からスタートし、その後ゴールの「野鳥の森公園」まで、青木ヶ原樹海の自然について体験学習して頂きました。
体験学習は「なぜ?」「どうして?」「不思議だ!」などの気付きから始まります。好奇心や積極的な姿勢がその源になりますが、生徒さんからは様々な感想、疑問、質問がありました。その都度ガイドを交えて積極的なディスカッションが行われました。
・一番最近の富士山噴火は? “宝永噴火!江戸時代!”と即答の生徒さん
>側火山であることも知っていました。すごいね。
・青木ヶ原樹海の第一印象は? “青い” “綺麗”
>青木ヶ原樹海の特徴を見事に表現されました。
・樹海の中には、様々な溶岩の造形が。盛り上がったところ、割れたところ、穴になったところを見て、“すごい”“かっこいい”
>ダイレクトな感想ですね。
・“鍾乳洞の天井は凸凹していたが、コウモリ穴(溶岩洞穴)はあまり凸凹していなかった”
>洞穴の出来方の違いに早速気付いていました。
・コウモリ穴(溶岩洞穴)の第一印象は? 即座に “寒い!”
>なぜ、寒いのか・・・皆で考えてみました。
・縄状溶岩流を見て“これは「WiーFiマーク」だ”
>発想の豊かさに感動。なるほどなるほど! どちらも波の形ですね。
・“一つの溶岩洞穴の中でもツルツルの表面、縄状の溶岩、天井から溶岩が垂れた跡、壁からずり落ちた溶岩などなど、様々な現象があることが確認出来ました”
>ではなぜ、そのようなことが起きたのでしょうか? ガイドの説明に納得の様子でした。
・“コウモリは哺乳類唯一の自力飛翔できる生き物だよ”と解説してくれた生徒さん。
>お見事です。
・“樹海の中では磁石が効かないと聞いたが、本当ですか?”
>では、実際に磁石を近づけて見ましょう。 確かに回った! でも、ちょっと遠ざけると磁石は正常に動くことも確認出来ました。
・“磁鉄鉱は知っています”と複数の声が。
>近づけると磁石が回る理由に納得の様子、そしてすべての溶岩が回る訳ではないことも理解出来ました。
・松ぼっくりを食べた跡(森のエビフライ)を発見して“これはリスが食べたものだよ”と解説する生徒さんが複数いらっしゃいました。
>松ぼっくり(ツガ、アカマツ、ゴヨウマツなど)のエビフライを皆で探す姿はとても微笑ましかったです。
・松ぼっくりが岩の隙間にいっぱい積んであるのを見て“これはリスの仕業だね”
>細かなところに注目できました。リスの生態をご存じのようでした。
・シカが樹皮を食べた跡をみて “木が枯れてしまわないのか?”と心配の声が。
>枯れてしまった木と生き残っている木を比較してみましょう。
・植物が生きるための条件は? すかさず“水分、養分、光”と回答。学校で習ったとのこと。
>樹海は植物にとって非常に厳しい環境にあることを実感しながら、 樹海の「森の変遷」について事例検証しました。
・ギンリョウソウを発見すると“この植物はキノコから栄養もらっている”と説明してくれた生徒さん。
>その通り、秋になると近くにキノコが出る可能性がありますね。
以上の他にも、色々な発見から、話が盛り上がっていました。
ひとつのグループでは鳥の卵を2つも見つけました。ともに孵化したあとのものでひとつは青みがかっていて、もうひとつは白でした。生徒さんたちの顔がパッと輝いた瞬間でした。言葉で語って伝えるより、その時その場で出会う、現象、現物を確認することが圧倒的に感動を共有出来ることが実感できました。青と白の違いは謎のままでしたが、生徒さん達が今後解明してくれることを期待します。
たくさんの “なぜ?” “どうして?” “不思議だ!” の気づきが生まれた体験学習でした。自然体験学習においてこの気づきはとても重要で、そこからそれぞれの発見や意見について、お互いに考え、学び合うことができるからです。どんな小さな発見も躊躇せず発言してくれた堀兼中学校の生徒さん、ありがとうございました。みんなの気づきから自然体験学習は何倍も面白く、そして学びの幅を広げることが出来ることを改めて感じることができたツアーになりました。
<リポート 関口、田中>
2023-06-14 |
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イベント報告
新緑が美しい富士山麓に横浜市立新井中学校1年生の皆さんが「自然教室」でいらっしゃいました。入学して間もないこの時季の宿泊旅行でしたが、活き活きとした生徒さんたちの表情には中学生になった自覚や中学生生活のスタートに向けた希望に満ちあふれていました。
初日の午後、ホテルのホールで「草木染め」を体験して頂きました。現在、主流となっている化学染料は江戸末期に日本に入って来ましたが、それ以前は自然素材(植物、岩石、生物)を使った染めが行われていました。そもそも色の付いた布は貴重で高価でした。身分の高い人の衣類の生地として、更にはお守り、おまじない、魔除けの役目も果たしていました。
草木から染め液を抽出した「草木染め」は古くから伝わる日本の伝統工芸として受け継がれて来ましたが、今回、この古来の技を体験して頂きました。
染め液は「マリーゴールド」から抽出したもの使用しました。当法人のメンバーが畑で育てたマリーゴールドを秋に刈り取り、それを刻んで煮出して抽出した染め液です。染める布は「バンダナ」。
先ずは「バンダナ」に輪ゴムを巻いて「模様付け」を行います。模様の出来上がりを想像しながら、強く巻いて色の境目をはっきりさせたり、緩く巻いてぼかしたりと作業を進めていきます。個性が大いに発揮される場面です。色々な発想が入り混じって模様が出来上がっていきます。“いやー、もうどんな模様になるか想像付かなくなってしまった!”と生徒さんの正直な声が。
模様付けが終わるといよいよ染めに入ります。染め液に浸けて、媒染液(ミョウバン水)に浸ける・・・・これを何回か繰り返していくと、徐々に「マリーゴールド」の黄色に染め上がってきました。
色が落ち着いたとこで、いよいよ輪ゴムを外し、そこに描かれた模様とご対面です。素晴らしい作品が出来上がりました。
生徒さんからは“染め液が臭かった”“全く想像外の模様が出来た”“とても良い色が出てきて楽しかった”“この作品に満足している”などなど率直な感想を伺うことが出来ました。また、「もの作り」は楽しい! 自分の感性が表現出来た! 自然素材で作った作品は環境にも優しい! などなど「草木染め」体験から新しい気付もありました。やってみて初めて分かることが沢山あります。これからも色々なことに挑戦して感性を高めていって欲しいと願いつつ、生徒さんたちとお別れしました。
<リポート 田中>
2023-06-13 |
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イベント報告
昨年に引き続き、今年も横浜市立名瀬中学校のみなさんと「樹海~三湖台」へ行って来ました。スタートは富岳風穴、そこから青木ヶ原樹海の森を抜けて足和田山系の三湖台に至るトレッキングルートです。
樹海の体験は初めてとの生徒さんが多い中、「青木ヶ原樹海のイメージは?」と聞いてみると、「怖くて暗いイメージ」という生徒さんの声がほとんどでした。
先ず、富岳風穴に入洞しましたが、「森の中にあんなに大きな空間(洞穴)があるなんて」「中は寒くてびっくり」などと驚きの声が上がっていました。溶岩洞穴の成立ちに興味津々の様子でした。青木ヶ原樹海は平安時代初期の864~866年の貞観噴火が由来で、この時、大量の溶岩を富士山は噴出しました。溶岩が流れて表面が冷えて固まり、内部は高温のまま流れ続け、トンネル状の穴ができあがるのです。樹海には溶岩洞穴が100個以上あると言われています。
森を歩きながら、それぞれの班で決めた「テーマ」に沿って自然観察を進めて行きました。「キノコ」がテーマの班は、1センチにも満たない小さなキノコも見逃さず、熱心に写真を撮っているのが印象的でした。溶岩台地の起伏の激しい厳しい環境の中にあっても木々やキノコがしっかり育っていること、また、リスやネズミの食痕なども観察することができました。
樹海を抜けると、森の雰囲気が一気に変わります。「見渡せる感じ」「明るい」と生徒さんたち。足和田山系は、富士山よりもずっと前、約1000万年前に海から隆起してできた山で、ヒノキやツガなどの針葉樹が多かった樹海に対し、ミズナラやミズキなどの落葉樹の森になります。
ここから少しずつ登っていくと、すばらしい景色が広がります。この日は晴天で数日前に富士山に降った雪の白さと空の青のコントラストがとても美しい光景を作りだしていました。
ひとつめの展望スポット、「旧紅葉台」で初めて富士の勇姿が表れ、大きな歓声が上がっていました。
そして二つ目の展望スポット「紅葉台」では感動の大パノラマが広がっていました。
さらに登っていくと三湖台山頂になります。広大な青木ヶ原樹海、西湖、本栖湖を見渡せ、樹海の広さを実感することができました。もちろん富士山の眺めも最高でした。
ゴールでの振り返りでは、「樹海の暗いイメージはなくなったかな」と感想がありました。青木ヶ原樹海というひとつの森が生まれた時期や成立ちを学びながら現地、現物を体験して頂きましたが、班で掲げた「テーマ」に沿ってひとりひとり新しい発見ができたようで、とても嬉しかったです。これからもさまざまな自然に目を向けて、体験を積み重ね、感性を磨いていってください。
<リポート 関口>
2023-05-26 |
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イベント報告
入学してまだ1ヶ月程の横浜市立茅ケ崎中学校1学年の皆さんが「遠足/野外活動」で箱根にいらっしゃいました。自然豊かな森に囲まれた「レイクアリーナ箱根」のグラウンドおよび周辺の自然遊歩道を利用して、クラス及び学年全体の親交と連帯を深める活動に取組まれました。
澄み切った青空と新緑の森が皆さんの到着を待っていました。8台のバスが到着すると、次々に「おはようございます」の元気な声が飛び交い、この日の活動に向けた期待と熱意が伝わってきました。
この日の活動は、第1部(午前):班別に活動する「ネイチャーラリー」 第2部(午後):クラス別に活動する「クラスビルディング」で構成され、いずれもクラス対抗戦として総合得点を競います。
■第1部 「ネイチャーラリー」・・・・班活動(1班6人程度)
石器時代(旧、新)を想定して、人類が自然の中でどう生き延びてきたかをゲーム形式で原体験するものです。どうやって獲物(食料)を確保するか! そっと獲物に近づく技! 足跡から動物を特定する能力! 遠くまでヤリを投げる身体能力! 物の重さを特定する感性! 正確に木を加工する技術! 毒を持つ植物を見分ける知識! などなど色々な課題に挑戦して頂きました。
また、自然遊歩道の周回コースでは、豊かな箱根の植物を楽しみながら、5種類の植物探し(出題されたの植物の名前や特徴を記録する)活動も実施しました。
「ネイチャーラリー」は、すべてが班の自主的な活動に委ねられます。創意工夫、チームワークが班の成果(得点)となり、クラスの総合点に貢献します。制限時間ぎりぎりまで熱い挑戦が続きました。
■第2部 「クラスビルディング」・・・・クラス単位で活動
クラスの連帯をより深める活動としてフィールドゲームを実施しました。活動の結果はすべて得点化されるため、よそのクラスの結果を横目で見ながら、真剣な活動が続きました。
「富士山クイズ YES/NO」では、クイズに答えながら、富士山の自然(恩恵と脅威)、文化、地域との関わり、などについて学びました。クラスの戦略が当たり高得点を獲得したクラスもあり、それぞれのクラスで歓声が上がっていました。
「整列ゲーム」では、クラスが一体となって課題の順番に並び変えるゲームです。ここでもそれぞれのクラスの取組みに工夫が見られ、真剣な活動が続きました。
■総合点
第1部、第2部を合せた総合得点で。744点を獲得した3組が見事優勝となりました。3組の皆さんおめでとうございました。
■最後に
学校様が掲げたこの遠足の目的は ①集団行動<自覚を持った行動> ②親睦と仲間づくり<生徒・教師・クラス・学年> にありました。富士山ネイチャークラブがサポートさせて頂いたこの日の活動が、目的に叶うものになったなら大変光栄に思います。
<リポート 田中>
2023-05-26 |
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イベント報告
大妻多摩中学校は、入学間もない新入生の「オリエンテーション」をこの時季に富士山麓で実施することが恒例になっています。今年も4月20日~22日の3日間に渡って実施されました。
「オリエンテーション」の一環として自然体験プログラムが企画され、その活動を富士山ネイチャークラブがサポートいたしました。
■初日(4月20日) 「チームビルディング」
快晴の中、新入生約150人が鳴沢村の「活き活き広場」に集い、自然体験活動を通してクラス、そして学年全体の親交と連帯を図る「チームビルディング」を実施しました。
第1部/第2部構成で実施しましたが、それぞれの活動結果は得点化され、クラスマッチで競って頂きました。
第1部「フレンドシップゲーム」
身も心も解放して、クラス/学年全体の親交を一気に深めます。「挨拶ゲーム」では、学年全体で1月~12月生まれの人を探して挨拶するゲームです。入学間もない生徒さん達は大半が初めて会話する人ばかり、このゲームを通して10人を超える学友と知り合いになることが出来ました。この日の出会いは、必ずや今後の学校生活を豊かにしてくれることでしょう。
引き続いて「富士山クイズ YES/NO 」にも挑戦して頂きました。クイズに答えながら富士山の自然や文化、地域産業との関係などについて学んで頂きました。
第2部「ネイチャーラリー」
原始の時代(旧石器時代~新石器時代)の暮らしをゲーム化した体験活動です。グループ(6人程)で力を合わせて、8つの課題(ポイント)に挑戦して行きます。最も原始的な暮らしぶりを体験することで、持続可能な世界(地球)の今後を考える機会となったことでしょう。
クラスマッチは、844点を獲得した「4組」が見事優勝となりました。4組の皆さん、おめでとうございました。
■2日目午前 「富士山講話」
ホテルのホールにて座学「富士山講話」を実施しました。副題は「富士山を学んで自然のことを考えよう」でした。標高0m~3776mに至る富士山は、本州の自然体系が集約されて存在する貴重な山と言えます。この富士山の自然やその変化を学ぶことで、自然環境(地球環境)の課題に気付き、今後の取組みへの起点となることを願っています。
■2日目午後 「青木ヶ原樹海自然探究ツアー」
午前の講話に引続き、午後からフィールド学習として「青木ヶ原樹海自然探究ツアー」を実施しました。イメージしていた樹海と実踏して探究した事実に、大きなギャップがあったようですが、改めて現地、現物を確認する事の大切さが理解されたと思います。
最後に
大妻多摩中学校新入生「オリエンテーション」の一環として、チームビルディング活動、自然探究ツアーをサポートさせて頂きましたが、今年の新入生も大妻の伝統を受け継ぐに相応しい礼儀作法と笑顔がとても印象的でした。サポートしたスタッフからも、「今年の大妻多摩生も本当にすがすがしい生徒さん達だった」との声が多くありました。
大妻多摩中学高等学校様は、教育理念として「自立自存」「寛容と共生」「地球感覚」を3つの柱として掲げられています。今回の活動サポートがその一助になったとしたら幸いです。
<リポート 田中>
大妻多摩中学校 サイト情報
大妻多摩中学高等学校 (otsuma-tama.ed.jp)
2022-12-09 |
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イベント報告
富士五湖地方を紅葉が染め上げていたこの日、森村学園中等部1年生の皆様を「青木ヶ原樹海と溶岩洞穴」にご案内させて頂きました。
ご案内した「西湖コウモリ穴~野鳥の森公園」のコースは、現地で最も奨励されているモデルコースとなっていて、2時間というガイドウオークで富士山の造り上げた火山活動による大自然の奥深さに触れることができます。
この日のプログラムは選択制とのこと。4つプログラムの中で最も人気があったそうです。前日の活動では(やはり選択制だったそうです。)「金時山に登ったんです!」という元気で自然大好きな生徒さんもいらして、「なかなか良いチョイスですね。」と、こちらもテンションが上がります。
箱根火山帯に属する30万年前の成層火山である「金時山」と、まだ新しい火山である富士山のしかもわずか1200年にも満たない噴火の溶岩上に形成された「青木ヶ原樹海」と、どこがどのように異なるのか、そしてそれは何故なのか、自然は謎に満ちていますが比較していくことで大いなるヒントが得られたことでしょう。
全体の概要をお話ししたのち、まずは「西湖コウモリ穴」に入洞します。青木ヶ原樹海には100以上の溶岩洞穴が発見されていますがこちらはその代表的なもの。森林生態系の一員である(大切な役割を担う)「コウモリ」が多数生息していることでこちらの洞穴とコウモリは天然記念物として保護されています。
このような溶岩洞穴が富士山の火山噴火によってどのように出来たのか、「溶岩チューブ潜り体験」や「縄状溶岩の観察」を通して考え、学びます。
40分ほどの溶岩洞穴体験のあと、いよいよ青木ヶ原樹海の探索に向かいます。
森にはその森の主人公の樹種があって、例えば世界自然遺産の「屋久島」では「屋久杉」、同じく世界遺産の「白神山地」では?
「ブナ!」
元気よく答えてくれた生徒さんがいて嬉しくなりました。そう、だけどこの森にはスギもブナもなくて、ここの主人公はね...。
そこでこちらの主人公のご紹介。枝ぶりや幹の特徴などで見分け方をお伝えします。何故、スギやブナがないのか、なども含めてそれぞれの森林生態系の成り立ちやそれぞれの異なる環境のことなど。熱心にメモを取る生徒さんもいらして、「レポートを書かないといけないんです。」 どんなレポートに仕上がったでしょうか。いつか見せていただきたいものです。
この日の青木ヶ原樹海はその名に由来する青々とした針葉樹が広がっていましたが、三割ほどの落葉樹が美しく林床を染めており、「紅葉の秘密」についてのレクチャーもさせていただきました。
また、たくさんの生物の温床でもあります。哺乳類、野鳥、昆虫などなど。その動物たちの痕跡の中で、シカと二ホンリスのお話をしました。特定の種類が減っていく、あるいは増えていく、その原因はどこにあるのか。わたしたち人間だけの問題だけではなく地球環境を考えるSDG‘sにもつながって行きそうなテーマです。
この日のゴールは、「野鳥の森公園」。
到着したとたんに歓声があがります。それもそのはず、青木ヶ原樹海の中では見られなかった深紅のモミジのお出迎え。そして、富士山も顔を出して、最高の秋の一日になったのではないでしょうか。
<リポート 舟津川>
◆参考情報
森村学園 サイト情報
森村学園 中等部・高等部 (morimura.ac.jp)
2022-12-06 |
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イベント報告
前日の雨は、富士山では大雪に。真っ白な富士山と山麓の紅葉が見事なコントラストを描く中、山崎学園富士見中学校1年生が鳴沢の広場に集いました。「課題解決型チームビルディング」活動として、「第1部 フレンドシップゲーム」「第2部 ネイチャーラリー」に挑戦しました。その活動の成果を1部、2部合わせてクラス対抗で競いました。
■第1部「フレンドシップゲーム」
入学して8ヶ月、生徒数が250名を超える学年では、まだまだ知り合いになっていない生徒さんがたくさんいらっしゃいます。この活動を通してクラスの枠を超えた出会いの機会を作り、学年全体の親交を深めました。
・「挨拶ゲーム」 出来るだけ多くの人と「挨拶」するゲームです。クラス以外の人で1月~12月生まれの人と挨拶します。240人の中から挨拶の相手を探し出す活動は、まさに学年全体が大きな渦を作り出している光景でした。出会いの機会は色々ですが、このゲームで知り合いになれた人が増えたことは大きな財産となったことでしょう。
・「タイムセンスゲーム」 クラス全員の時間に対する感性を試します。個人として、クラスとしてどのような戦略を描いて挑んたか・・・・それが結果に表れます。「やったー!」「えー?」悲喜こもごもの歓声がこだましていました。
・「並び替えゲーム」 円陣の状態から指示にしたがって一気に並び替えします。発言禁止の中、色々なジャスターを交えてコミュニケーションを図ります。クラス全員が正確に並び替えることが出来たクラス、及ばなかったクラスが半々と、厳しい結果となりましたが、改めて大勢でのコミュニケーションの難しさを体験しました。
・「富士山クイズ YES/NO」 富士山に関するクイズを考えながら、富士山の自然、文化、信仰・・・など幅広く学びました。
■第2部 「ネイチャーラリー」
このプログラムは現在の便利な生活から、一旦原始の時代に遡って自然の中で生きていくための課題を原体験するものです。5,6人で構成したグループ単位で、各ポイントに設定された課題をクリアーしながら得点を獲得して行きます。
食料を確保する「ヤリ投げ」「ハンター(パチンコ)」「サイレントウォーク」「足跡から動物探し」、 暗闇を進む「目かくしロープ」、自然にはあり得ない物を見分ける「カモフラージュ」、重さの感性を確かめる「重さ当て」、丸太を精度良く切り出す「丸太切り」などなど自然の中で生きていくための課題を体験しました。
「簡単そうに見えてなかなか得点が取れない!」「グループで話し合って決めたが間違った、どうしたらよいのか?」「ヤリ投げやハンター(パチンコ)はコツが分かったら上手くいった」「自分の食料は自分で確保する? 生きるためにはやるしかない」「暗闇でもロープ1本あればまとまって進める」「すべてのポイントが楽しい体験だった」などなど色々な感想が寄せられました。
各ポイントの挑戦が進むにつれて、各グループの熱気が益々高まって行きました。「何としても10点取ります!」「2回目で必ず挽回します」「次のポイントまで走ります」・・・熱い挑戦は時間いっぱいまで続きました。チーム一丸となって課題に挑戦する姿は、チームビルディングの本質を見事に体現した活動となりました。逆転優勝した竹組の皆さんおめでとうございました。
<リポート 田中>
参考情報> 山崎学園富士見中学校高等学校サイト情報
https://www.fujimi.ac.jp/
2022-11-02 |
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イベント報告
10月6、7日に、杉並区立荻窪小学校5年生の子供たちと「草木染め」と「ネイチャーラリー」を行いました。前日から天候は荒れ模様で、二日目の山中湖を見下ろすことができる明神山登山の予定は「草木染め」の活動になりました。でも子供たちは元気いっぱい。移動教室を楽しむ姿勢は天候など関係なく心も身体もリフレッシュできたようでした。
「草木染め」は、草木で煮出しだした染液で布を染めます。今回は「セイタカアワダチソウ」という草花で作った染液で染めました。北アメリカ原産で黄色い花が特徴です。
まずは、白いバンダナを輪ゴムでしばり模様付けします。輪ゴムをどのように巻くかで模様が変わり、強く巻くと染液が入らないので白地に、ゆるく巻くと淡い染め色に、巻かれていないところは本来の染め色になります。
「模様をイメージしてみて」と促しても、子供たちは「想像できない。どうしよう」と悩む姿もありました。でも実際に輪ゴムでバンダナを巻いていくと手が勝手に動くようになるのか、バンダナの中央を巻いてそのあとに四隅をまとめて巻いてみる、輪ゴムを少しずつ全体的に巻いてみる、などなど個性が出てきました。
実際に輪ゴムがどのような模様を作り出すかは、正確には分かりません。予測不可能であることには不安もよぎりますが、体験活動はワクワク感の方が勝り、子供たちの創作意欲がどんどんあふれてきます。模様付けが終わるといよいよ染めの作業になります。
バケツに入った染液にバンダナを入れ5分ほど漬けます。静かにかき混ぜながら行いますが、染液の色は深くにごった緑色。おそるおそる手を入れる子供たちでしたが、全員で「きれいに染まれ」と祈りながら染めました。色を定着させるために媒染液にも入れ、これを数回繰り返しました。
「見て、見て~」と、最後に輪ゴムを外したバンダナを広げて見せてくれた子供たち。どれひとつとして同じものはできません。草木染めは自然のものなので、毎回同じ色合いになるわけではないのも魅力の一つで、まるで子供たちの成長と同じようにひとつの色に均一に染まらないのが面白いのです。
翌日もあいにくの雨になってしまいました。屋外広場で行う予定だった「ネイチャーラリー」は、体育館などを中心に宿舎の屋内で行われました。子供たちの声が宿舎内にこだました一日になりました。ラリーの種目も屋外で行う時とほとんど変わらず、多種多様なものに挑戦することができました。5,6人の24チームに分かれ、8種目のラリーを体験しました。
広い体育館では「やり投げ」「魚つり」「目かくしロープ」を行いました。「さあ、マンモスを捕らえるつもりで!」「え~い!!!」と元気な声が響いたのは「やり投げ」でした。
「わあ~落とした!」「もっとつるぞ!」と、時間制限付きの「魚つり」は慌てずたくさんの魚をつる競技でした。
「右!いや左曲がって!」「え~どっち???」と、そろそろ歩きながら進む種目は「目かくしロープ」。目隠しをしてロープを持って歩くので、「暗くてこわかった」「もっと長い距離を歩いた気がする」と暗闇体験は新鮮でした。
屋外では、いつも人気の「火おこし」と「丸太切り」を行いました。雨天でうまく火がつくか、スタッフの心配もよそにしっかり火をおこすことできました。「私はできなかったけれど、火おこしが一番楽しい」と、今回もその魅力にはまった子供は多数いたようでした。「丸太切り」はのこぎりの扱いは初めてという子供が多く、貴重な体験になったことと思います。
重さという感覚を改めて実感してみる「重さ当て」。そろりそろりと気配を隠しながら歩く「サイレントウォーク」。日常生活ではなかなか意識しない感覚を呼び覚ます「ネイチャーラリー」は毎回子供たちに好評で、時間終了まで、何度もラリー種目に挑戦し続ける姿は本当にうれしく思います。
最後にこのラリーの目的を子供たちに聞いてみると、
「昔の体験」「サバイバル」「自然を味わう」「チームワーク!」「昔からの伝統的な方法を知ること」など、すばらしい答えが返ってきました。
「全部、正解!」です。体験活動の学びが、ラリーを通して伝わったことに感動しました。意見が分かれても、それをどのようにまとめ上げるかを全員で話し合いながら進めていく姿もみることができ「チームワーク」という答えが出たのだと思いました。荻窪小5年生の子供たちがチーム一丸となれた二日間でした。
<リポート 関口>
2022-10-31 |
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イベント報告
9月29日~10月1日に富士山麓の森に開智日本橋学園中学校2年生がやってきました。 2年生は探究学習として「森のフィールドワーク」を毎年実施されていますが、富士山ネイチャークラブはこの活動をずっと支援しています。学園の生徒たちも先生方も事前学習、事前準備を重ねて本番に臨んで来られます。
本番に先駆けて、9月6日スタッフの田中が学園に伺い、生徒たちに事前学習講話を行いました。この探究学習は「現地発見・現地解決型活動」を旨としていますが、2日間という限られた時間の中でより多くの疑問が発見出来るよう現地の情報を詳細に紹介する講話となりました。コロナ禍でさまざまなことに制約があり、生徒達の校外活動も思うように実施出来ていない現状がありますが、今回の探究学習が意義深い機会となるよう、念入りに準備を進めて来ました。
■1日目
そしていよいよ現地での活動です。1日目の9月29日はやっと夏の暑さから開放された過ごしやすい気候でした。苔むした岩と樹木に目も身体も癒される樹海。そして、ブナやミズナラの巨樹があり森として成熟した姿を見せてくれる大室山のふもと。森には秋の気配が漂い、きのこがあちこちで顔を見せ、松ぼっくりやどんぐりなどの木の実も沢山足元に落ちていました。
この日は、探究テーマを決めるための現地活動となります。森の理解をより深められるようフィールドを案内しながら、色々な疑問が発見できるよう生徒達とのコミュニケーションを深めて行きました。「樹海と大室山とは土の硬さが違うかな」「木の根の形が違う」「きのこやコケの種類も調べたい」などなど、いろいろな疑問が湧いたようでした。
宿舎に帰ると、フィールドで発見してきた「疑問」を先ず個で考え、そしてグループ全体での熱い論義が続きました。グループとして「本当に知りたい疑問は何か!」、この論義を通してグループが一丸となって行く姿は、まさに一人一人の生徒達の「本気度」が結集したものでした。 21時にはすべてのグループが疑問を絞り込み、その仮説を立て、明日の検証計画立案まで終了することが出来ました。
■2日目
2日目はグループで決めた探究テーマを対象に検証作業を行いました。
今年は土壌水分計や環境照度計などの計測器を利用した検証が印象的でした。自然現象をより客観的に検証することに力点が置かれ、自然の「疑問」をさまざまな角度から解き明かして行きました。
宿に戻ると、グループ毎に現地で検証してきた内容を整理し、検証内容を分析しながら熱い論義が続きました。仮説とかけ離れてしまったグループ、仮説に沿った検証が出来たグループ、それぞれでしたが、徹底して「現地での事実」に基づく検証が行われました。探究学習の大きな山場です。
夜の部は、最終日の発表会に向けた発表資料作成に取組みました。模造紙やデータシートを書き上げて、発表の練習も行いました。
■3日目
3日目の発表は毎年、私たちも楽しみにしています。本当にいろいろな角度から自然を見渡たし、発見する生徒さんたちの視点にはいつもビックリさせられます。私たちが見過ごしていたことが、まだまだこんなにあるのだなと思わざるを得ません。
今年の探求テーマの一例を紹介します。
・木の幹の太さとその付近の土の水分量にはどのような関係があるのだろうか。
・土の硬さと植物の関係には何があるだろうか。
・木の絡み合い方と環境の関係
・土壌の水分量と落ち葉の積もり具合にはどのような関係があるのか。
・木の太さとその木に生えているコケにはどのように関係があるのるか。
・光はコケにどのような影響をあたえるか。
今回の発表会では、測定データのグラフ化、検証内容の図解など、表現方法の工夫が随所に見られました。 難しい数式の表現もあり、興味深い検証がたくさんありました。
また、発表会では活発な意見交換が行われました。
・「仮説と一致した結果が一つしかありませんでした」と発表する生徒に、「仮説通りの結果が一つあったではないか!他の結果が仮説通りではなくても一つはそうだったと言えるのだよ」と、一円校長先生から検証の考え方に関するアドバイスがありました。
・「20か所以上測定したが、データがバラバラな印象で困りましたが、ミスデータという考え方を教えてもらい、データの分布を見直したところ相関性が見えてきました」との報告も。すかさず、同席の先生からミスデータを見極める論理的な手法についてアドバイスがありました。
・疑問の対象に関わる要素がすべて検証し切れていないとの指摘がいくつかありました。植生も動物もその生態は周囲環境の多くの要素と関わりがあることが、改めて論義されました。
・一方、検証データ数が多かったグループに賞賛の意見がありました。自然の中は個体差もあるためデータ数が多ければ多いほど、より事実に迫れるとの見解でした。
得られた結果に満足せず、粘り強く調べ続ける生徒たちがとても頼もしく感じました。私たちガイドも自然の中の疑問と向き合う日々ですが、またひとつヒントをもらえた気持ちになりました。森のフィールドワークは私たちにも毎年学びを与えてくれる楽しい活動になっています。開智日本橋中学のみなさん、今年もおつかれさまでした!
<リポート 関口>
開智日本橋学園中学校 サイト情報
2022-10-28 |
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イベント報告
武蔵野市立第二小学校4年生75名が「プレセカンドスクール」で富士山麓にいらっしゃいました。第二小さんは昨年、新型コロナの影響で富士山麓での活動が中止となった経緯があり、その分、今年の「プレセカンドスクール」に向けた熱い思いが伝わってきました。10月4日、5日の二日間、元気な子供達の自然体験学習をサポートさせて頂きました。
■10月4日午後 「ネイチャーラリー」
初日の午後、山中湖文学の森「かちかちやま広場」で自然体験活動「ネイチャーラリー」に挑戦しました。このプログラムは、現在の便利な時代から、原始の時代にさかのぼり、当時の生活の様子をゲームで体験するものです。5,6人のグループで各ポイントの課題をクリアして行きますが、しかし、そう簡単には突破出来ないのが。このラリーの特徴です。
オープニングでは、代表の子供さんから挨拶を頂き、引き続いてスタッフの紹介やルールの説明、そしてこの時期、特に気をつけなければいけない「スズメバチ」への対応などを共有しました。出発前にグループ毎に約1分間「戦略ミーティング」を行っていよいよスタートです。笛を合図に各グループが一斉に最初のポイントを目指して走って行きました。
クリアすべき課題のポイントは8つ、進み方はグループの戦略の一つで、如何に効率よく回るかも成果に直結します。各ポイントは時間内であれば3回まで挑戦でき、成果を高めて行くことが出来ます。
子供達の活動(挑戦)の模様をご紹介します。
活動中の子供達からは
・どのポイントもみんな楽しい。
・自分は「火おこし」が出来なかったが、一番楽しかった。もう一回挑戦します。
・1回目より2回目の方が、得点が上がった。
・パチンコの打ち方が分かり、全部命中出来た。
・ロープ渡りは難しいと思ったが、意外に楽に渡れた。
・原始の時代に生きるのは大変なこと。自分は生きられないかも。
などなどの感想が寄せられました。ほとんどの子供達が、「この体験は初めて・・・」とのことでしたが、一人一人、それぞれに色々な感じ方、受け止め方があったと思います。
■10月5日午前 「富岳風穴―鳴沢氷穴/青木ヶ原樹海 自然観察学習」
降雨が予想される中、元気な子供達が富岳風穴に集合しました。代表の子供さんのあいさつに引き続いてガイドの紹介、注意事項を共有して、スタートしました。
青木ヶ原樹海の成立ちや富士山との関係について学んだ後、先ず「富岳風穴」に入洞しました。溶岩洞穴がどのように出来たのか、洞穴内の様々な現象、造形を観察しました。ひんやりとした洞穴の最深部には自然の冷蔵庫として活用されたいた様子が展示されています。種の保存やお蚕の卵の保存に利用され、地元の産業発展に役立っていたことが分かりました。風穴を出ると、いよいよ樹海の自然観察コースを進んで行きました。
子供達は一人一人「観察ノート」をもって、ガイドの説明内容や自分で気づいたこと、発見したことを次々に書き込んでいました。そしてガイドにはたくさんの質問がありました。
・なぜ、木の根っ子が浮き上がっているの?
・コケと溶岩は仲良しなの?
・傾いている木が多いのはなぜ?
・溶岩流はどこまで流れたの?
・溶岩に細かい穴が開いているのはなぜ?
・ここにはどんな動物がいるの?
・このキノコは食べられるの? (色々なキノコを見つけました)
・磁石は本当にぐるぐる回るの? (実際に30度ぐらい回るのを確認しました)
自然観察学習への積極的な姿勢は目を見張るものがありました。
このコースの最後の見どころは「鳴沢氷穴」への入洞体験でした。細い洞穴を進んでいくと、そこには自然の氷が輝いていました。洞穴の上部から落ちた水が凍ってタケノコのように出来た氷の柱「氷筍」も観察出来ました。洞穴内の自然現象や冷気に歓声が上がっていました。
氷穴の観察を終え全員無事ゴールしました。クロージングでは代表の子供さんからガイドスタッフに丁寧な感謝の言葉がありました。そしてガイドスタッフからも皆さんに感謝の意をお伝えしました。
“皆さんが想像していた青木ヶ原樹海と実際に自分の目で観察した青木ヶ原樹海はどうでしたか?”の質問に多くの子供達から“ぜんぜん違っていた”との声が。自分の目で見たもの、発見したものはすべて事実です。自然体験学習の醍醐味を子供達が一番感じ取っていました。
<リポート 田中>