2025年7月25日 静岡大学教育学部附属浜松小学校5,6年生「林間学校」
今年も静岡大学教育学部附属浜松小学校5,6年生が「林間学校」の初日、4つのコースに分かれてトレッキングに挑戦しました。快晴のもと、それぞれのコースで自然の成立ちや、仕組を学ぶと共に、自然の醍醐味を体験して頂きました。
<4つのコース>
- 富士山「宝永火口」コース
- 富士山「二ツ塚」コース
- 「氷穴―紅葉台」コース
- 「精進湖自然観察路」コース
それぞれのコースでの活動の模様をご紹介いたします。
■富士山「宝永火口」コース
登山口となる富士山スカイライン「富士宮口五合目」は、青空の下、風もなく穏やかな天候で、眼下には雲海が広がり、その先には、駿河湾、伊豆半島を望むことが出来ました。トレッキングには最高のコンディションになりました。

元気いっぱいな子どもたちがバスから降りると、その第一声は「涼しい!」 そうです,ここは標高2400m地点の富士山。準備を済ませて、いよいよ宝永火口に向けて出発です。

先ずは、五合目から六合目までの登りに挑戦します。呼吸を整え、一歩一歩進み、身体を慣らしていきます。実は本番10日前の下見の際、この場所で「カモシカ」に遭遇しました。富士山のカモシカは個体数が減少傾向にあるとの報告を聞いていますが、何と遭遇した個体は妊娠中のお母さんカモシカでした。その時に撮影した写真を子どもさん達にも見て頂きました。
「今日もカモシカに会えるかな?」との期待の声もありましたが、残念ながら再現とはなりませんでした。

六合目の手前には、大きな溶岩の固まりがあります。ここで休憩を取りながら、富士山やここの大きな溶岩の成立ちについて学びました。一見して溶岩流のように見えますが、実は2200年前に噴出したスコリアが高熱により再溶融して固まったもので「アグルーチネート」と呼ばれるものです。


6合目を過ぎると、宝永火口に向けてフラットな登山道が続きます。その途中、富士山の山肌に力強く生育する多くの「先駆植物」を観察し、その生態メカニズムに付いて学びました。「オンタデ」「イタドリ」「イワツメグサ」「ミヤマオトコヨモギ」「コタヌキラン」「イワオウギ」などなど、富士山の厳しい環境の中でも、生育領域を拡大している状況を確認しました。

更に進んで行くと、迫力の宝永火口が見えてきました。一番上部の第一火口は長径1300mで富士山最大の噴火口です。

噴火口の底まで降りて、ダイナミックな造形を体感するとともに、思い思いにここでの時間を楽しみました。ガイドのレクチャーに集まった子どもたち、ここでしか見られない「岩脈」や「溶岩の色の違いとその理由」「磁石がくっつく理由」などなど、一緒に考えました。

帰路は、第一火口から第二火口沿いに下り、森林コースで出発点の五合目まで戻ります。途中、宝永山に向かって全員で「ヤッホー!」、きれいな「こだま」が帰ってきました。なぜ「こだま」が返ってくるのか? その条件は? などなどしばし「こだま」論議で盛り上がりました。



「宝永火口」コースに参加した5,6年生36名の皆さん、この日の体験が良き思い出になったとしたらとても嬉しく思います。
<リポート 田中留雄>
■富士山「二ツ塚」コース
富士山の南東にそびえる二ツ塚(1,804㍍)登山に挑戦したのは36名の5、6年生。登り口にある大きな鳥居の前で安全を祈ってのスタートです。

20分ほどで、山小屋(大石茶屋)に到着です。広場からは富士山の山容が見えますが、山頂付近は大きな雲に隠れ見えません。でもお茶碗をひっくり返したような丸い形をした二ツ塚(上塚、下塚)が目に飛び込んできました。「遠いなぁ!」の声は初参加の児童たち。昨年も登った数人の6年生は、「ヘッチャラ、大丈夫」と、余裕しゃくしゃくです。

太陽はまぶしく容赦なく強い日差しを全身に受けます。でも、谷から上がってくる風はヒンヤリと冷たく感じ、「この風サイコウ」と、どんどん高度を上げて行きます。途中の休憩では、足元の小さな小石が江戸時代の宝永大噴火で降ったと知り、317年もの昔に思いを巡らせながら不思議そうに観察していました。



登山開始から約1時間半、下塚の広い山頂に到着です。太陽も心なしか近く感じます。振り返れば、目の前には同じような形をした二ツ塚上塚、その先には、赤茶けた断面が特徴の宝永山が見えます。懸命に登っていた時は気付かなかった眼下には白い雲が点在し、標高の高さを実感していました。
登りとは真反対の斜面に向かうと、吹く風が急に強くなりました。足元に目をやると枝が地面に張り付いた変な形の樹木がありました。常に一方向から吹きつける強風の影響で上に枝を伸ばせず、仕方なく真横に枝を伸ばした「テーブル状樹形」のカラマツです。ヒマラヤにも匹敵すると言われる「強風富士」ならではの出会いでもありました。

たっぷりと満喫した二ツ塚ともお別れです。山頂直下から数百㍍は登山道の脇を下る「砂走り体験」です。足を1歩置くだけで、数歩分も先に進みます。急斜面だけにブレーキも効きません。これが最高に楽しいのでしょう。毎年、一番の人気イベントです。走り終えた全員の手も顔も真っ黒クロスケです。登山道に戻っても重力に任せて足が出てしまうのか、あっという間に山小屋が近づいてきました。その時です。1人笑顔の児童が皆を出迎えてくれました。朝のバス移動で体調を崩し山小屋で引き返した仲間です。でもその後元気が戻り、引率の先生と一緒に小屋の上部まで登ってきたようです。下山してきたメンバーと合流し、更に笑顔がはじけます。登頂はかないませんでしたが、滑るスコリアが楽しく、一緒に駆け下ります。苦しかった登りも吹き飛ぶ36人全員の笑顔と歓声が富士山に響き渡りました。

<リポート 関口 純>
■「氷穴―紅葉台」コース
朝、浜松を出発したバスはお昼前にスタート地点の「鳴沢氷穴」に到着しました。まずは鳴沢氷穴に入洞、暑い日でしたが、洞穴内はクーラーが効いているような涼しさ。狭い場所もあったりして、ちょっとした冒険のようで、盛り上がりました。洞内があまりに涼しくて快適だったので、「もう1回入ろう!」と言う声が続出でした。

次に樹海の森を歩き始めると、すぐに自分たちで、まわりにある溶岩な樹木のかたちなどに関心を示し始めました。自然に対する好奇心が旺盛で、実際に溶岩に触れたりしながら、樹海の森の成り立ちについて考察していきました。
他にも、キノコやコケも観察しました。とりわけ「ザトウムシ」には興味津々。皆初めて出会った虫のようで、何匹も腕に走らせたりして遊んでいました。でも虫に触るのは、大丈夫な子もいれば、そうでもない子もいて、森はキャーキャー賑わっていました。

樹海を抜けて紅葉台に向かう途中、石や倒木をひっくり返して、そこに棲む生き物の観察する子も。観察の後は、動かした石や倒木をもとに戻す自然観察のマナーも身につけました。


青く綺麗な「ルリボシカミキリ」や輝く「コガネムシ」などを見つけて楽しみながら、元気に紅葉台の展望台へ。展望台に上ると、心地よい風が吹いていて、富士山と青木ヶ原の絶景を眺め、みんなで記念撮影をしました。

<リポート 赤池雅之>
■「精進湖自然観察路」コース
11:20、精進湖チームが湖畔に到着です。先ずは、木陰でお弁当を食べてから、湖畔のレクチャーを実施。大室山を抱く『子抱富士』のお話から。お天気が良ければこんな感じの眺めになります。

だけどこの日は、富士山は雲の中でした。しかし大室山ははっきり見えましたね。正面に青木ヶ原樹海も見えています。

これから樹海探険に出発です。1200年前まで、ここには広大な『セノウミ』という湖があったとのこと、その大きな湖に灼熱(1200度)の溶岩流が流れ込むと、どうなってしまうのだろう? いよいよ探検が始まります。
始めに訪れたのが『溶岩ローブテュムラス』
難しい名前ですが、溶岩流が「セノウミ」に流れ込むと、水に冷やされて表面が固まりますが、中はまだどろどろの溶岩流で、上部から押し寄せる溶岩流の圧力で表面がパックリと縦に割れてしまったものです。


続いて、樹海の遊歩道を探索します。鹿の頭骨も発見しました。リスの松ぼっくりを食べた痕(エビフライ?)も観察しました。やがてまたまた湖が見える場所へ。
ここからは富士山が見えるはず。残念、今日は雲の中だけど、みんなで声を合わせて『ヤッホー!』、右側の山塊に「こだま」しました。


木陰で一休み。青木ヶ原樹海にいる動物のお話などを。「ツキノワグマもいるんだって!」 豊かな森には、たくさんの動物たちが暮らしています。

やがて、今日の最終目的地点へ。
『釜畑』という1200年前の水蒸気爆発の痕。ほんとうにまん丸なんだね。富士火山のダイナミズムを感じます。

「あずまや」で一休み。樹海もけっこう蒸し暑い。だけど、みんな頑張りました。

最後に聞いてみました。来年はどこへ行きたい?
宝永火口! 二ツ塚! 紅葉台!
希望が分かれましたが、どこを選んだとしても、富士山の懐でそれぞれに楽しい自然体験が出来るでしょう。来年も元気な浜松小の子どもたちにお会できることを楽しみにしております。
<リポート 舟津川由利>






