2023年11月19~20日「自然体験学習」森村学園中等部1年生
横浜市の森村学園中等部1年生約200名の生徒さんが、11月19日に富士山麓の青木ケ原樹海の散策と三湖台(標高1,202㍍)を登頂。翌20日は鳴沢村にある溶岩洞窟を探検しました。11月1日には、NPO法人富士山ネイチャークラブの田中が学校様にお伺いして事前学習講話「富士山の自然」を実施、本番の活動に備えて富士山を学んで頂きました。富士山の成り立ちから現在に至るまでの「時空」を実際に五感で確かめる充実した2日間となりました。
■11月1日「事前学習」
森村学園の大ホールで実施された事前学習の模様です。3週間後に迫った本番に向けて生徒さん達の熱気が伝わってきました。
■11月19日 「三湖台/樹海(鳴沢氷穴入洞)自然体験ツアー」
三湖台(足和田山系)は約1000万年前に隆起した山、新富士は約1万年前に噴火で出来た山、青木ヶ原溶岩台地は1159年前に富士山麓から流れ出したもの。その対比を観察しながら三湖台の頂上を目指しました。
「ほら振り返ってごらん」。「わ~デカイ!」。三湖台の頂上広場に到着すると、それまで全容が見えなかった富士山が背中後方に突然現れました。低山から下界の季節は秋どっぷりでも、富士山は約七合目まで既に雪に覆われている冬の装い。山麓から見る富士山とは違い、少し標高を上げたのと、雲も霧もない最高のロケーションだけにその姿がよりいっそう大きく迫って見えます。目に飛び込んできた富士の勇姿に感動の声が上がりました。
山頂からは、樹海の名の通りの広大な面積の青木ケ原が眼下に広がります。流れた溶岩に分断された西湖も登頂しないと見えない光景です。山頂手前の登山道の側面には、富士の噴火でできたスコリア(小石)を観察。樹海の中ではコンパスが実際に狂って針が回ってしまう溶岩に驚いた表情を見せてくれました。
■11月20日 「鳴沢コウモリ穴 洞窟探検」
2日目は富士山の「懐」を探る洞窟探検です。樹海のあちこちに空いた狭い穴にもぐります。ヘルメット、ヘッドランプに手袋と装備は万全。全部で6つのポイントを巡って行きます。
◇ポイント1
鳴沢コウモリ穴洞窟群で最も大きな洞窟で唯一立って歩くことが出来ます。
◇ポイント2
青木ヶ原溶岩流、溶岩洞窟の解説
◇ポイント3
奥座敷がある洞窟
ぽっかりと空いた穴を数㍍下りると、やや広い空間が広がりました。「さあ、ここからが本番だよ」とランプで見渡すと更に奥に通じる穴が見えます。「え~まだ行くの」の言いながらも皆、興味津津。探検ムードのスイッチは既に入っています。でこぼこの地面に四方から突き出た岩に注意しながら四つんばいの姿勢で進むと、約20人は入れそうな大きな空間が現れました。長いトンネルが出来た「溶岩チューブ」のメカニズムを、「実物」の中に身を置いて感じ取ります。
水を求めて伸ばした植物の根が行き場を失ってぶら下がります。全員で一斉にランプを消してみました。「恐~い」と言いながらも静かに耳を澄まします。すき間だらけの溶岩から水がしたたり落ちる音が不気味に感じます。
◇ポイント4
出口が最も狭い洞窟
◇ポイント5
溶岩流や動物の解説
入洞探検だけでなく、このポイントでは富士山に於ける溶岩流の解説、そしてニホンジカとカモシカの頭蓋骨を用意したコーナーでは、角の決定的な違いを学びました。
◇ポイント6
洞窟内の天井が低く、這って移動します。
洞窟は全部で4カ所。どれも特徴が違う穴ばかりです。体一つがやっと通れる穴から這いでる場所では皆、キャーキャー言いながらも必死の形相で力を振り絞り無事に抜け出ることができました。昆虫や小型動物の糞も見つけました。「岩は冷たく入った瞬間はひんやりしたけど、冷たい風が吹く地上よりも暖かく感じて不思議」の感想もありました。
全員が全ての穴から無事に「生還」した頃、樹海の森は既に暗くなり始め、気温もどんどん下がってきています。外灯もない場所だけに「暗黒の世界」はすぐそこまで来ています。そんな中、生徒さんだけは違いました。寒さも全く気にせず、全員満足そうに探検の醍醐味を語り合っていました。たくさんの笑顔にスタッフの心も「ほっこり」となりました。
<リポート 関口純>
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