2021-12-07 |
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イベント報告
開智日本橋学園中学校の2年生が、探究活動のひとつである「森のフィールドワーク」のために富士山の青木ヶ原樹海へとやってきました。今年は6月にも昨秋行うことができなかった3年生が「森のフィールドワーク」を実施しましたが、6月の青々とした葉が美しかった森は、この時期黄色や赤に色づいた紅葉の森に移り変わり、フィールドもかなり様変わりしていました。2年生は初めての宿泊探究活動で、10日ほど前にスタッフの田中が学園を訪れ事前講義を行った際は、生徒さんたちが熱心にメモをとるなど、本番をとても楽しみにしている様子がうかがえました。そして、今回生徒たちが自ら掲げたスローガンは「即時即決」。探究活動にまだ慣れない生徒たちのスローガンは、限られた時間と場所で行う活動にぴったりだと思いました。
一日目は秋晴れの富士山に出迎えられ、スタートしました。私たちは青木ヶ原樹海と大室山のふもとを散策しながら、生徒さんたちが色々な自然の現象を見つけることができるように案内しました。
樹海に入ると、すぐさま「コケがきれい」という声が上がりました。都会でも公園の片隅や塀などにコケは生えていますが、森の中一面生えているコケの様子は印象的なのだと改めて感じました。
探究活動の始まりは、まずは不思議を感じること、日常生活ではなかなか目につかない自然に目を向け、自ら不思議だなと感じることで、より多くの気づきが生まれます。自然の中は教科書には載せきれないほど、不思議の集まりです。未解明なこともたくさんあります。気づきから疑問が生まれ、問題意識が高まっていきます。与えられた問いではなく、自ら問いを見出すことが肝心で、私たちもできるだけ生徒さんたちが広く関心を持てるように樹海の案内を進めました。そしてできるだけ多くの疑問を書き出すことを目指しました。
チームごとに多くの疑問を持って宿舎に戻り、それぞれの疑問をぶつけあいながら、最終的にチームメンバー全員が納得のひとつのテーマに絞り込みました。その後、疑問に思ったことに対して自分たちなりの仮説をたて、森での検証作業の方法などを話し合い二日目に向けた準備を完了しました。この間、私たちも子どもたちの質問に向き合いながら検証計画をより具体的に一緒に考えました。
二日目は再び森に行き、一日目にグループで話し合った「疑問の検証作業」をサポートしました。いざ森に入ると対象範囲が広いからか、検証にとまどうグループもあり、何に疑問をもって仮説を立て検証したいのか、じっくり聞くことを大切にしました。すると、「仮説が間違えているのかな」と心配する生徒さんの声も。「仮説が間違っていたと気づいたのも大きな発見ですよ」と、仮説にとらわれない検証作業を支援しました。70本ほどの木を調べ粘り強くより多くの現象を集めたグループや、基準や定義をグループなりに考えて比較するなど、検証作業は多岐にわたりました。
二日目の午後は検証結果をまとめ、考察へと作業を移すグループが多かったのですが、「午前と午後で太陽の光は変わるので、そこを検証したい」というグループもいて、午後も現地での活動をサポートしました。その後、翌日の発表会に向けて模造紙にまとめの作業をする生徒さんたちに、私達もその様子を伺いながら、必要に応じてアドバイスを行いました。夜遅くまで本当に生徒さんたちは熱心に頑張っていました。この作業を頑張ることで、やりぬく力が付いていくのでしょう。
そしていよいよ三日目。発表です。発表の準備も万端で、前を向いてグループひとりひとりが担当したところを発表する姿勢は、いつも素晴らしいと感じています。それぞれが関わって作り上げた探究活動の発表の場は質疑応答も多岐にわたり、「森のフィールドワーク」の最後を飾る感動の舞台となりました。
今回のフィールドワークで探究のテーマになった一例を紹介します。
・ツガサルノコシカケの大きさは何に関係しているか?
・カシノナガキクイムシはなぜナラの木を好むのか?
・倒木は周辺の植物の成長にどの程度影響を与えているか?
・大室山と樹海とでミズナラの根の生え方が違うのはなぜか?
・木の分かれ目の高低差には、どのような環境の違いが影響しているか?
・枯葉の色の違いは?
・新しい木が生える条件にはどのようなものがあるか?
・富士風穴付近の岩盤にはなぜ木が育つのか?
今回の発表では、検証ポイントを地図上に明記するなどの工夫があり、どこでどのような検証を行ったのか、聞いている側もイメージしやすくなりました。また、発表資料は、メインの模造紙以外に、補足資料もたくさん添えられました。 これは観察内容、検証内容がより精緻化し、より分かり易い発表を目指した努力の結果と言えましょう。
開智日本橋学園中学の「森のフィールドワーク」をサポートする度に、私たちもより深く森と対峙して行かねば・・・と考えさせられます。「森のフィールドワーク」はこれからの地球環境問題へと発展できる活動となるので、未来を担う中学生たちが森について今後も関心をもって成長していってほしいと思わずにはいられません。調べ学習で終わらない、探究活動のサポートは私たちにとってもとても貴重な機会になっています。開智日本橋学園中学のみなさん、ありがとうございました。
<リポート 関口>
参考> 開智日本橋学園中学校 サイト情報
2021-12-07 |
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イベント報告
新型コロナの新規感染者が減ってきて、やっと学校も校外活動ができるようになってきました。11月4日、「森のフィールドワーク(探究活動)」の事前学習で開智日本橋学園中学校へ行ってきました。2週間後、活動の場となる富士山麓の紹介や観察の仕方等について富士山ネイチャークラブの田中が講話を行いました。
開智日本橋学園中学校の探究活動は研究者のように、対象をしっかり観察し、そこから生まれた疑問に仮説を立てて検証していく活動です。時間も根気も必要なとてもストイックな活動だと感じています。
探究活動のヒントに話が及んだときは、一生懸命にメモを取るなど、2年生になってやっと実現する探究活動への意欲が伝わってきました。
「自然界はわからないことだらけです。皆さんの好奇心や観察力で多くの疑問を発見し、解き明かして下さい。」 としめくくり講話は終了しましたが、その後の質疑応答も活発に行われました。
「西湖、精進湖、本栖湖は地下でつながっているという説についてはどう思っているのか?」
「青木ヶ原樹海と他の森との違いは?」
「東日本大震災での放射能汚染は実際に被害を目の当たりにできるのか?」
など、現地の状況を把握するための質問が続き、事前学習の効果を実感することが出来ました。
実行委員の生徒さんたちは、本番に先駆けて、都内の公園で予行演習を実施しました。本番では実行委員のリードのもと、各グループがどのような発見をしてくれるのか、今からとても楽しみにしています。
<リポート 関口>
参考> 開智日本橋学園中学校 サイト情報
開智日本橋学園中学・高等学校 – 学校法人開智学園 (kng.ed.jp)
2021-12-01 |
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イベント報告
朝晩冷え込むようになってきた晩秋の山中湖。この時期、早朝に山中湖が一面霧に覆われることがあります。外気より湖の水温の方が高くなり、蒸気が上がるためにおこる現象です。このような冬の気配も感じられるようになった山中湖に自然体験学習に来てくれたのは武蔵野市立第五小学校の4年生たち。山中湖の宿泊施設、グリーンヒルズニューみなみのグラウンドと周りの森を利用して「ネイチャーラリー」を行いました。
開始時間にはすっかり霧も消え、富士山の眺めがすばらしいロケーションで行うことができました。ラリーは全8種目、4~5人のグループに分かれてそれぞれのポイントに挑戦しました。
「ネイチャーラリー」は、日常生活ではなかなか意識しない感覚を研ぎ澄まして行います。便利な道具のない時代、人間はどのように生活を送っていたのか、そんなことも想像しながら楽しむことができます。
目の前の獲物をとらえるぞ!とばかりに石つぶてをパチンコで飛ばす「ハンター」。火をおこすことの大変さを実感できる「火おこし」。自然の中に隠れているものを探す「カモフラージュ」。抜き足差し足忍び足で、獲物に近づけるか?を体感する「サイレントウォーク」。アイマスクをして視界をシャットアウトして行う「目かくしロープ」。さまざまな太さの丸太と同じ重さの石やカボチャなどを見つける「重さ当て」。
どの種目も一筋縄ではいきません。どのようなところへも進むことができるかを挑戦する「竹ぽっくり」や「ロープ渡り」も楽しみました。「2回やっても火がつかなかった……」と残念がる子も、「全種目制覇できた!」と喜ぶ子もみな生き生きしていて、あっという間の2時間でした。
「重さ当て」などはグループで話し合って同じ重さのものを選びます。「絶対これ!」と主張するだけでは皆を説得できません。「みんなで1回持ってみて、こっちと比べてみて決めよう」とか、「私がこれを選んだ理由は片手で持ってみた感じも試して覚えていて同じだったから」など、多数決の前にきちんと話し合っていた姿が印象的でした。
個々に挑戦しますが、グループで行動することの意義と大切さを私たちも学ぶことができました。 この「ネイチャーラリー」は、子どもたちが実際に身体を使いながら、主体的に動き協働性を高めることができる自然体験活動のひとつだと実感することができました。
当日の活動の模様を写真でご紹介します。
ハンター
火おこし
サイレントウォーク
目かくしトレイル
竹ぽっくり
ロープ渡り
重さ当て
<リポート 関口>
8月に予定していた富士山麓での「スタッフ勉強会」はコロナの影響で延期していましたが、11月2日、ようやく実施の運びとなりました。講師に富士山科学研究所の中野隆志先生をお招きし、大室山周辺で「植物観察会」を行いました。日頃より何度も足を運んでいる場所ですが、中野先生のご指導の下、新しい視点や発見ができた充実の勉強会になりました。
精進湖登山道沿いの原生林は864年(1157年前)長尾山の中腹から流れ出た溶岩台地の上にあり、とても若い森です。この森の魅力は、「すぐ近くに人が住んでいるところなのに、人手が入らず広い範囲で自然が残っているところ」と、中野先生。 一般に樹海と聞くと、どんな森だろうと想像は膨らみますが、案外人家は近くにあり、昔は炭焼きなど森を利用していた跡も残っています。しかし、森を切り開くような行為ではなかったので、自然が残っているのです。樹海を代表する樹木、ヒノキやツガの天然林は学術的にも貴重だそうです。
自然は、同じ場所でも季節によって、植物もそこに生きる生き物たちも様子が変わります。今回はちょうど紅葉の季節。赤や黄色に色づくカエデの仲間は、日本には25種くらいあるといわれています。今回のフィールドでもウリハダカエデ、イタヤカエデ、カジカエデ、ヒトツバカエデ、コミネカエデ、コハウチワカエデ、ヒナウチワカエデなどの落ち葉が見つかりました。
中野先生は、「富士山ではコミネカエデは多いが、ミネカエデは1度しか見ていない。オガラバナはより標高の高いところに多い。コハウチワカエデは葉柄が長いですが、ハウチワカエデは短いです」と、同じカエデでも標高による差、葉柄の違いなどを教えてくださいました。
そしてこの季節は松ぼっくりなどの木の実も沢山落ちています。「鱗片をよくみると、ハリモミは丸い。イラモミは丸いが先が反り返る。トウヒはクローバーのように2か所凹む」という先生の指摘に、大きさだけではない細かな所の違いも確認出来ました。
また、樹海でよくみられるソヨゴは明るい場所に、クロソヨゴは暗い場所と住み分けがあるのではないか、という話もしてくださいました。倒木などで生まれる林間ギャップでは、周辺の樹木が光を求めて明るい方へ、明るい方へと成長するのがよくわかります。中野先生からは、「植物は効率よく太陽光を利用し、うまく適応したものが生き残っている」という話も伺いました。枝の伸ばし方、葉の付き方に太陽光を取り込むための工夫が凝らされているのです。長枝と短枝が効率的に光を受けられるように成長しているアオハダも観察しました。
樹木一本でもなぜそこに生えたのか、どのように成長しているのか、と考えると、また違った発見ができることがよくわかりました。今日教えて頂いたことを含め、富士山麓の植物の特性をより深く理解し、ガイドとして正しい情報を多くの方に伝えていきたいと思います。
最後にお忙しい中、懇切丁寧にご指導頂いた富士山科学研究所の中野隆志先生に心から感謝の意を表します。
写真は勉強会の模様です。
<リポート 関口>
毎年、この時期は来年度の活動に向けて「染め液作り」を行っています。今回の素材は「マリーゴールド」です。
畑で育て、刈り込んで、刻み、大鍋でしっかり煮込みます。そうして抽出したマリーゴールドの染め液は、綺麗な黄色が発色します。媒染液によっても特徴のある発色が楽しめます。 濃い黄色は「石灰」、明るい黄色は「ミョウバン」です。 改めて自然の力を実感しました。
<リポート 田中>
晩秋の富士山お中道、見上げれば7合目から上は雪化粧、そして眼下には「大雲海」が広がっています。南アルプス前衛、御坂山塊、八ヶ岳連峰、秩父連山が浮島のように並んでいます。ダイナミックな画像(動画)をお楽しみ下さい。
<リポート 田中>
2021-08-03 |
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イベント報告
この時期恒例のイベントとなった「認定こども園 ウブントゥ忍野の森」のナイトハイクを山中湖村「文学の森」で行いました。19時、17名の園児達といつもの元気なご挨拶が終わると、いよいよスタート。ライトを一切使用しないで夜の森に入って行きます。
辺りが真っ暗になろうとも園児達の元気な声が続きました。暗くなるに従って音や匂いや風の気配をより敏感に感じることが出来るようになります。
暗闇に慣れてきた所で最初のイベント「目かくしロープ」に挑戦。バンダナで目をかくし、木々の中に張り巡らせたロープを頼りに、ゴールを目指します。全神経をロープに委ね、果敢に進む姿は大変頼もしく思いました。
後半は、「二人歩き」「一人歩き」に挑戦しました。真っ暗な森の中を小さな「白いカード」を頼りに曲りくねった道を進んでいきます。「二人歩き」はお互いに励まし合ってゴールを目指します。そして「一人歩き」は、誰の助けもない、自分との戦いとなります。スタート地点ではかなりの緊張から言葉が少なくなりましたが、一人一人が勇気を振り絞って全員がゴールに到着出来ました。
暗闇での自然体験は、新たな自分の力を発見します。園長先生から「この体験を通して園児一人一人の成長した姿を見ることが出来た」とのコメントがありました。
子供は自然の中での遊びを通して、体の使い方をおぼえ、体力を養い、見通す力を鍛え、知恵や工夫を生み出します。来年もまた新たな園児さんと体験活動が出来ることを楽しみにしています。
<レポート 田中>
参考> 「認定こども園 ウブントゥ忍野の森」 サイト情報
忍野の森 » ウブントゥ|認定こども園・保育園 (ubuntu5678.com)
2021-08-03 |
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イベント報告
事前学習から一週間後、いよいよ「森のフィールドワーク」本番の日がやってきました。学校を飛び出して、久しぶりの野外学習です。富士山麓を訪れた開智日本橋学園中学3年生のみなさんをNPO法人富士山ネイチャークラブがサポートしました。
朝から雨が降っていましたが、フィールドに到着したころには雨が上がり、森でランチもできました。雨が上がると、エゾハルゼミが一斉に鳴きだし、「鳥も同じように晴れているときの方がよく鳴くのか?」という疑問を感じた生徒さんもいました。
青木ヶ原樹海を訪れるのは、ほとんどの生徒さんが初めてで、木の根が地上に這うようにむき出しになり、まっすぐ空へ伸びるだけでなくぐねぐねと曲がった木々の姿に神秘的な魅力を感じたようでした。そして、溶岩や木には青々としたコケがびっしり生えている様子も印象に残ったようで、「コケは生きている木から栄養をもらって生えるのだろうか」と、コケの魅力に今年もたくさんの生徒さんが引き込まれていました。
「森にいたら何だか、眠くなってきました」という声も。緑の色彩は目をやさしく癒しますし、森から得られるリラックス効果を実感できたようで、野外活動のだいご味でもあります。
開智さんの探究学習は「疑問―仮説―検証―発表」の4つのサイクルを重視します。
1日目の前半はガイドと森をめぐり、後半からはグループ中心の活動になり、自分たちの探究テーマ「疑問」を追い続けます。じっくり観察し、とことん疑問に思ったことをチーム内でぶつけ合いながら、実際に目の前にある自然と対峙します。観察精度を高めるために、カメラは使用せずスケッチで詳細に記録していきます。
宿舎に戻ると、グループ毎に本当に知りたい「疑問」を絞り込み、その疑問を解く仮説を立て、明日行う検証作業の行動計画を立案しました。
2日目の午前は、前夜に作成した検証計画に基づいて、フィールドできめ細かな検証作業を行いました。木の高さに注目したグループは、工夫して木の高さを導き出すなど、より精度の高い検証を目指していました。ひとつの事象だけではなく、より多くのデータを集めることも重視されます。
<午前中の活動がフィールドワークの大きな山場となります。>
午後からは宿舎に戻り、フィールドでの検証結果をとことん論議して疑問の解明に迫ります。私たちも生徒たちの感じた疑問を共有しながら、検証作業のアドバイスを行いました。生徒さん達は最終的に、検証結果を模造紙に書いて、3日目の発表会に備えます。この作業は夜まで続き、みな真剣そのものでした。
そして3日目、いよいよ発表会の日です。発表資料は模造紙以外にも数々のデータやデータ分析結果を示す別紙も添えられ、自信に満ちた発表が続きました。メモを見ないでしっかり前を向いた発表も見事でした。また、その後の生徒同士の質問や答え方もしっかりしていて、驚きました。
29グループから多種・多様なテーマが提起され、検証の結果が報告されました。テーマの一部をご紹介します。
・ギャップが植物に与える影響はどのようなものがあるか
・溶岩の上のコケと木の上のコケはどのような違いがあるか
・鳥はどのような条件で鳴くのか
・早く流れた溶岩流とゆっくり流れた溶岩流の周りにはどのような違いがあるか
・フタリシズカが一定の場所に集まるのはどのような理由か
・絡み合っている木にはどのような共通点と相違点があるか
・ミズナラの枯死はカシノナガキクイムシ以外の要因はないか
・溶岩台地と大室山に生えている木にどのような違いがあるか
・木はどのような条件で真っ直ぐだったり、傾いたりするのか
フィールド(現地、現物)で検証できたことは全て事実です。事実を積み重ねた発表には説得力があります。この秋には場所を移して「都市型フィールドワーク」が行われますが更に深化した活動になることを期待しています。
3日間頑張った生徒さんたち、本当にお疲れ様でした。そしてありがとうございました。
<リポート 関口、田中>
参考> 開智日本橋学園中学校 サイト情報
開智日本橋学園中学・高等学校 – 学校法人開智学園 (kng.ed.jp)
2021-08-03 |
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イベント報告
昨年延期となってしまった、開智日本橋学園中学校2年生の「森のフィールドワーク」が、年度を越えて6月行われることになりました。その事前学習の講師として、NPO法人富士山ネイチャークラブのスタッフ2名が東京都中央区にある学校を訪れました。
すでに中学3年生になった生徒さんたち。今年は「森のフィールドワーク」と「都市型フィールドワーク」を2度に渡って実施されますが、まず第一弾となる「森のフィールドワーク」への期待感と熱気がお会いしてすぐ伝わってきました。“絶対「森のフィールドワーク」を成功させよう”と呼びかけた実行委員長さんの強い意志は学年全体に共通しているようでした。事前学習は講話方式で実施されましたが、みなさん、一生懸命にメモを取りながら、最後まで講師の話を聞いていました。
「森のフィールドワーク」は、毎年、富士山の側火山である、大室山のふもとで行われます。大室山は富士五湖のひとつ精進湖から始まる登山道の途中にあり、山のふもとを囲うように青木ヶ原樹海が広がっています。噴火の際にできた富士風穴などの溶岩洞窟もたくさんある、みどころいっぱいのフィールドです。なぜ富士山は日本列島のこの場所に誕生したのか、そして大室山や樹海がどのように形成されたのかなどを学んで頂くと共に、現地の状況をスライド中心に紹介いたしました。
開智日本橋学園中学校のフィールドワークは「現地発見・現地解決型」探究活動であり、学校が非常に力を入れている活動です。私たちスタッフもこれまで見過ごしてきたことはないか振り返り、鳥の目、虫の目を忘れずに、生徒達の活動をサポートできたらと思っています
写真は事前学習の模様です。
<リポート 関口>
参考> 開智日本橋学園中学校 サイト情報
開智日本橋学園中学・高等学校 – 学校法人開智学園 (kng.ed.jp)
2021-03-26 |
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洗足学園中学校1年生は、総合学習の課題として「富士山のふしぎ」をテーマにした探究学習に取組んで来ました。その一環として3月に富士山麓で「フィールドワーク」を計画され、NPO法人富士山ネイチャークラブがその活動をサポートさせて頂く予定になっていました。生徒さんたちも我々スタッフも大変楽しみにしていましたが、新型コロナウイルスの状況判断で残念ながらフィールドワークが中止となりました。
フィールドワークは中止になりましたが、生徒さん達はその後も「富士山のふしぎ」に関する探究学習を継続し、その集大成として各クラスの代表グループによる成果発表会が3月17日、学園の大講堂で実施されました。250名を超える全学年の生徒様と共にNPO法人富士山ネイチャークラブの田中と舟津川も発表会に参加させて頂きました。合わせてNO.1のチームを決める「審査員」の役目も担当させて頂きました。
「日本一の富士山」は、生徒さん達の関心が非常に高く、多角的かつ多様な視点から「ふしぎ」を提起し、その「ふしぎ」が次々に解き明かされて行きました。説得力のある論調、工夫に満ちたプレゼン資料、堂々とした発表態度、などなど探究活動の成果がいかんなく発揮された発表会でした。以下「富士山のふしぎ」の一例をご紹介します。
・富士山が見える範囲はどこか
・女人禁制のなぜ
・富士山、雪の境目の正体
・富士の湧水が美味しい理由
・富士山に高山植物が少ないのはなぜか
・富士山の雲と天候の関係
・富士山はなぜ青く見えるのか
・富士山はなぜ日本の象徴なのか
・勝海舟はなぜ洗足池の近くに自分の墓を建てたのか
・富士山は噴火するか
・冬の方が夏よりも富士山が良く見える理由
・世界文化遺産に登録された理由は何か・・・歴史的検証
・富士山は山梨県? 静岡県?
・富士山の高さは測り始めてから何回も数字が変わっているのはなぜ
本気で「ふしぎ」を探し、本気でその謎を解き明かし、そして多くの仲間と共有する・・・、生徒さん達は達成感で一杯になったことでしょう。
発表会に続き私共から富士山についてレクチャー(講演)させて頂きました。
第1部「富士山講話」・・・富士山を学んで自然のことを考えよう <富士山の成り立ち、植生、動物、湧水、バリバリの活火山、環境問題など>
第2部「命を育む森 青木ヶ原樹海」・・・自然の仕組を知ることから始めよう <樹海の成り立ち、溶岩洞穴、植物、動物、菌類、命をつなぐ自然の仕組など>
生徒さん達は富士山について相当な調査や分析をされてきましたが、この講演で更に理解を深めることが出来たら幸いです。将来どんな職業に就こうが自然と無縁でいることは出来ません。今後、生徒さん達が「自然にどう向き合って行くか!」「自然にどう関わって行くか!」そんな期待を胸に学園を後にしました。
*講演の様子を写真でご紹介いたします。
会場となった900人以上の収容能力を持つ大講堂。
参考情報>
洗足学園中学高等学校様のサイト情報
https://www.senzoku-gakuen.ed.jp/
<リポート 田中>