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2022-10-01 | Blog, イベント報告

2022年9月8~9日 武蔵野市立桜野小学校4年生 「富士山お中道自然探究学習」 

  学びのスタイルとして重視されつつある「探究学習」。桜野小学校4年生の子どもたちが富士山のお中道をフィールドに「自然探究学習」を実施しました。NPO法人富士山ネイチャークラブは、企画段階から参加し活動全体をサポートさせて頂きました。

  これまでも桜野小学校4年生の「お中道ツアー」をガイドさせて頂ききましたが、本格的な「探究学習」は初めてです。学校様の方針に沿って学校様と綿密に準備を進めてきました。まずはお中道を訪れる前に、オンラインでの「富士山自然講座」から探究学習をスタート。オンラインでの情報を基に富士山の「知りたいこと(疑問)」をグループで論義し大テーマを決定。更には大テーマに沿って一人一人が自分の「知りたいこと」を掲げ、そのテーマについて学内で事前調査を重ねて来ました。「知りたいこと」の内容は多岐に渡りました。

「ヒガラの名前の由来は?」

「ホシガラスの生態は?」

「なぜ木の皮がボロボロになるの?」

「菌類ってどんなかたちしているの?」

「カブトムシはいるの?」

「ハナヒリノキって鼻がヒリヒリするの?」

「なぜ噴火するのか?」

「なぜ富士山は今の形になったのか?」

「火山灰ってどこまで飛ぶの?」「火山灰は何で出来ているか?」

「富士山にはどんな動物がいるの?」

「リスの食べ物は何か?」

  などなど、子どもたちの疑問はどんどん膨れ上がっていきました。ふだんガイドをしている私たちもハッとさせられるものがたくさんあり、本番に向けて現地調査や活動に役立ちそうな資料を準備し、本番に備えました。

  そしていよいよ本番を迎えた日、前日から雨模様で富士山にも雲がかかっていましたが、スタートするころには雨が上がり、無事「探究学習」が実施できました。

  オープニングではガイドの紹介や注意事項を共有していよいよ「探究学習」に出発です。今回はクラス別の活動ではなく、「知りたいこと」のテーマ別に活動グループが構成されました。

  実際に目の前にした富士山はとても大きく、「いつも遊んでいる公園とは木とかが違う」と話す子どもたちにはお中道の自然はとても新鮮なようでした。

  ガイドはそれぞれのグループ単位に一人一人の「知りたいこと」の検証が出来るように、対象の自然現象をレクチャーしました。その間、子ども達から沢山の質問が寄せられ、あっと言う間に時間が経過していきました。

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  自分のテ-マ以外でも、雲海を見下ろしたり、強風で片側に枝が生えていないカラマツに驚いたり、くねくね地面をはうように育つ木を珍しがったり、木にぶらさがる不思議な長い植物に関心を抱いたり、キノコを次々見つけて楽しんだりと、五合目の自然をたくさん発見していきました。

  昼食は間近に迫る富士山やダイナミックな雲海を眺めながら頂ききました。

  昼食後、再度探究グループに分かれて、「自然探究学習」の振返り&レクチャーを行いました。午前中に検証できたこと、検証が不足している所などを再確認し、その内容を探究ノートに細かく記録しました。スケッチも沢山書き込みました。

  当日の夜は宿舎で「探究学習の振返り」を行いました。多くの子供達から次々に質問が寄せられ、1時間もあっという間でした。富士山のふしぎを私たちも一緒にたくさん学ぶことができました。

  更に、翌日の夜は「発表資料の作成」を行いました。学内に戻ってからの「発表会」に向けた準備です。今回の探究学習のゴールとなる活動です。子供達が疲れていることは明白でしたが最後までやり切りました。その時の子供達の笑顔がとても印象的でした。

  幼児期は「なんで虹がでるの?」「なんで人は死ぬの?」などなど、「なぜなぜ期」を通ってきます。でもこのなぜなぜ期は、ずっと続いていて、それが学びへとつながって行きます。社会人になってもなぜなぜ活動は続きます。その解決で社会に貢献して行きます。

  探究学習はこの「なぜ」から始まりますが、その疑問を検証するためには観察眼が求められ、答えに近づくためには想像力が求められます。そしてまとめ作業では論理的な思考が求められます。探究学習に含まれる学びの奥深さを深く感じました。

  学校に帰ったら、3年生に向けた発表会が予定されています。次へとバトンが渡さる発表会もまた素晴らしいことです。来年はまた新たな疑問をぶつけてくるだろう桜野小のみなさんを私たちは待っています。

<リポート 関口、田中> 

2022-08-25 | Blog, イベント報告

洗足学園中学高等学校 科学部 青木ヶ原樹海探索

 2022年8月5日・6日、富士山青木ヶ原樹海の環境が異なる二か所のフィールドをご案内しました。

 青木ヶ原樹海とは?

 西暦864年、富士山の北西斜面から大噴火が起こり、当時この辺りにあった巨木の森や湖などを埋め尽くしたのち、およそ1200年で現在の豊かな原生林として再生を果たした自然の宝庫です。

 まずは8月5日の午後、「精進湖自然観察路」のご案内です。この日のテーマは、平安時代までここに存在していた「せのうみ」という大きな湖に溶岩流が流れ込み、西湖と精進湖に分けてしまったその痕跡の観察でした。

 最初に、精進湖に向かって伸びる大きな溶岩のクラックを歩いて先端まで行ってみます。

 「溶岩ローブチュムラス」というかなり専門的な用語で解説いたしましたが、灼熱の溶岩流が「せのうみ」に次から次へと流入していくダイナミズムをそれぞれが感じてくださったと思います。

 湖側から再び樹海側に戻ります。

 精進湖に向かって、至る所に「溶岩ローブチュムラス」が延びています。

  樹海の中には、苔むしたたくさんの丸い溶岩球が点在しています。これは「枕状溶岩」と呼ばれるもので、水の中に流れ込んだ溶岩が急激に冷えて転がって出来たもので、その時代にはこの辺り(標高908m)は水の中だったことを表しています。

観察路では、猛毒のキノコ「カエンタケ」も観察出来ました。数年前から富士山周辺で大きな問題になっているカシノナガキクイムシが原因の「ナラ枯れ」。枯れた木の根元に「カエンタケ」がでることがあり、その関係性が疑われています。(注意:カエンタケは猛毒ですので触れることは厳禁です。)また、鹿の頭骨も発見しました。現在鹿の個体数が増え過ぎて、富士山麓の森林生態系バランスへの影響が懸念されてます。環境問題に触れるアイテムの出現に、皆さま興味津々で写真に収められていました。

この日のゴールは、ここ「釜畑」

 なんとなんと・・・、大量の溶岩流が湖に流れ込んだ際に出現した「水蒸気爆発」の跡なのです。

 普段は室内で実験などをされている科学部の皆さまですが、この富士山の噴火のスケールの大きさに、感無量の面持ちをされていました。

 8月6日、午前

 この日は、青木ヶ原樹海の中に100余りも点在するという溶岩洞窟の代表的なひとつである「富岳風穴」に入洞しました。

 総延長201m、高さは8.2mにおよぶ横穴です。平均温度はわずか3度。昭和初期まで蚕の卵の貯蔵に使われていたという天然の冷蔵庫です。夏でも溶けない氷柱に、皆さま歓声をあげられていました。

 この日探索するのは「東海自然歩道」。

 1973年に完成したこの遊歩道は、東京の高尾から大阪の箕面までつながっていますが、こうして青木ヶ原樹海の一部を通っていることは意外と知られていないのではないでしょうか。

 昨日歩いた青木ヶ原樹海と、どこが違うでしょうか? 

 さらに深く、高木層はツガやヒノキの針葉樹が天井を覆い、林床はアセビやクロソヨゴの常緑樹、そして生い茂るコケやシダ。これらの様相が「青木ヶ原」の名前の由来となっていることをお伝えすると、昨日の場所よりもこちらのほうが典型的な青木ヶ原樹海であることを理解してくださったようでした。

 ゴールは「鳴沢氷穴」です。

最後に、「昨日と今日で一番印象に残った物や事を、一人一つ教えてください。」と聞いてみました。直近の溶岩洞穴が多いのでは?と想像したのですが、前日の「カエンタケ」や「鹿の頭骨」、「水蒸気爆発」といった精進湖自然観察路での事柄が多く出てきました。もちろんこの日に観察した「コケとシダの違い」や「菌根菌」「1200年前の氷」などの回答もあり、一人一人がそれぞれに印象に残る体験をして頂けたと思います。

 この二日間で見たり聞いたり感じたりしたこと、そうして「なぜこうなったんだろう?」と考えたことが、これからの皆さまの宝物になって行くのではないでしょうか。

 富士山の創ったこの素晴らしい自然の懐をご案内させていただいて、本当にありがとうございました。

<リポート 舟津川>

  

2022-08-22 | Blog, イベント報告

2022年8月1日 川越市立霞ケ関西中学校 林間学校 「ネイチャーラリー」

  川越市立霞ケ関西中学校1年生、105名の生徒さんが林間学校で西湖にいらっしゃいました。その初日、鳴沢活き活き広場で自然体験活動「ネイチャーラリー」に挑戦して頂きました。

  爽やかな天候に恵まれる中、広々とした芝生広場でオープニング。今日のプログラム内容、そしてサポートスタッフの紹介などを行って、いよいよ活動スタートです。

  第1部はウォーミングアップを兼ねて「フレンドシップゲーム」を実施。身も、心も解放して日常から一旦、気持ちを切替えて頂きました。「挨拶ゲーム」では学年全体の交流を深め、「富士山クイズ」では富士の麓から富士山の理解を深めて頂きました。

  第2部はいよいよ今日のメインプログラムである「ネイチャーラリー」に挑戦して頂きました。このプログラムは、こんにちの便利な暮らしから、一旦原始の時代に遡り、当時の暮らしをゲームで体験するものです。5,6人のチームで活動します。

  各課題ポイントでの活動結果は、成果によって「点数化」され、グループの得点、クラスの総得点を競って頂きました。

・獲物に気づかれないようにそっと近づく体験

・食料となる獲物を獲得する体験

・食べられる植物を見分ける体験

・視力を試す体験

・重さの感覚を試す体験

この活動は終了の笛がなるまで、それぞれのポイントを2度、3度と挑戦を重ねることが出来ます。「最初は0点だったが3回目で満点の10点が取れた」「3回挑戦したが点数を上げることが出来なかった、悔しい」「簡単そうに見えたがどれも難しかった、でも楽しかった」「すべてが初体験だった」「チームでちゃんと考えて挑戦すれば点数が取れる」などなどの感想が寄せられました。1泊2日の林間学校で貴重な時間をこの活動に割り当てて頂きましたが、自然豊かな富士山麓の思い出として、記憶に残る活動となったなら幸いです。

最後にベストショットを1枚!

先生方も積極的に挑戦して頂きました。校長先生の挑戦を応援する生徒さんたち。

<リポート 田中>

2022-08-09 | Blog, イベント報告

2022年7月 認定こども園ウブントゥ 「ナイトハイク」

  「認定こども園ウブントゥ忍野の森」の「ナイトハイク」は、毎年7月末に実施されてきましたが、本年度から新しく開園された「ウブントゥ富士の森」も始められることになり、7月15日、22日の2週に渡ってそれぞれに実施されました。その模様をリポートいたします。

7月22日 認定こども園 ウブントゥ富士の森 「ナイトハイク」

  素晴らしい園舎とともに今年開園された「ウブントゥ富士の森」。園舎を取り巻く広大な芝生広場や周辺の森を使って、年長組5名の「ナイトハイク」が実施されました。薄暮になり始めた19:15にスタート! 「木々の匂い体験」「目かくしロープ」「勇気の小道」「影絵当て」などのナイトイベントを楽しみながら、暗い中でも行動出来る人の力を体験しました。最後まで元気印の園児達がとても印象的でした。

◆ 7月22日 認定こども園 ウブントゥ忍野の森 「ナイトハイク」

  「ウブントゥ忍野の森」年長園児17名のナイトハイクは、山中湖村「文学の森」で実施されました。この森は樹木が空を塞ぎ漆黒の夜となります。しかしライトは一切使用せず、自分の視力で進んで行きます。「目かくしロープ」を楽しみ、そして「勇気の2人歩き」を行い、最後はいよいよ「勇気の1人歩き」を体験しました。初めての体験で、漆黒の中での活動は恐怖との闘いだったと思いますが、誰一人弱音を言う園児さんがおらず、全員無事ゴール出来ました。園児たちはこの体験でまた一歩成長できたと思います。

<リポート 田中>

2022-08-08 | Blog, イベント報告

2022年7月27日 静岡大学教育学部附属浜松小学校 林間学校「紅葉台ハイク」

  附属浜松小学校5,6年生(139人)が朝霧野外活動センターを拠点に「林間学校」を実施されました。その初日、全員で鳴沢氷穴―紅葉台コースのハイキングを楽しみました。

  鳴沢氷穴では、溶岩洞穴の成立ちや特徴を学ぶとともに、入洞して洞内の観察を行いました。入口付近から急に冷気を感じ、更に洞内に入っていくと氷の固まりが出現、夏でも氷があることに驚きながら、内部の状況を細かく観察しました。最近の調査・研究では、この洞穴は全長4kmの洞穴の一部であることが分かったとのことです。富士山麓の奥深い自然の姿を体験することが出来ました。

  氷穴からいよいよ紅葉台を目指します。このコースの魅力は前半が1158年前の溶岩台地(青木ヶ原樹海)、そして後半が足和田山(100万年前以上前に隆起した山)と、成立ちの異なる2つの大地を比較検証できることです。樹海は針葉樹主体の森ですが、足和田山は里山の風情で広葉樹の森が広がっています。樹海では方位磁石が90度以上変化する溶岩石も確認出来ました。

そして、いよいよ今日のゴール「紅葉台」に到着! ここからの富士の展望は圧巻です。当日は富士の頂が見えたり、消えたりで、雲が切れることはありませんでしたが、富士山の迫力を十分堪能することが出来ました。 

<リポート 田中>

2022-07-05 | Blog, イベント報告

2022年6月8日~9日 杉並区立桃井第五小学校5年生 富士移動教室 山中湖「ネイチャーラリー」「明神山登山」 

梅雨入りしたばかりの6月8、9日、杉並区立桃井第五小学校5年生たちの、ネイチャーラリーと登山をサポートいたしました。朝から雨がパラつく天候にスタッフ一同ハラハラしましたが、子どもたちが到着するころには雨はやみ、無事に二日間、野外活動を行うことができました。

   一日目の「ネイチャーラリー」は山中湖畔の「文学の森広場」で行いました。「ネイチャーラリーは、便利な現代の暮らしから、原始の生活に戻る体験をします!」とスタッフの田中が説明すると、「原始って?」「何をするの?」と、期待高まる子どもたち。8つのポイントをグループ単位で巡り、点数を獲得していく体験活動です。競技の中身は、ふだん意識することがない五感をフル活用して行います。

五感の中で視覚が試されるのが“カモフラージュ”。自然の中から人工物を探しました。逆に視覚を閉ざし行うのが“目かくしトレイル”。目隠しをしてロープだけを頼りにゴールまで進むポイントでしたが、足裏の感覚を使いながら慎重に進むことができました。現代はなんでもそろうコンビニエンスストアなどがありますが、原始の時代では自ら食べものを選び、獲物を見つけ捕えなければなりません。“食べられる植物を探せ”では、8つの植物が並べられ、おいしそうと思う植物を選び、“ハンター”ではパチンコで獲物への的中率を競いました。

「どんなことをするのか分からなかったけど、すごく楽しかった!」という感想が多く、特に“火起こし”は大喜びしでした。湿った天気にも関わらず、ほぼ全員が火をおこすことができました。

「ハラハラしたけど、“ロープ渡り”が面白かった!」と、ロープ上を歩いてバランス力を試すポイントも人気でした。8つのポイントは3回まで挑戦できますが、1回目より2回目、2回目より3回目と点数を伸ばしていくチームが多く、一丸となって取組んだ証しです。ラリーが終わったあとのキラキラした目は、充実した活動を物語っていました。

翌日は、「明神山登山」を行いました。山中湖を取り巻くように丹沢山系の山々が連なっていて明神山はそのひとつです。丹沢山系は約500万年前にできた山で、眺望する富士山は1万年前に誕生した新しい山で、山の成り立ちの違いを体験することができます。

はじめはゆっくり平地を歩きながら、ゴマキやサンショウなどの葉を摘んで香りを楽しみました。ぬかるんだ場所ではイノシシの足跡も見られました。また別の所ではシカの足跡も多数確認出来ました。昨日のネイチャーラリーでは印刷物での「動物の足跡探し」でしたが、この日は本物を目にすることができました。動物の痕跡をフィールドサインといい、狩猟をするときには獲物の居場所を見定めるために足跡、フン、食べ物のあと、などが貴重な情報源となります。本物のフィールドサインを見て子どもたちはすっかりハンター気分になれました。

昨日のネイチャーラリーで出題された植物探しの山草も見ることができました。マムシグサやトリカブトは山道でたくさん見つかります。“これは食べられますか?”と質問してみると、「食べられる!」と回答した子どもに「ダメだよ~~~」と叫んだ子がいて、再度、毒があることを子ども同士で教え合いました。シカの骨や、イノシシのフンも見つけ、動物がこの付近にいることを確認できました。また、ブナの実を探したり、キクラゲ(キノコ)に触れてみたり、その他色々な自然観察を楽しみながらゆっくり登っていきました。

  休みをはさみながら、平坦なところも 登りも、なるべくペースを変えず、一歩一歩確実に進んでいきました。途中にはフジの紫の花、ヤブウツギやヤマツツジの赤い花、ツクバネウツギの白い花が彩っていました。バイケイソウの群落を過ぎると、いよいよ頂上が近づいてきます。休憩中に友達のザックを持ってあげるなど、協力しながら、励まし合いながら頂上を目指しました。

  「頂上ついたらお弁当!」「山登りが終わったあとはソフトクリーム!」と唱えながら、苦しい山道を登り切りました。頂上では、雲の切れ目から山中湖を見下ろすことができました。「苦しかったけど、登山は楽しい!」「頂上についたら、こんなにうれしいのだと思いました!」とうれしいそうな子どもたち。

  山登りは、確かに苦しいですが、一歩一歩を積み重ねていけばやがて目的の頂上にとたどり着くことができます。今回は参加した全員が登頂できました。頂上での輝く笑顔が忘れられません。新型コロナウイルスの影響で自粛生活が続き、山登りに不安な子供がいたかもしれませんが、今回、頑張って頂上に立てたことは、これからの大きな自信になったことでしょう。

<リポート 関口>

2022-05-30 | Blog, イベント報告

2022年5月17日  沼津市立原中学校2年生 山中湖「高原教室」

毎年、「高原教室」を実施されている沼津市立原中学校2年生のみなさんと、山中湖村の湖山荘キャンプ場で「ネイチャーラリー」を行いました。このイベントは現在の便利な生活から一旦、原始の時代に戻って自然の中で生きていくための課題を原体験する活動です。「ハンター(狩猟)」、「火おこし」、「丸太切り」など、7つの課題に挑戦しました。

 「案外、難しい!」「意外に面白い!」・・・色々な感想が飛び交う中、グループ単位で各ポイントをクリアーして行きました。

ファイヤースターターで火を起こす「火おこし」体験は、雨で湿度が高い日でしたが、多くの生徒さんが成功することができました。

「重さ当て」のポイントでは、出題された重さの基準となる丸太を持ちながら、「これは、テニスラケットと同じくらいの重さかも」と言うメンバーに、「うーん、それっていいヒントになりそうだね」と、話しながら、検討を重ねていました。日常ではなかなか重さを意識して過ごしていないことを実感できる課題でした。また、別のチームでは、「オレを信じろ」と結論を急ぐ生徒に、「待って、待って!もう一度比べよう」と慎重な判断を促すメンバーなどなど、チーム内で闊達な話し合いが行われていました。

 この活動は、各グループ、そしてクラス対抗戦になっており、ポイントを通過するときの達成度で得点が与えられます。各グループは、より高い得点を目指して、知恵を出し合い、協力しながら進みます。 限られた時間の中で7つのポイントを効率よく回ることも求められます。

 自然豊かなフィールドで、最大の成果を求めて、チーム一丸となって挑戦して行く活動は「高原教室」にとてもマッチしていると感じました。小雨ぱらつく中での活動でしたが、最後まで全力で取組んで頂いた生徒さんに感謝いたします。

活動の模様をご紹介いたします。

<リポート 関口>

2022-05-24 | Blog, イベント報告

2022年5日12日 横浜市立名瀬中学校2年生 「青木ヶ原樹海/三湖台ツアー」

 体験活動が少しずつ行われるようになってきました。富士山と青木ヶ原樹海を見渡せる絶景ポイント満載の三湖台へ、横浜市から訪れた名瀬中学校のみなさんを案内しました。 

 この日は鳴沢氷穴の樹海の森からスタート。「樹海は初めて!」「自分が知っている森とは何だか違う!」と、生徒さんたち。溶岩台地にできた樹海の森の特徴をすぐに感じ取ってくれました。「根っこが出ている木が多い」「大きな穴があったり、盛り上がっていたり、でこぼこしている」「なんだか暗い」等々、歩きながらいろいろな意見が出てきました。約1150年前の噴火で流れた溶岩の上にできた森が青木ヶ原樹海です。まだ新しい森ともいえ、森の植生遷移を知るには最適な森です。

 しばらく樹海を歩くと、三湖台のある足和田山へと入っていきます。こちらは富士山よりもずっと前、約1000万年前に海から隆起してできた山です。「あれ、岩がなくて土がある」と、さすが、中学生、すぐに森の違いに気づいたようでした。

 さらに登っていくと、紅葉台に到着、その展望台から広大な青木ヶ原樹海や西湖や本栖湖を見ることができました。富士山の側火山のひとつで青木ヶ原溶岩台地を作り出した長尾山も見え、樹海の成り立ちを学ぶことができました。

 「頂きが白い富士山もぼくには見えています!」と生徒さん。あいにくの雨で富士山が見えなかったのですが、心の中に富士山ははっきりあったようでした。三湖台では西湖が眼下に眺望でき、元気に「ヤッホー」と叫ぶ姿もありました。

 下山しながら、「富士山の絵って、必ず頂上は白く描くよね、そして山を青く描くのはなぜだろう」と意見もでました。空が青く見えるのと同じで、空気が青い光を跳ね返すから、遠くにある富士山も青く見えます。

 生徒さんがツアーを通して、なぜ?と考えるのは体験学習においてとても貴重な気づきなので、とてもうれしく思いました。学校の勉強は大変ですが、これからもさまざまなことに関心を持ち、成長してくださいね。

<リポート 関口>

2022-05-03 | Blog, イベント報告

2022年4月20、21日 大妻多摩中学校1年生「オリエンテーション」体験活動

  入学してまだ2週間の、初々しい大妻多摩中学校1年生132人が「オリエンテーション旅行」で富士山麓にいらっしゃいました。中学生生活のスタートにあたり、大妻多摩生としての心構えや教育理念を学ぶと共に、人間関係作り、またクラス・学年の親睦・交流を図る3日間の活動を通して、「主体的、対話的で深い学び」を展開する目的です。

  NPO法人富士山ネイチャークラブは、この目的の実現に向けて「人間関係作り、クラス・学年の親睦・交流を図る活動」そして「日本の象徴である富士山を学び、青木ヶ原樹海の探究ツアーを体験しながら持続可能な未来を考える活動」をサポートさせて頂きました。

  プログラムの内容と活動の模様をご紹介いたします。

■1日目午後:チームビルディング活動・・・第1部「アイスブレイクゲーム」 第2部「ネイチャーラリー」

*このチームビルディング活動は、第1部、第2部を合わせてクラス対抗戦となっています。

  第1部の「アイスブレイクゲーム」は、入学してまだ2週間と、顔見知りになった学友が限られる段階で一気にクラスを超えて学年全体の親睦・連帯を図る活動です。最初の「挨拶ゲーム」は、学年全体(132人)で誕生月の異なる12人を見つけ、挨拶するゲームです。大きな声で「**月生まれの人いませんかー!」と叫びながら対象の生徒を必死に探す様は、まるで学年全体が「大きな渦」のような状態となりました。制限時間中にクラス単位で何人と挨拶出来かを競います。続いて行った「富士山クイズ YES/NO」では、富士山関する色々な分野(基本知識、自然、文化/信仰、など)のクイズに答え、正解し続けた人数を競います。これらの活動を通して、身も心も開放すると共に生徒さん一人一人が主体的・対話的活動により、多くの仲間との出会いが実現しました。

  第2部ではチーム(5,6人構成)単位で挑戦する「ネイチャーラリー」です。このプログラムは、自然の中で生きていくために必要な要素を原始の時代に遡って原体験する活動です。食料を確保するための「ハンター」、「足跡から動物探し」、「サイレントウオーク」、「食べられる植物を探せ」、 また自然界にはあり得ない物を見極める「カモフラージュ」、重さの感覚を試す「重さ当て」、その他「丸太切り」などなど、グループメンバー全員の知恵と感性(五感)をフル活用して1点でも多い得点獲得に挑戦しました。

“ハンター(ヤリ投げ)では1回目では1点しか取れなかったが、2回目は9点取れました”

“時間内に1点でも多く得点を上積みしたいので、次のポイントまで全力で走ります”

“私達のグループは得点が少なく、このままではクラスに貢献出来ない、残り時間全力で頑張ります”

“サイレントウオークは満点(10点)が取れた。戦略が上手くいった”

と、色々な声が聞こえてきました。

  グループ一丸となった熱い思いは、態度や行動に表れ、更には創意工夫を生み出し、そして見事に結果に繋げて行く姿は、圧巻でした。 優勝した2組の皆さん、おめでとうございました。

■2日目午前 「富士山講話」

  新入生の「オリエンテーション」を富士山の麓で実施する意義はとても大きなものがあります。富士山を学ぶこと、体験することから多くの知見や課題を発見することが出来ます。「富士山講話」と題して、富士山の歴史、自然(動植物)、信仰/文化、恩恵とリスク、などなど多角的に富士山の現状をFNCスタッフの田中がお話しさせて頂きました。そして自然豊かな富士山にも、「自然の営み」を脅かす様々な環境問題が顕在化していること、そしてその課題は日本全体、世界全体に通じる内容であることなどを生徒さん達と共有出来たと思います。生徒さん一人一人が将来どんな職業/仕事に携わるにしても、「自然や環境」と無縁で活動することは出来ないでしょう。生徒さん達が「富士山から持続可能な世界を考える」そんな機会となったならばとても幸いです。

2日目午後「青木ヶ原樹海自然探究ツアー」

  クラス別に「富岳風穴―鳴沢氷穴(入洞)コース」のガイドツアーを実施いたしました。生徒さんに聞いたところ、富士山や青木ヶ原樹海に来たことのある生徒さんは1割以下で、大多数の生徒さんは初めての体験となりました。溶岩台地の荒々しい姿、その厳しい環境にあっても力強く成長する原生林の姿に歓声が上がりました。植生の他にも、動物の痕跡や、森の営みに欠かせない菌類の存在も観察出来ました。頭でイメージしていた“青木ヶ原樹海”と実際に現地で見た“青木ヶ原樹海”には、大きな違いがあったとのコメントもありました。自分の目で確認出来たことは事実そのもの、体験活動の醍醐味ですね。

最後に

  今回、大妻多摩中学校新入生の「オリエンテーション」の一環として、チームビルディング活動、自然探究ツアーなどをサポートさせて頂きましたが、生徒さん達の礼儀・笑顔がとても印象的でした。また、何事にも積極果敢に取組む姿は、大妻多摩生としての自信の表れだったと思います。サポートしたスタッフからも「本当にすがすがしい生徒さん達だった」との声が多くありました。

  大妻多摩中学高等学校様は、教育理念として「自立自存」「寛容と共生」「地球感覚」を3つの柱として掲げられています。今回の活動サポートがその一助になったとしたら幸いです。

<リポート 田中>

■参考情報

大妻多摩中学高等学校 サイト情報

https://www.otsuma-tama.ed.jp/

2022-04-18 | Blog, イベント報告

2022年3月11日 横浜市立茅ケ崎中学校1年生 「ネイチャーラリー」

春の陽ざしが感じられるようになった3月の初めに横浜市立茅ケ崎中学校1年生のみなさんの「ネイチャーラリー」をサポートしました。

「生徒たちは中学生になって初めての野外体験活動です。もしかしたら2年ぶりの子もいるかもしれません」と、先生。新型コロナウイルスが猛威を振るい出してから3年目、子どもたちの教育環境は、まさに激変してしまいました。茅ケ崎中学校も1年生になってすぐに行う予定だった遠足が緊急事態宣言などで何度か延期になり、やっと実現しました。先生方のなんとしても課外活動をやりたいという熱意と、生徒たちの「校外でのびのび活動したい!」という思いがこうして実を結んだことに私たちスタッフも気合が入りました。そして、生徒たちが楽しむ姿を思い描きながら、ネイチャーラリーの準備を進めてきました。

1年生8クラス、総勢約300人の生徒たちが挑戦したのは9種目。自然の中で原始の時代を思いながら、頭と身体(五感)を使って自然の理解を深めながら、チーム、クラス、学年全体の連帯を育む活動です。5~7人で一つのグループを作り、それぞれの種目に挑戦し得点を稼いでいきます。うまくいけば10点、できなければ0点になってしまう、チームの協調性も試される内容です。

開校式に続いて、「ネイチャーラリー」の説明を行うと、「火おこしやりたい!」「動物の足跡ってなんだ?」と、生徒たちからワイワイと声が上がりました。そうして気持ちも盛り上がり、いざ、スタート!

 「灯台下暗し、だよ。手分けして探そう」と、真剣に道の脇に植えられた木々を見つめる生徒たちがいました。自然の中に潜む人工物を何個見つけられるかを競うカモフラージュという種目です。輪ゴムが枝に引っかかっているだけでも色が似ているために見逃してしまい、探そうとすればするほど見つからないジレンマに陥るチームも。時間制限もあるためすべて見つけられなくても移動しなくてはなりません。

自然界の中でカモフラージュとは天敵に見つからないための大切な遺伝情報ですが、運よく身を隠している獲物を見つけたら狩猟です。獲物に近づくためには抜き足差し足忍び足で静かに移動することも大切です。サイレントウォークは、ひとりひとりがいかに静かに歩けたかを勝負します。

そしていよいよ獲物を仕留める段階へ。ここではパチンコで獲物を狙います。紙に描いた動物ではありますが、命中すると歓声が上がりました。

さて無事獲物を捕らえたら調理をしなければなりません。ガスも電気もない時代、火おこしは大変な作業でした。ラリーではファイヤースターターを使って火おこし体験をしました。「疲れた!」「くやしい!」と身近な火をおこすことがいかに大変かということを体験できる貴重な時間になりました。「火おこしは難しかったけれど一番楽しかった」との感想も。

ノコギリの正確な技を競う丸太切り、声援もよく飛ぶ竹ぽっくりは、よりチームプレーが試されました。竹ぽっくりはバランス感覚と手足の運動が重要で、走るように早く動ける生徒さんもいました。

 「重さ当てが一番難しかったかな」「足跡から動物探しは、知らない足跡ばかりだった。ひとつもわからなかった」「植物探しが日頃の勉強とも重なり一番印象的だった」と、さまざまな感想を聞くことが出来ました。

閉校式では、各チームの得点をクラスで合計し、クラス対抗で順位も決定しました。総合得点で一位に輝いた7組のみなさん、おめでとうございました! 生徒全員が自然の中で五感を研ぎすまし、感じた何かを持ち帰ってくれたと思います。今後、世界的な問題になっているウイルスの脅威や自然環境問題に果敢に挑戦していく人材に育って欲しいと願っています。

<リポート 関口東子>

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