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2023-12-29 | Blog, イベント報告

2023年11月17日 山崎学園富士見中学校1年生 課題解決型体験活動 「ネイチャーラリー」

 富士山麓の紅葉も真っ盛り、秋も深まった11月17日に山崎学園富士見中学校1年生の皆さんが課題解決型体験活動「ネイチャーラリー」を実施しました。朝から土砂降りのあいにくの天気のため富士北麓公園体育館での実施となりましたが、観覧席もある大きな体育館で、生徒さん達は野外での実施と遜色ない活動が出来ました。元気に課題に挑戦した生徒さん達の活動の模様をご紹介致します。

 第1部は「フレンドシップゲーム」を実施しました。入学してから半年がたちましたが、6クラスもあり、学年全員の顔と名前が一致しているとは言い難く、お話しする機会もなかった人が多かったことでしょう。「挨拶ゲーム」では、多くの人との出会いがあり、会話も弾みました。

 「タイムセンスゲーム」「並び替えゲーム」では、課題達成に向けて各クラスとも息の合った活動が展開されました。「富士山クイズYES・NO」では、早々に解答を間違えて外野に退出となった生徒さんは「次こそは絶対に残る!」と真剣な表情が印象的でした。

 第1部の「フレンドシップゲーム」では身も心も開放して、学年全体の親交と連帯が一気に深まりました。小休止を挟んでいよいよ第2部のスタートです。

 第2部は、課題解決型体験活動「ネイチャーラリー」に挑戦しました。ここからは6名ほどで構成するグループ活動になります。「文明の利器」がなかった「原始の時代」を生き抜く力をゲーム形式で競います。8つのポイントにはそれぞれに課題が設定されており、「身体能力、感性/五感、知識/論理」を駆使して課題を突破していきます。ポイントごとに達成度に応じた得点を獲得して行き、その総合点をクラス対抗で競いました。

 手作りの本物の「パチンコ」を使って、獲物を捕獲するゲームでは、室内なので柔らかいスポンジボールを用いました。しかし、丸くくり抜いた段ボール箱に描かれた今日の獲物(シカ・イノシシ・ライオン・カモなど)を仕留めるのに悪戦苦闘、生徒チームに混じって、先生チームもゲームに参加。ベテランの先生は「懐かしいですねパチンコ。僕も手作りしました」と言いながらも、生徒同様に獲物のゲットに四苦八苦。生徒たちは先生チームに大きな声援を送っていました。

 「丸太切り」では普段の生活では使う機会もないと思われるノコギリを使って寸法精度を競いました。道具の特徴を見極め、上手に使いこなす頼もしい姿がありました。

 「重さ当て」は人の感性を試す競技で、なかなか正解に辿り付けない場合も。じっくり話し合って決めるチームもあれば、「○○ちゃんはパチンコで大活躍だったから決めて!」と運に頼るチームもありました。

 「サイレントウオーク」では、心配のあまり「牛歩」のごとくゆっくり歩く生徒もいて、スタッフに「全部回り切れなくなるよ!」と背中を押されることも。 

 「食べられる植物を探せ」は、なじみのない植物が多かったのか、「???」の表情ばかりでした。「やり投げ」は、細く軽い竹ひごで作られたものですが先端にやや重いおもりが付いていて、力まかせに投げても遠くには飛ばず、「あれ、こんなはずじゃ」と頭をひねりながら挑戦が続きました。

 「足跡から動物探し」は、足跡の図から、その動物を当てます。まるで試験問題を解くように、みな真剣な表情で相談して回答を探していました。

 「目かくしロープ」は、先導役以外はアイマスクを装着して暗闇を想定した歩く体験です。曲がりくねった約20メートルのコースが長く感じたようでした。

 ゲーム終了後、得点をグループごと、更にはクラスごとに集計した結果、見事「桃組」が優勝となりました。桃組の皆さんおめでとうございました。表彰状を贈りました。 

 表彰式が始まった頃、2階ギャラリーのカーテンが開きました。天候が回復したことで、体育館のスタッフが気遣ってカーテンを開けてくれました。窓越しには快晴にそびえる富士山の姿が見え、歓声が上がりました。ふもとの冷たい雨は富士山頂上では雪だったのが、頂きが真っ白になった美しい富士山を見ることができました。

 山崎学園富士見中学校1年生の課題解決型体験活動「ネイチャーラリー」は雨天で室内バージョンとなりましたが、最後まで集中して課題に取組んで頂きました。何もなかった原始の時代を生き抜いた先人達の知恵や工夫をゲーム形式で体験して頂きましたが、この体験を通して地球環境問題やその他の社会問題に対する新たな着眼、発想、そしてそれらの課題解決に向けてアイデアを創造して行くきっかけとなるなら大変嬉しく思います。

 最後になりますが、すべての活動において、生徒さん達の礼儀正しい挨拶や振る舞いにサポートスタッフから感嘆の声が寄せられました。富士見中学校1年生の皆様、ありがとうございました。

<リポート 関口東子>

山崎学園富士見中学校高等学校サイト情報

学校法人山崎学園 富士見中学校高等学校 (fujimi.ac.jp)

2023-12-26 | Blog, イベント報告

2023年11月19~20日「自然体験学習」森村学園中等部1年生

 横浜市の森村学園中等部1年生約200名の生徒さんが、11月19日に富士山麓の青木ケ原樹海の散策と三湖台(標高1,202㍍)を登頂。翌20日は鳴沢村にある溶岩洞窟を探検しました。11月1日には、NPO法人富士山ネイチャークラブの田中が学校様にお伺いして事前学習講話「富士山の自然」を実施、本番の活動に備えて富士山を学んで頂きました。富士山の成り立ちから現在に至るまでの「時空」を実際に五感で確かめる充実した2日間となりました。

■11月1日「事前学習

 森村学園の大ホールで実施された事前学習の模様です。3週間後に迫った本番に向けて生徒さん達の熱気が伝わってきました。

■11月19日 「三湖台/樹海(鳴沢氷穴入洞)自然体験ツアー

 三湖台(足和田山系)は約1000万年前に隆起した山、新富士は約1万年前に噴火で出来た山、青木ヶ原溶岩台地は1159年前に富士山麓から流れ出したもの。その対比を観察しながら三湖台の頂上を目指しました。

 「ほら振り返ってごらん」。「わ~デカイ!」。三湖台の頂上広場に到着すると、それまで全容が見えなかった富士山が背中後方に突然現れました。低山から下界の季節は秋どっぷりでも、富士山は約七合目まで既に雪に覆われている冬の装い。山麓から見る富士山とは違い、少し標高を上げたのと、雲も霧もない最高のロケーションだけにその姿がよりいっそう大きく迫って見えます。目に飛び込んできた富士の勇姿に感動の声が上がりました。

 山頂からは、樹海の名の通りの広大な面積の青木ケ原が眼下に広がります。流れた溶岩に分断された西湖も登頂しないと見えない光景です。山頂手前の登山道の側面には、富士の噴火でできたスコリア(小石)を観察。樹海の中ではコンパスが実際に狂って針が回ってしまう溶岩に驚いた表情を見せてくれました。

■11月20日 「鳴沢コウモリ穴 洞窟探検

 2日目は富士山の「懐」を探る洞窟探検です。樹海のあちこちに空いた狭い穴にもぐります。ヘルメット、ヘッドランプに手袋と装備は万全。全部で6つのポイントを巡って行きます。

◇ポイント1

鳴沢コウモリ穴洞窟群で最も大きな洞窟で唯一立って歩くことが出来ます。

◇ポイント2

青木ヶ原溶岩流、溶岩洞窟の解説

◇ポイント3

奥座敷がある洞窟

 ぽっかりと空いた穴を数㍍下りると、やや広い空間が広がりました。「さあ、ここからが本番だよ」とランプで見渡すと更に奥に通じる穴が見えます。「え~まだ行くの」の言いながらも皆、興味津津。探検ムードのスイッチは既に入っています。でこぼこの地面に四方から突き出た岩に注意しながら四つんばいの姿勢で進むと、約20人は入れそうな大きな空間が現れました。長いトンネルが出来た「溶岩チューブ」のメカニズムを、「実物」の中に身を置いて感じ取ります。

 水を求めて伸ばした植物の根が行き場を失ってぶら下がります。全員で一斉にランプを消してみました。「恐~い」と言いながらも静かに耳を澄まします。すき間だらけの溶岩から水がしたたり落ちる音が不気味に感じます。

◇ポイント4

出口が最も狭い洞窟

◇ポイント5

溶岩流や動物の解説

 入洞探検だけでなく、このポイントでは富士山に於ける溶岩流の解説、そしてニホンジカとカモシカの頭蓋骨を用意したコーナーでは、角の決定的な違いを学びました。

◇ポイント6

洞窟内の天井が低く、這って移動します。

 洞窟は全部で4カ所。どれも特徴が違う穴ばかりです。体一つがやっと通れる穴から這いでる場所では皆、キャーキャー言いながらも必死の形相で力を振り絞り無事に抜け出ることができました。昆虫や小型動物の糞も見つけました。「岩は冷たく入った瞬間はひんやりしたけど、冷たい風が吹く地上よりも暖かく感じて不思議」の感想もありました。

 全員が全ての穴から無事に「生還」した頃、樹海の森は既に暗くなり始め、気温もどんどん下がってきています。外灯もない場所だけに「暗黒の世界」はすぐそこまで来ています。そんな中、生徒さんだけは違いました。寒さも全く気にせず、全員満足そうに探検の醍醐味を語り合っていました。たくさんの笑顔にスタッフの心も「ほっこり」となりました。

<リポート 関口純>

森村学園中等部・高等部 サイト情報

森村学園 中等部・高等部 (morimura.ac.jp)

2023-12-14 | Blog, イベント報告

2023年9月14日 武蔵野市立境南小学校4年生 「ほうとう作り」と「ネイチャーラリー」

 境南小学校4年生がプレセカンドスクールで富士山のふもと山中湖村を訪れ、「ほうとう作り」と「ネイチャーラリー」を体験しました。

■ほうとう作り体験

 ほうとうは小麦粉を練って作った麺を野菜やお肉などと煮込み、みそ仕立てにした山梨県の郷土料理です。境南小学校の子どもたちは、ほとんどの人がほうとうを知っていて、数十人が食べたことがありましたが、自分で作ったほうとうの味はどのようになるでしょうか。

 ほうとうの材料は小麦粉と水のみ。小麦粉を富士山の形にして、山頂に噴火口を作ったら水を注ぎ、手早く混ぜます。よく練ってから各自ビニール袋に入れ、さらに練りました。

 よく練ったほうとうの生地を薄くのばして、包丁で切ります。「のばしても形が変だけど大丈夫?」と不安そうな声もありましたが、市販の麺のように長さがきっちりそろいませんが、そこが手作りの良さ。自分で作ったほうとうを大切に扱う姿は印象的でした。

 お鍋ではほうとうと一緒に野菜やキノコや肉類を煮込みます。かぼちゃ、じゃがいも、きのこ、大根、ニンジン、豚肉と鶏肉も調理しました。

 クラスごとの鍋をみんなで囲み、味噌や出汁で味付けしました。「先生は薄味がいいな」「もう少しみそを入れた方がいいかも」などなど、意見が飛び交いながら味を決めました。煮込みが終わっていよいよ試食です。  

 スタッフから「クラスごとに味が違うので、ぜひ、ほかのクラスのほうとうもおかわりしてね」と話があり、次々とおかわりの列ができました。3クラスそれぞれがお鍋の底が見えるほど食べました。

 「やっぱり自分のクラスのほうとうがおいしかった!」との声が多数でした。自分で作ったほうとうは格別でしたね!

■ネイチャーラリー

 午後は「ネイチャーラリー」を行いました。残暑厳しい山中湖でしたが、境南小学校の子どもも先生たちも、元気はつらつとしていて、ラリーは大いに盛り上がりました。ラリーは8種目を5,6人のチームで回ります。先生たちもチームを作って、子どもたちは先生とも競い合いながらラリーを進めました。このラリーは原始の時代に思いはせながら、人間が本来もっている能力を体験するゲームです。電気もガスもなく、食料も狩りで行っていた時代に境南小学校のみんなは果たして生きて行けるのか、挑戦です!

 「みんなの応援の声が先生は嬉しかったです」と、先生が感想を話してくれたのは「火おこし」でした。自分で火をおこす体験です。なかなか火がつかず焦っていたところ、「頑張って!」「あともう少し!」と多くの声援が飛びました。また、先生だけでなく、子どもたちも「応援がうれしかった」とチーム内での励まし合いで喜びを感じたようでした。

 その他、暗やみ体験の「目かくしロープ」、獲物を上手にねらう「パチンコ」、遠くの獲物をとらえる「やり投げ」、静かに獲物に近づく「サイレントウォーク」、難路を突破する「竹ぽっくり」、重さを感じとる「重さ当て」、獲物を見つける「カモフラージュ」などなどに挑戦しました。 

先生方もチームを作って挑戦しました。

 同じ種目を何回か挑戦する中で、「コツをつかんで、2回目3回目と上手になっていった」「まわりの人のやり方を見てコツをつかめた」「チームで協力してうまくできた」など、創意工夫を重ねて挑戦し得点を高めていきました。意見がぶつかったり、うまくいかないことがあっても、協力して高め合うチーム力が、境南パワーとなって富士山にはじけ飛びました。スタッフも楽しい一日になりました。

 <リポート 関口東子>

2023-12-11 | Blog, イベント報告

2023年10月26日 杉並区立高円寺学園小学部5学年 山中湖移動教室「明神山登山」

 杉並区立小学校の内、24校が今年から山中湖移動教室を6月~10月にかけて順次実施されてきました。紅葉が真っ盛りとなった10月26日、本年度最後の実施校となった高円寺学園小学部5年生の子供たちが「明神山登山」」に挑戦しました。青空が広がる中、富士山も綺麗に見えて、絶好の登山日和になりました。

 歩き始めると、いきなり多くの子供達から「あー空気が美味しい!」との声が・・・その敏感な感覚にビックリ、気分爽快の中、これから始まる登山への期待が高まり、声が弾んでいました。先ずは富士山を背後に平坦な道を登山道入口までゆっくり進んで行きます。歩き始めると徐々に体も温まってきました。

 道沿いには、銀色に光る「ススキ」が我々を出迎えてくれました。秋の風情を感じながら山に向かって行きます。

 登山道の入口では環境指標植物と言われる「サルオガセ」も観察しました。サルオガセは地衣類ですが空気中の水滴からミネラルなどを養分にして生きている植物です。綺麗な空気の所でないと生きられない植物です。「東京でも見られるようになるといいね」との話で盛り上がりました。

 「マムシ草」の真っ赤な実が見つかると「トウモロコシみたいで美味しそう!」との声が、「いやいやこれは毒があるから気をつけて下さい」とのガイドの説明に「ビックリしたー」。

 紫の花を見て「綺麗!これは何と言う花ですか?」「トリカブトですがこちらはもっと猛毒ですよ」の説明に、「綺麗な花には毒があるのかぁ」の声も。植物観察をしながら登山道を更に登っていきます。

 山梨県と神奈川県の堺にある「切通峠」を経て、明神山の尾根に到着しました。ここからこのコースの難所(急な登り)を攻めていきます。ガイドから疲れない登り方などについてのアドバイスがありました。

 急な登りでは、水分補給休憩をこまめに取って、疲労を防ぎ、体調を維持します。そしてまたゆっくり登って行きます。

 40分ほどの急な登りが終わると、ここからは歩きやすい道が続きます。その道沿いには真っ赤な実を付けた「ガマズミ」や「マユミ」、可憐な「リンドウ」、美味しそうな「キノコ」たちが秋の風情を演出していました。

 イノシシのお風呂場「ヌタ場」には、イノシシの毛がいっぱい見つかりました。登山道の入口ではシカの骨が散乱している現場も観察しました。豊かな森には多くの野生動物が生きていることが確認出来ました。

 木漏れ日の森では、先生も子供達も地面に寝転んで紅葉を見上げました。「こんな体験は都会では出来ない!」「動きたくない!!」との声が。

 歩き始めて2.5時間、一気に眺望が開ける「明神山」山頂に到着しました。富士山、山中湖、御坂山系、その先には南アルプスなどなど、圧巻の展望が広がっていました。子供たちの疲れは一気に吹っ飛んだ様子で、感動の笑顔や歓声に溢れていました。思い思いの場所でお弁当を食べ、時間が許されるまでこの空間に浸りました。

 あっという間に時間が過ぎ、下りを開始する時間になりました。ガイドから下り坂のレクチャーを受けて明神山山頂に別れを告げました。

 下り道一面に広がる「銀色のススキ」見て、「ススキの海を泳いでみたい!」との声も。詩的だなー。

 小学5年生80余名の「明神山登山」は、全員が元気よくゴールに到着して終了となりました。本年度最後の実施校となった高円寺学園小学部5年生の皆さん本当にお疲れ様でした。この体験を今後の学校生活に是非活かして下さいね。そして、これからも色々な体験を積み重ねて成長の機会として下さい。

 <リポート 田中>

2023-11-10 | Blog, イベント報告

2023年9月29日―10月1日 開智日本橋学園中学校2年生「森のフィールドワーク」

 開智日本橋学園中学校が毎年実施している「森のフィールドワーク(2年生)」が今年も9月29日~10月1日の3日間に渡って実施されました。今年から活動フィールドを富士山麓「西臼塚ふれあいの森林(もり)」に移して心機一転、多様で豊かな自然環境の中での活動となりました。

 開智日本橋学園の「フィールドワーク(探究活動)」の最大の特徴は、活動の企画運営は基本的に「生徒達の自主性(運営委員会)」に委ねられていることです。運営委員長、運営委員を中心に全生徒が自らの責任で活動を推し進めて行きます。有意義な活動となるか否かは、すべては生徒達自身の考え、行動にかかっていると言っても過言ではありません。

 本番前の9月21日、NPO法人富士山ネイチャークラブの田中が学校にお伺いして「事前学習講話」を行いました。富士山の成立ちや自然の営み(植物、動物など)などをお話しすると共に、フィールドの様子を多くのスライドでご紹介して、探究テーマのヒントにとなりそうな自然の要素をご紹介いたしました。

 講話が進むにつれて、富士山や活動フィールドへの興味が高まり、多くのの質疑/応答が交わされました。「西臼塚は噴火の恐れがあるか?」「キノコの見分け方(食/毒)は?」「どんな虫がいるか?」「ナラ枯れの状況は?」「この時期の服装は?」「森で迷子にならない方法は?」などなど、現地での活動をより安全に、かつ有意義な活動とするための予備知識を共有する場となりました。

 開智日本橋学園の探究は「現地発見・現地解決型」活動で、「疑問―仮説―検証―発表」の4つのプロセスを重視します。また、個を重視し、グループ活動で成果を最大化して行くのも大きな特徴となっています。

 いよいよ本番初日、162人の生徒さんを乗せたバスが西臼塚に到着しました。早速運営委員会の進行で開校式が行われました。委員長の力強い挨拶(宣言)から始まり、校長先生からは、この活動に向けた期待と激励のお言葉がありました。

 危ぶまれた天候も回復して、いよいよフィールドワークのスタートです。先ずは、ガイドの引率による「ガイドウォーク」を実施、活動エリアの確認と共に、フィールド内の多様な植物や動物の痕跡、地形、地質、噴火口などを確認していきました。富士山麓の自然を初めて体験する生徒さんが大半を占める中、原生林の森を満喫しながらガイドとの会話が弾みました。

 初日の後半はグループ活動に移行して、自然観察を更に深めると共に、テーマとなる「疑問探し」を行いました。広いフィールドを時間の限り巡って、より多くの疑問を探っていきます。この場面はより多くの疑問を発見することに集中します。疑問の数だけ森を観る視点が広がり、更にはそれぞれの疑問の関係性についても視点が広がって行きます。

 4時間の「森探究」が終わるとホテルに移動して「室内探究」を開始。夕食や入浴を挟んで森探究で探ってきた沢山の「疑問」をチーム論議で絞り込んで行きます。「自分たちが本気で知りたかった疑問はこれだ!」とグループ全員が納得するまで論議が続きます。初日の大きな山場です。この間、富士山ネイチャークラブのガイドスタッフも控え室(相談室)で待機、随時生徒さんたちの相談に対応しました。グループの疑問が絞り込まれると疑問に対する仮説を考え、明日の現地検証方法を論議し、21:00初日の活動を終了しました。

 2日目の午前中は、再びフィールドに行って、疑問を解く「検証活動」を行いました。「現地解決型」活動を標榜する「森のフィールドワーク」の最も大事な場面です。「ありありと観察する」「現地現物で検証」「事実に基づいた検証」などを念頭に置いて、検証を深めて行きました。

 3時間程の検証時間はあっという間に過ぎました。現地検証で得られたデータや記録を入念に確認して、ようやく昼食タイム。笑顔が満ちあふれていました。

 現地での活動を終えて、ホテルに戻ります。

 ホテルに帰ると早速、明日の発表会に向けて論議がスタート。検証結果をどのようにまとめ、どのように発表するか、熱い論議が続きました。富士山ネイチャークラブのガイドスタッフも、各教室を巡回したり、控え室で生徒の相談に乗るなどで活動をバックアップしました。

 多くの事実(検証データ/記録)から、どんな相関性があるのかを多角的に検証して行きます。「森のフィールドワーク」最後の山場です。とことん論議してグループ全員の考えが集約したら、いよいよ翌日の発表会に向けた「発表資料(模造紙)」の作成に取りかかります。資料は「問い(疑問)」「仮説」「検証方法」「検証結果」「考察」の項目を立ててまとめていきます。更には、より分かりやすい発表とするためにグラフやスケッチなどを別紙で作成しました。そして明日の発表練習も行って21:00、2日目の活動を終了しました。

 3日目、いよいよ発表会の日です。30グループ(162名)が6つの教室に分かれて探究発表会が実施されました。10分の発表が終わると、質疑応答で更に核心の論議が続きます。最後に先生の講評が有り、参加した富士山ネイチャークラブのガイドスタッフからも講評を述べさせて頂きました。

■探究テーマ(抜粋)

・なぜヒメシャラの根元にはキノコやコケが生えていないのか

・木の種類によってコケの密度や生えている高さがどのように変わるのか

・コケはどのような環境を好み、その環境はコケの成長にどう影響するのか

・モグラが掘った場所はどのような共通点があるのだろうか

・スコリアが露出している土地としていない所では木にどのような違いがあり、その違いはなぜ生じるのか

・ザトウムシの個体差と生息地にはどのような関係があるのか

・森の中で音の聞こえ方は地形によってどのように変化するのか

・マスタケとサルノコシカケ科の育ちやすい環境について

・キノコの生える場所にはどのような傾向があるのか

・バイケイソウの生息地の特徴とは

・天然林と人工林の周りの土の性質にはどのような違いがあるのか、なぜ違いが生じるのか

■発表会での意見、講評(抜粋)

・声がはきはきとしていて、聞きやすかった。

・検証データの多さに驚いた。よくぞここまで検証した。(ザトウムシの数、ブナの実の数など)

・検証要素が不足していて、全体を捕らえていない。

・検証方法を実演してくれて、とても良く理解出来た。

・考察が浅い。良かったこと、悪かったことをもっと具体的に述べて欲しかった。次にどう繋げて行くかの視点が重要。

・専門用語が沢山出てきて、新しい分野を学んだことが分かった。

・検証データの指標作りに創意工夫が見られる。測定器がなくても、説得力がある。

・感覚的(足裏の感覚など)な指標も面白い、悪くない。

・「なぜだ、なぜだ」と突っ込んでいく発表内容は、探究学習の手本である。

・別紙データがとても分かりやすく、理解が進んだ。

・検証ポイントを地図上に示したのはとても良かった。

■校長先生からは、発表を聞いている側の講評として

・聞き手の質問の質が良い

・聞き手が、発表者が話しやすい雰囲気作りを行っている

とのお話しがありました。発表する側に注目するだけではなく、聞き手の姿勢も重要な役割を担っていることを改めてご指導頂きました。

 発表会終了後、宿舎の体育館で閉校式が行われ、3日間に渡る「森のフィールドワーク」が無事終了となりました。そして3年生になると「街のフィールドワーク」、高校生になると「海外でのフィールドワーク」が続きます。

 探究学習のプロセスは、将来社会人になって従事する「仕事モデル」そのものです。「現地発見・現地解決型」の取組みで、大きな社会問題に果敢に挑戦している将来の君たちを思い浮かべながらバスをお見送りしました。3日間、本当にお疲れ様でした。

  <リポート 田中>

開智日本橋学園中学校 サイト情報

開智日本橋学園中学・高等学校 – 学校法人開智学園 (kng.ed.jp)

2023-11-06 | Blog, イベント報告

2023年9月28日 武蔵野市立第五小学校 プレセカンドスクール 「ネイチャーラリー」

 武蔵野市立第五小学校4年生78名がプレセカンドスクールで山中湖にいらっしゃいました。その2日目、晴れ渡った秋空の下、富士山が望める広いフィールドで自然体験活動「ネイチャーラリー」に挑戦しました。

 「ネイチャーラリー」は、今の便利な時代から、電気もガスもコンビニもない「原始の時代」の戻ってその時代の暮らしをゲームで体験する活動です。1グループ5,6人で構成し、グループ一丸となって8つのポイントをクリアーして行きます。8つのポイントをすべて回ったら、好きなポイントを3回まで挑戦出来ますが、挑戦を重ねるごとに獲得点数がどんどん伸びていく様子は、圧巻でした。 

ハンター:パチンコで狩猟体験
獲物を獲るためにヤリを遠くまで投げる体験
ファイヤースターターで火おこし体験
悪路を竹ポックリで突破します
獲物に気付かれないようにそっと歩きます。
自然界にないものを探す「カモフラージュ」
出題された重さと同じ重さのものを探します
闇夜でも歩ける体験「目かくしロープ」

 プレセカンドスクールでは、日頃学校では体験出来ない自然体験活動が展開されます。そのプログラムの一つとして「ネイチャーラリー」を体験して頂きましたが、最初から最後まで元気な子供達の歓声が響き渡りました。日本一の富士山を仰ぎながらの体験活動は気分も最高! 先生方と子供達が一体となっての活動は、とても良い思い出になったことでしょう。

 <リポート 田中>

2023-11-02 | Blog, イベント報告

2023年9月27日、28日 武蔵野市立第二小学校 「プレセカンドスクール」

 武蔵野市立第二小学校4年生は毎年、「プレセカンドスクール」で山中湖にお出でになります。今年も富士山および富士山麓で色々な体験活動を実施しました。初日の午後は山中湖文学の森で「ネイチャーラリー」に挑戦し、2日目は「富士山お中道自然観察ツアー」を行いました。その模様をご紹介いたします。

■初日「ネイチャーラリー」

 山中湖文学の森「かちかち山広場」に59名の元気な子供たちが集いました。このプログラムを大変楽しみにされてきたとのこと、一人一人の意欲的な表情、言葉からこの活動に向けた期待が伝わってきました。

 「ネイチャーラリー」は、原始の時代を想定し、その時代に生きていくための課題や試練をゲームで体験するプログラムです。5人ほどのチームで、難関を突破していきます。ルール等の説明を行って、いよいよスタート! ここからは、すべてチームの意志と責任で行動します。先生方はそれを温かい目で見守ります。 

川渡りを想定した「ロープ渡り」
闇夜の行動「目かくしトレイル」
ファイヤースターターで火おこし体験
課題の重さと同じ重さのものを探します。
マンモスまで届け! ヤリ投げ
自然界にはない人工物を探そう
食料を確保せよ! ハンター

 あっという間の2時間が過ぎて終了となりましたが、各ポイントで獲得した得点は、2度、3度と挑戦を重ねる度に高まって行きました。チームワーク、創意工夫が見事に発揮されました。閉会式でも多くの振り返りや感想について発言がありました。

  <リポート 田中>

■2日目「富士山お中道自然観察ツアー」

 五合目ロータリーからの富士山 お天気を心配していたけど、この調子なら予定のコース(御中道〜奥庭駐車場まで)を完走出来そうですね!

 スバルラインの五合目、ロータリーの広場に皆さま到着しました。皆さま神妙な面持ちでガイドの諸注意を聞いてくださいました。ここは標高2300m。まさしく富士山にいます。

 樹林帯を抜けて、富士山をバックに記念撮影

 富士五湖が見渡せる場所にて、思わず『ヤッホー!』

 さらに御中道を進みます。明るいダケカンバの樹林帯を抜ける。斜面には先駆植物の緑。富士山は相変わらず山頂は雲に隠れているけど、お弁当タイムまであと少し。

『スコリア(火山礫)が赤くなったらもうゴールだよ。』

カラマツが片側しか枝が無いのはなぜ?

すでにみんな知っている。

『偏西風のせいでしょ?』

あ!地面が赤くなった!

よく気がついたね〜。

 地面もいよいよ赤くなって来たけど、スノキの紅葉も始まっている。スコリアが赤くなるのは噴火口が近い証し。もう直ぐゴールだ!

 待ちに待ったお弁当タイム!青空の下で食べるとなぜ美味しいのかな?しかもここは富士山五合目、標高2300m。ゴミはすべて持ち帰ろうね。

 あとは富士下山のみ。四合五尺の奥庭まで降ります。下山は慎重にね。そして、無事に奥庭に到着しました。

 この日の富士山の自然の美しさと青空と澄んだ空気はそれぞれのハートにどのように響いたのでしょうか。みなさん、よく頑張りましたね。

 また富士山にいらしてくださいね!

  <リポート 舟津川>

2023-10-24 | Blog, イベント報告

2023年9月28日 聖ヨゼフ学園小学校4年生「お中道ハイク」と「カリンバ作り」

 「がんばって歩くぞー」「おー!」。9月28日、元気よくハイキングに出発したのは、聖ヨゼフ学園小学校の4年生48人。コロナ禍もあり久々の野外活動に皆ワクワクです。

 場所は富士山五合目。標高2,300㍍の雲上の楽園です。天気は快晴。富士山ならではの強風に見舞われましたが、長袖、長ズボン、ヤッケに軍手の装備は万全です。

 お中道の登山道には小石がいっぱいです。軽石のスコリアです。手に取って観察します。たくさん空いた小さな穴、黒と赤色の違いの説明に、納得の表情。雪の重みで曲がりくねった幹のダケカンバの生命力にも「こんなに固い幹なのにすごい」の感想もありました。

 山中は秋を迎え、黄色く染まったオンダテの葉が逆光に美しく輝きます。昆虫の姿は既にありませんが、真っ赤に色づいたコケモモの実が出迎えてくれました。斜面に張り付いた白いハナゴケの中から顔をのぞかした小さな赤い実がいっぱい。コケモモジュースやジャムを知っているだけに、本物の姿に「かわいい」の連発。

 歩くこと約2時間、「お昼まだー?」の声があちこちから聞こえてきました。ようやく御中道の終点です。残りの行程は樹林帯を下るだけ。約3キロの行程を無事に歩き切りました。

 午後は宿舎でカリンバ作りに挑戦しました。カリンバは「ハンドオルゴール、親指ピアノ」とも言われ。固い金属の棒を指ではじいて音を出します。カリンバ作り、演奏のプロでもあるスタッフの上岡雅之が用意した全て手作りのパーツを組み立てます。

 どんな音が出るのでしょうかと、上岡による即興演奏です。部屋に響き渡る優しくも不思議な音色に拍手喝采です。さあ、組み立ての開始です。手のひらサイズの板に長さの違う6本の金属棒を取り付けますが、先端に突き出た棒と土台の板に間に固定するための小さなパーツがうまくはまりません。力任せだと、せっかく並べた棒がずれしまうなど悪戦苦闘の連続です。スタッフや先生方の手を借りながらも、一つ一つの行程をみんなでこなして行きました。

 最後に金属棒の真下に設置した丸い棒を奥に寄せると6本の棒が少し浮き上がりました。さっそく指ではじいてみます。すぐ目の前から出る音に感嘆の声が上がりました。世界で1台、自分だけのカリンバの完成に、みな笑顔、笑顔です。この後は、白木の板に多色マーカーで絵を描きました。富士山の絵を描く子供たちも多く、スタッフにとってもうれしい光景でした。

  <リポート 関口純>

聖ヨゼフ学園小学校サイト情報

小学校|聖ヨゼフ学園 (st-joseph.ac.jp)

2023-10-20 | Blog, イベント報告

2023年10月5日 聖ヨゼフ学園小学校1年生 体験学習

 聖ヨゼフ学園小学校1年生が4年ぶりに「体験学習」で山中湖村にいらっしゃいました。初めての宿泊体験に楽しさ倍増、元気に「ネイチャーラリー」と「フォトフレーム作り」を体験しました。

「ネイチャーゲーム」

 初日、山中湖文学の森「かちかち山広場」に56人の子供達がやってきました。自然豊かなこの場所で「ネイチャーラリー」に挑戦します。児童の代表者が「このネイチャーラリーをとても楽しみにしてきました。今日はよろしくお願いします」との挨拶があり、サポートするスタッフも一気に気持ちが高まりました。1チーム5人程で色々な課題に挑戦し、クリアー出来たら「ごほうびハンコ」がもらえます。ラリーカードが「ごほうびハンコ」でいっぱいになるまで挑戦が続きました。

オープニングの模様
ロープ渡り
ジャングルを見立てたネットをくぐって宝さがし
自然の中の人工物、いくつ見つかったかな
今日の夕食を確保しよう、魚つり
ヤリ投げ
目かくししても進めます
悪路を竹ポックリで突破
重さの感覚を試します

 2時間の活動時間があっという間に過ぎてしまいました。休むことなく挑戦し続けた子供達は達成感に溢れていました。「楽しかったー」との大反響に、スタッフの笑みがこぼれました。

「フォトフレーム作り」

 夕食後のひととき、宿舎で「フォトフレーム作り」を楽しみました。自然素材をレイアウトして自分好みの作品を仕上げて行きます。そして今回の体験学習の記念品として一人一人の子供達の力作が出来上がりました。

 午後に「ネイチャーラリー」、夕食後の夜は「フォトフレーム作り」と盛りだくさんの体験学習に取組みましたが、まだまだ元気いっぱいの子供達はすごいね。今日はゆっくりお休み下さい。そして、明日は「カババス」を楽しんで下さいね。

<リポート 田中留雄>

聖ヨゼフ学園小学校 サイト情報

https://www.st-joseph.ac.jp/primary/

2023-10-13 | Blog, イベント報告

2023年9月7日 武蔵野市立桜野小4年生 体験活動「ネイチャーラリー」  

 プレセカンドスクール2日目は、宿泊所のグラウンドで、自然体験活動「ネイチャーラリー」に挑戦しました。現代の生活からは想像できない、原始の時代をゲーム形式で体験します。

 スイッチひとつで電気もガスも使え、生活するうえで欲しいものがあれば、すぐに手に入るのが現代社会ですが、「ネイチャーラリー」では食料も火も自分で手に入れなければなりません。使えるのは自分の五感。でも誰もが持っている能力です。ふだんは意識しない五感で「ネイチャーラリー」を乗り切ります。

 目が見えなくても皆で協力して前に進む「目かくしロープ」、自然物ではないものを見つけ出す「カモフラージュ」、獲物を捕らえるための「パチンコ」「やり投げ」「サイレントウォーク」、整備されていない道を歩く訓練「竹ぽっくり」、手で重さを計ってみる「重さ当て」、自ら火を作る「火おこし」などなど、グループ一丸となって取組みました。

目かくししても、無事に歩けました。
今日の食料は確保出来ましたか。
マンモスが捕獲出来る所までヤリを投げよう。
悪路を突破します。
獲物に気付かれないようにそっと歩きます。
いくつ見つかりましたか。
一発で当てたらすごいね。
ファイヤースターターで火おこし体験
富士山がきれいでした。

 「ネイチャーラリー」を体験した子どもたちはみな「楽しかった!」と大歓声でした。「これで原始の時代にも生きていけるね」と声を掛けると、「大丈夫!」と頼もしい答え。

 今回のプレセカンドスクールでは、「お中道探究学習」や「ネイチャーラリー」で自然との関係をさまざまな角度から学ぶことができました。

<リポート 関口東子>

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