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Blog, イベント報告
2021-12-07

2021年11月14~16日 開智日本橋学園中学校2年生「森のフィールドワーク」

 開智日本橋学園中学校の2年生が、探究活動のひとつである「森のフィールドワーク」のために富士山の青木ヶ原樹海へとやってきました。今年は6月にも昨秋行うことができなかった3年生が「森のフィールドワーク」を実施しましたが、6月の青々とした葉が美しかった森は、この時期黄色や赤に色づいた紅葉の森に移り変わり、フィールドもかなり様変わりしていました。2年生は初めての宿泊探究活動で、10日ほど前にスタッフの田中が学園を訪れ事前講義を行った際は、生徒さんたちが熱心にメモをとるなど、本番をとても楽しみにしている様子がうかがえました。そして、今回生徒たちが自ら掲げたスローガンは「即時即決」。探究活動にまだ慣れない生徒たちのスローガンは、限られた時間と場所で行う活動にぴったりだと思いました。

 一日目は秋晴れの富士山に出迎えられ、スタートしました。私たちは青木ヶ原樹海と大室山のふもとを散策しながら、生徒さんたちが色々な自然の現象を見つけることができるように案内しました。

 樹海に入ると、すぐさま「コケがきれい」という声が上がりました。都会でも公園の片隅や塀などにコケは生えていますが、森の中一面生えているコケの様子は印象的なのだと改めて感じました。

 探究活動の始まりは、まずは不思議を感じること、日常生活ではなかなか目につかない自然に目を向け、自ら不思議だなと感じることで、より多くの気づきが生まれます。自然の中は教科書には載せきれないほど、不思議の集まりです。未解明なこともたくさんあります。気づきから疑問が生まれ、問題意識が高まっていきます。与えられた問いではなく、自ら問いを見出すことが肝心で、私たちもできるだけ生徒さんたちが広く関心を持てるように樹海の案内を進めました。そしてできるだけ多くの疑問を書き出すことを目指しました。

 チームごとに多くの疑問を持って宿舎に戻り、それぞれの疑問をぶつけあいながら、最終的にチームメンバー全員が納得のひとつのテーマに絞り込みました。その後、疑問に思ったことに対して自分たちなりの仮説をたて、森での検証作業の方法などを話し合い二日目に向けた準備を完了しました。この間、私たちも子どもたちの質問に向き合いながら検証計画をより具体的に一緒に考えました。

 二日目は再び森に行き、一日目にグループで話し合った「疑問の検証作業」をサポートしました。いざ森に入ると対象範囲が広いからか、検証にとまどうグループもあり、何に疑問をもって仮説を立て検証したいのか、じっくり聞くことを大切にしました。すると、「仮説が間違えているのかな」と心配する生徒さんの声も。「仮説が間違っていたと気づいたのも大きな発見ですよ」と、仮説にとらわれない検証作業を支援しました。70本ほどの木を調べ粘り強くより多くの現象を集めたグループや、基準や定義をグループなりに考えて比較するなど、検証作業は多岐にわたりました。

 二日目の午後は検証結果をまとめ、考察へと作業を移すグループが多かったのですが、「午前と午後で太陽の光は変わるので、そこを検証したい」というグループもいて、午後も現地での活動をサポートしました。その後、翌日の発表会に向けて模造紙にまとめの作業をする生徒さんたちに、私達もその様子を伺いながら、必要に応じてアドバイスを行いました。夜遅くまで本当に生徒さんたちは熱心に頑張っていました。この作業を頑張ることで、やりぬく力が付いていくのでしょう。

 そしていよいよ三日目。発表です。発表の準備も万端で、前を向いてグループひとりひとりが担当したところを発表する姿勢は、いつも素晴らしいと感じています。それぞれが関わって作り上げた探究活動の発表の場は質疑応答も多岐にわたり、「森のフィールドワーク」の最後を飾る感動の舞台となりました。

今回のフィールドワークで探究のテーマになった一例を紹介します。

  ・ツガサルノコシカケの大きさは何に関係しているか?

  ・カシノナガキクイムシはなぜナラの木を好むのか?

  ・倒木は周辺の植物の成長にどの程度影響を与えているか?

  ・大室山と樹海とでミズナラの根の生え方が違うのはなぜか?

  ・木の分かれ目の高低差には、どのような環境の違いが影響しているか?

  ・枯葉の色の違いは?

  ・新しい木が生える条件にはどのようなものがあるか?

  ・富士風穴付近の岩盤にはなぜ木が育つのか?

 今回の発表では、検証ポイントを地図上に明記するなどの工夫があり、どこでどのような検証を行ったのか、聞いている側もイメージしやすくなりました。また、発表資料は、メインの模造紙以外に、補足資料もたくさん添えられました。 これは観察内容、検証内容がより精緻化し、より分かり易い発表を目指した努力の結果と言えましょう。

 開智日本橋学園中学の「森のフィールドワーク」をサポートする度に、私たちもより深く森と対峙して行かねば・・・と考えさせられます。「森のフィールドワーク」はこれからの地球環境問題へと発展できる活動となるので、未来を担う中学生たちが森について今後も関心をもって成長していってほしいと思わずにはいられません。調べ学習で終わらない、探究活動のサポートは私たちにとってもとても貴重な機会になっています。開智日本橋学園中学のみなさん、ありがとうございました。

<リポート 関口>

参考> 開智日本橋学園中学校 サイト情報

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