2025年9月15~17日 開智日本橋学園中学校2年生 「森のフィールドワーク」
スローガンは「成長 With Forest」。今年も開智日本橋学園中学2年生たちが「森のフィールドワーク(FW)」で富士山麓を訪れました。私たち富士山ネイチャークラブのメンバーも開智日本橋学園中学校のFWは毎年楽しみにしている活動です。フィールドは富士山の南側に位置する標高1250mの「西臼塚ふれあいの森林(もり)」、成熟した森が広がる自然豊かな場所です。生徒さんたちはここを舞台に探究活動「森のFW」を3日間かけて実施します。スローガンの達成に向けて私たちガイドもお手伝いさせていただきました。
■8月30日 「事前学習講話」
長い夏休みが明けた8月30日、フィールドワークの本番に向けて富士山ネイチャークラブのスタッフが学校に赴き「事前学習講話」を実施しました。フィールドとなる西臼塚の歴史や現在の森の様子について多くのスライドでご紹介し、現地の状況を理解して頂きました。西臼塚は約8000年前に噴火した富士山の側火山であり、噴火口もまだ残っています。土壌は富士山特有のスコリアですが、長い期間の中でブナやカエデなどの落葉広葉樹が主体の成熟した森となっています。生態系が豊かな森は探究対象も豊富です。この講話で生徒たちは、9月15日から始まる「森のFW」に向けて西臼塚の森に一歩近づけたと思います。


■1日目
9月15日、いよいよ本番当日。西臼塚駐車場にバスが到着すると開校式が行われました。FWはすべて生徒で構成する実行委員会により運営されます。調校長先生からは、「自然の仕組みを解き明かしていくためには五感や第六感もフル動員して、多角的な視点から検証をすすめましょう」と自然観察の要点と自然への親しみを込めたご挨拶がありました。続いてに内田学年主任から「すべて自分ごととして活動していこう」と激励の言葉が響き渡りました。


そして、いよいよフィールドでの活動がスタートします。まずはグループに分かれて「ガイドウォーク」に出発です。都会からきた生徒さんにとって、森は未知の場所と言えるかもしれません。このフィールドの特徴を紹介しながら、生徒たちがより多くの疑問を抱けるようガイドを進めました。



ガイドウォークの後は探究グループ単位での活動に移行し、森の営みや現象をさらに細かく観察して行きます。クマが好きなブナの実、リスがたべたモミの松ボックリ、火山ならではの土壌、かつて製紙産業のために植えられたウラジロモミやミツマタ、木の幹や土壌に広がるコケ、色々な所に生えているキノコなど、様々な自然の営みや現象がありました。目に映るもの、そして、目に見えないものも含め「なぜだ?」と感じる事象を書き出していきます。対象だけでなく対象の周辺を幅広く観察し、その相互関係についても多くの「なぜだ?」を記録していきます。一人一人が自分ごととして「なぜだ?」を発見していくことがとても重要な場面です。


西臼塚での活動を終え、宿に戻ってからも探究活動は続きます。班ごとに「疑問」を出し合い、「本当に知りたいことはこれだ!」に至るまでとことん論議が続きます。この間、ガイドスタッフは生徒さんの相談に対応するため通称「質問部屋」で待機し、活動をサポートしました。


「柔らかい土壌について調べたかったが、ネットで検索したら腐葉土であると答えがすぐでたので、違う問いが良いか考えています」という相談もありましたが、一般論で腐葉土を論ずるのではなく、西臼塚のあの場所のあの土壌の特徴から、より具体的な問いを考えてみてはどうかとのアドバイスも。 今夜の命題である、疑問に対する「仮説」の立案、「検証方法の立案」をまとめ、全30班が1日目の探究活動を終了しました。
初日、最後のお楽しみイベントは実行委員会の企画によるに「肝試し」。叫び声が響き、廊下には人が倒れ(実行委員による演出)、宿の職員さんから聞いた怖い話は本当なのか。しばし探究活動から離れ、大いに盛り上がっていました。
■2日目
2日目は検証のため、再び西臼塚の森へ。本年度は検証用の測定器具も様々準備され、検証の幅を広げました。酸素や二酸化炭素の濃度を測るセンサー、土壌水分センサー、光と色のセンサー、音センサーなどを活用して、疑問の対象をデータ化していきます。一方、道具に頼らずひたすらスケッチを試みて検証作業をする班もあり、さまざまな検証活動となりました。
冬虫夏草と言われる珍しいキノコ「カメムシタケ」をテーマにしたチームはなんと27個のカメムシタケを発見しました。樹皮に生息するコケや古株に生息するコケをじっくり観察する班、木の根元にある植生の違いについて1本1本草の本数を数える班、などなど検証作業は粘り強く続きました。
「疑問」「仮説」「検証」と探究活動を進めていく中、取得したデータが仮説通りにいかないことも沢山起こりました。仮説通りに行かなかったことも探究活動の大きな気づきです。






得られたデータや検証結果は克明に記録していきます。

2日間に渡って行われたフィールドでの活動がすべて終了し、森に別れを告げます。

森から宿に戻って来ると、いよいよ検証結果の考察が始まります。取得したデータや観察記録を整理、分析し、現地で調べ切れなかったことも情報収集し、考察の幅や質を高めていきます。ガイドスタッフも「質問部屋」で相談に対応すると共に、各教室に赴き考察作業を見守りました。


結論までまとめ切ると、一気に模造紙の発表資料を作り上げていきます。全体のレイアウトやデザインを考え、カラーマジックなども使って見た目も分かりやすい資料が出来上がっていきました。残り時間が1時間を切ると、各班の活動は沸騰状態に突入、進捗が遅れ追い込まれた班も必死にゴールを目指します。
“なんとか間に合った。やりきりました” “残り時間が近づき一時頭が真っ白になった”“全員で協力して完成できた” などなど激闘の様子を語る声がありました。定刻の21時、2日目の探究活動が終了しました。


■3日目
発表会は8つの会場に分かれ、全30班の発表が行われました。発表の仕方や姿勢も探究活動の重要な課題と位置づけられ、各班とも工夫に満ちた発表が続きました。発表を終えると質疑応答やフィードバックが闊達に行われ、参加者全員で共有する場となりました。それぞれの発表内容から、自然の多様性と生徒さんたち一人一人の個性の豊かさが重なって見えました。
発表テーマのいくつかを紹介します。色な視点から森の仕組みを解き明かすことができました。
・アブラチャンのオスとメスの距離にはどのような関係があるのか
・冬虫夏草が見つけやすい環境やその見つけ方とは
・キノコが生息する倒木と、しない倒木にはどのような違いがあるのか
・コケの種類によって好む生息環境は異なるのか
・木の幹にはなぜいろいろな方向に折り曲がるのか
・崩れやすい倒木と崩れにくい倒木の違いはなにか
・柔らかい土と硬い土では木の育ち方に違いはあるか
・人工的な切株と自然にできた切り株とではできる植生にどのような違いがあるだろうか



発表会に引き続いて体育館で閉校式がありました。調校長先生からは「この活動は社会人になって必ず活かされる。」との激励のお言葉がありました。続いて内田学年主任からは「3日間、自分事として本気で活動できましたか」と改めて確認がありました。
生徒の皆さん、「森のフィールドワーク」で一歩成長した自分を確認できましたか。また、自然への関心は高まりましたか。私たち人間も自然の中に暮らす地球の一員であることを再認識して頂けたらうれしいです。
開智日本橋学園中学校2年生の探究学習は今後も続いて行きます。この活動を通して更に大きく成長されていくことを心から願っています。
最後になりますが、この活動に参加させて頂いている富士山ネイチャークラブのガイドスタッフにも多くの学びがあり、モチベーションを高めています。 このプロジェクトに参加したすべての人が共に“成長”できた濃い3日間だったと思います。
<リポート 関口東子>
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