2021年6月28~30日 開智日本橋学園中学校3年生 「森のフィールドワーク」
事前学習から一週間後、いよいよ「森のフィールドワーク」本番の日がやってきました。学校を飛び出して、久しぶりの野外学習です。富士山麓を訪れた開智日本橋学園中学3年生のみなさんをNPO法人富士山ネイチャークラブがサポートしました。
朝から雨が降っていましたが、フィールドに到着したころには雨が上がり、森でランチもできました。雨が上がると、エゾハルゼミが一斉に鳴きだし、「鳥も同じように晴れているときの方がよく鳴くのか?」という疑問を感じた生徒さんもいました。
青木ヶ原樹海を訪れるのは、ほとんどの生徒さんが初めてで、木の根が地上に這うようにむき出しになり、まっすぐ空へ伸びるだけでなくぐねぐねと曲がった木々の姿に神秘的な魅力を感じたようでした。そして、溶岩や木には青々としたコケがびっしり生えている様子も印象に残ったようで、「コケは生きている木から栄養をもらって生えるのだろうか」と、コケの魅力に今年もたくさんの生徒さんが引き込まれていました。
「森にいたら何だか、眠くなってきました」という声も。緑の色彩は目をやさしく癒しますし、森から得られるリラックス効果を実感できたようで、野外活動のだいご味でもあります。
開智さんの探究学習は「疑問―仮説―検証―発表」の4つのサイクルを重視します。
1日目の前半はガイドと森をめぐり、後半からはグループ中心の活動になり、自分たちの探究テーマ「疑問」を追い続けます。じっくり観察し、とことん疑問に思ったことをチーム内でぶつけ合いながら、実際に目の前にある自然と対峙します。観察精度を高めるために、カメラは使用せずスケッチで詳細に記録していきます。
宿舎に戻ると、グループ毎に本当に知りたい「疑問」を絞り込み、その疑問を解く仮説を立て、明日行う検証作業の行動計画を立案しました。




2日目の午前は、前夜に作成した検証計画に基づいて、フィールドできめ細かな検証作業を行いました。木の高さに注目したグループは、工夫して木の高さを導き出すなど、より精度の高い検証を目指していました。ひとつの事象だけではなく、より多くのデータを集めることも重視されます。
<午前中の活動がフィールドワークの大きな山場となります。>




午後からは宿舎に戻り、フィールドでの検証結果をとことん論議して疑問の解明に迫ります。私たちも生徒たちの感じた疑問を共有しながら、検証作業のアドバイスを行いました。生徒さん達は最終的に、検証結果を模造紙に書いて、3日目の発表会に備えます。この作業は夜まで続き、みな真剣そのものでした。


そして3日目、いよいよ発表会の日です。発表資料は模造紙以外にも数々のデータやデータ分析結果を示す別紙も添えられ、自信に満ちた発表が続きました。メモを見ないでしっかり前を向いた発表も見事でした。また、その後の生徒同士の質問や答え方もしっかりしていて、驚きました。


29グループから多種・多様なテーマが提起され、検証の結果が報告されました。テーマの一部をご紹介します。
・ギャップが植物に与える影響はどのようなものがあるか
・溶岩の上のコケと木の上のコケはどのような違いがあるか
・鳥はどのような条件で鳴くのか
・早く流れた溶岩流とゆっくり流れた溶岩流の周りにはどのような違いがあるか
・フタリシズカが一定の場所に集まるのはどのような理由か
・絡み合っている木にはどのような共通点と相違点があるか
・ミズナラの枯死はカシノナガキクイムシ以外の要因はないか
・溶岩台地と大室山に生えている木にどのような違いがあるか
・木はどのような条件で真っ直ぐだったり、傾いたりするのか
フィールド(現地、現物)で検証できたことは全て事実です。事実を積み重ねた発表には説得力があります。この秋には場所を移して「都市型フィールドワーク」が行われますが更に深化した活動になることを期待しています。
3日間頑張った生徒さんたち、本当にお疲れ様でした。そしてありがとうございました。
<リポート 関口、田中>
参考> 開智日本橋学園中学校 サイト情報