2023-09-02 |
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イベント報告
聖ヨゼフ学園小学校様の1年生~4年生の各体験学習をNPO法人富士山ネイチャークラブがサポートしてきましたが、コロナによる制限で自粛されてきましたが、本年度より全面的に活動が再開されました。その第1弾で3年生が富士山麓で「自然体験学習」を実施しました。3年生は入学後初めての宿泊体験学習になりましたが、ずっと楽しみにしていた活動とのこと、子どもたちの積極的な活動が印象的でした。
■6月29日 「精進湖自然観察路」 自然学習
精進湖自然観察路は、富士山の側火山である長尾山中腹から流れた出た溶岩台地の中に作られた観察路です。スタート地点は樹海の深い森の中、大きな岩の山、大きな穴、少し歩いただけでまわりの光景は上下にうねった大地が続き、木々がうっそうと生い茂っています。暑い日でしたが、森の中は涼しいねと話しながら歩きました。
「富士山は火山だよ!」「山のでき方知っているよ!噴火して山になるもの、大地が盛り上がって山になるもの」と、ひとりの子どもさんが説明してくれました。先生も火山について詳しく話す子どもを見て驚き、とても感心していらっしゃいました。
そして不思議だなと思った所では、立ち止まりじっくり観察を行いました。先生が写真を撮り、みなでワイワイ話し合います。割れ目が入った大きな岩がたくさんありましたが、「すごい迫力だよね」「かっこいいよね」と、盛り上がっていました。道にもいろいろなものが落ちていて、何だろう?と見つけてくれました。木の実がふたつにきれいに割れているもの、葉っぱが小さくクルクルに丸まっているもの、エビフライのような形の松ぼっくり、など色々観察できました。
後半は、溶岩が湖に流れ込んだ様子が分かる湖畔沿を歩きました。小さな枕状の溶岩や入り組んだ溶岩流の形、水蒸気爆発でできた湾など、初めて見る自然の姿に歓声が上がっていました。聖ヨゼフ学園小学校の子どもたちは色々な気づきから発言も多く、他の人のお話しもしっかり聞くことができます。お互いに学び合う雰囲気が出来ています。
一人一人、富士山麓の大自然で体験し、学んだことは、今後の成長の礎になるでしょう。
■6月30日 「バードコール作り」
翌日は、記念の作品作りとして「バードコール」を作りました。自然木を加工し、ボルトをねじ込んで、ヒモを通し、最後に絵付けをして、世界で1つの作品作りを楽しみました。
<リポート 関口東子>
聖ヨゼフ学園小学校 サイト情報
小学校|聖ヨゼフ学園 (st-joseph.ac.jp)
2023-08-26 |
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イベント報告
附属浜松小学校5,6年生の「林間学校」が7月25日、26日、朝霧野外活動センターを拠点に実施されました。その初日、4つのコースに分かれて、自然体験活動が実施されました。
①二ツ塚コース
標高1,804㍍の二ツ塚登山に参加したのは34名。標高1,440メートルの富士山御殿場口新五合目を出発。登山道入り口の鳥居の前では、柏手を打って登山の安全を祈願しました。
登山開始からまもなく、樹林帯を抜けると一気に目の前が開けました。森林限界を超えたエリアです。吹き上がる風が心地良く、点在する高山植物の緑の葉がまぶしく感じます。青空と湧き上がる雲の中に富士山頂がそびえ、目指す二つ塚がその姿が目の前に飛び込んできました。さあ、本格的な登山の開始です。「え~遠い」「頂上が近くに見えてすぐ行けそうな気がする」などいろいろな声がありましたが、火山灰(スコリア)の小石をものともせずどんどん高度を上げていきます。5年生も負けじと体力のある6年生の背中を追いかけます。
登山開始から約1時間20分、靴ずれに苦しむ子どももいましたが、全員無事山頂に到着。広い山頂を飛び跳ねるように散策し、登頂の喜びを爆発させていました。
二ツ塚は側火山の噴火で出来た山。ガイドから山のなりたちを聞き、「なるほど」と納得した表情も見せてくれました。
下山は火山灰がより深い砂走りの道を進みます。火山灰はさらに深くザクザクで、足を付いてもブレーキが効きません。それならばと重力に任せ下ります。まるで走っているのも同然です。それが楽しいのか、脇の斜面に登っては下りるを繰り返す子どもたちもいました。
下山開始から約30分でもうバスが待つ駐車場に戻ってきました。手足、顔も火山灰で真っ黒クロスケ。でも、みな笑顔、笑顔です。「友達と登れて最高、また来たい」「高い山なのに昆虫がいてビックリ」「今度は(富士山)山頂を目指そうね」……と最高に満足した声がたくさん聞かれました。
<リポート 関口純>
②宝永火口コース
朝方浜松を出発した33名の子供達が元気に富士宮登山口5合目に到着しました。ここから富士山最大の噴火口である宝永火口を目指します。バスを降りると「ここは高いな- 富士山は大きい!」「空気の薄さは感じません」「風が気持ちいい」「景色が最高」などなど、第一印象の言葉が続き、これからの登山に向けて益々意気が高まっていました。
トイレを済ませ、準備体操を行い、高山病にならないための工夫、登山の注意事項を共有して、いよいよ出発です。新六合目の山小屋まで、ゆっくり登って行きます。
新六合目を過ぎるとイワツバメ、ミヤマオトコヤナギ、オンタデ、コタヌキラン、イワオウギ、コケモモ、などなどの高山植物が目を楽しませてくれました。
更に進むと、目の前に大迫力の宝永第一火口の噴火口(直径1200m)が現われ、一斉に大きな歓声が上がりました。そこから噴火口の底まで下って、それぞれが思い思い場所でこの瞬間を楽しみました。
帰路は、第二火口の縁まで下って、そこから富士を見上げながら宝永火口に別れを告げました。
全員無事に富士宮登山口五合目に戻ってきました。「今日は感動の連続だった」「高度に順応出来た」「宝永火口は想像を遥かに上回る規模だった」「とても楽しい登山でした」「2400mは涼しい」「来年もこのコースに来ます」などなど、充実の体験だったことを語ってくれました。
<リポート 田中>
③紅葉台/三湖台コース
当日は快晴の中、36名の子供達がスターチ地点の鳴沢氷穴に到着しました。青木ヶ原樹海から紅葉台、三湖台を目指します。青木ヶ原樹海は、864年に富士山の中腹から流れ出た溶岩台地に神秘的な原生林となったものです。樹海コースは木陰が続き夏でも涼しさを感じます。コース途中、キノコをいくつも発見、興味津々でした。鮮やかに開いたタマゴタケを発見。食べられるキノコや毒のキノコについて話しが盛り上がりました。
樹海を抜けると次は紅葉台へ。鹿が樹皮を食べた後やイノシンが土を掘った後、山椒の葉の香りを嗅いだりして、自然の営みを体験しました。カミキリムシも見つけました。
紅葉台のレストハウス展望台で一休み。ここの展望台に上り、くっきり見える富士山をバックに記念撮影。ここからの富士の眺望は大迫力です。麓まで伸びた稜線がとても綺麗ですね。
そして、今日の目的地、三湖台に元気に到着。広大な青木ヶ原樹海を一望し、当時の噴火の凄さを実感しました。溶岩流によって今の形になった西湖や本栖湖も確認することが出来ました。
<リポート 上岡>
④精進湖自然観察路コース
浜松を出発して11:30に到着した26名。まずは、精進湖の涼しい木陰で富士山と精進湖を眺めながらのお弁当タイム。
その後、湖畔にてレクチャー開始となりました。ここからの富士山は、最大の側火山大室山を抱く「子抱き富士」。これから湖のあちら側に行くんだよ。向こうに岸に広がっているのが、これから行く「青木ヶ原樹海」です。
この日の樹海は木漏れ日がきれいでした。両側に大きな溶岩の出っ張り(テュムラス=溶岩塚)や溶岩の陥没抗(溶岩チューブ)など、初めて見る千年前の富士山の噴火のダイナミズム。そんな中を歩いているだけでもテンションが上がります。
突然、目の前に湖が!
先ほど逆側から眺めた精進湖が森の中に広がります。「え? さっきと色が違う!」良い感性ですね。青かった湖がグリーンかかって見えるよ。
「釜畑」と名付けられた見学します。灼熱の溶岩流がかつての「せの海」に流れ込み水蒸気爆発して丸い湾のようになってしまいました。どれだけのエネルギーか想像もつきません。
やがてぐるりと自然観察路を周ると、再び富士山が。ここで記念撮影です。ゴールまで、あと少し。
やがてスタート地点に戻ってきましたが、ここからスペシャルな寄り道をします。最後に皆さまに見て頂きたかったのは・・・・・「溶岩ローブテュムラス」。 湖に長く伸びた溶岩流の真ん中がぱっくり割れて、そこを歩いて先端まで行きました。
千年前の噴火の爪痕? いえいえ贈り物? これだけ大胆な溶岩地形が残されているのは、ここ、湖だからです。最後は「精進湖組」で記念撮影して、14:30無事にコースは終了致しました。それぞれの胸に、樹海と湖と富士山の煌めきが今でも輝いていることでしょう。
<リポート 舟津川>
2023-08-15 |
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イベント報告
富士山麓で4日間に渡って「林間学校」を実施された日本大学藤沢中学校2年生、この間4つの自然体験プログラムをNPO法人富士山ネイチャークラブがサポートさせて頂きました。その活動の模様をリポートいたします。
■7月30日 「富士山吉田口登山(馬返し~スバルライン五合目)」
現在、登山者のほとんどは富士スバルライン五合目から富士山頂を目指しますが、今回のハイキングは富士山の麓「馬返し」からスタートし、富士スバルライン五合目がゴールです。富士山は神様・仏様が住む神聖な山として、古くから崇められてきました。江戸時代富士山を信仰する人々が歩いた巡礼路を辿りながら、富士山の自然を満喫しました。
スタート地点の馬返しは標高1450m。茹だるような暑さが続く麓とは違い、空気は冷んやりとしていて登山には最適のコンディションでした。
三合目では、眼前に広がる山々の景色を眺めながらのランチタイム。その昔富士山を信仰する人々も、三合目で食事休憩を取ったそうです。
途中、古富士の表面が露出している珍しい場所があり、水が染み込むかどうかの実験を行いました。実際に歩いてみなければわからない、富士山のユニークな地質・自然を体感しながら、歩みを進めていきました。
四合五勺からは岩場が多くなり、いよいよ本格的な登山道へ。空気も徐々に薄くなり疲労も溜まってきてはいましたが、全員無事標高2305m富士スバルライン五合目へゴールすることができました。スバルライン五合目では、標高差855mを完登した証しとして「登山証明書」、記念の「富士山バンダナ」が手渡されました。
■7月30日 「ナイトハイク」
19時、ホテルの玄関に集合しいよいよナイトハイクに出発です。今日のナイトハイクは懐中電灯を持っているのはガイドと先生のみ、生徒さんは自分の目を信じて行動します。先ずは薄明かりが残っている中、鳴沢ジラゴンノ溶岩流の様々な活動の形跡を観察しました。そして辺りが暗くなり始めたころ、ゆっくりと森の中に入っていきました。闇夜でも人間はどこまで見えるか、行動出来るかが、この体験のテーマです。「ソロウォ-ク」「静粛タイム」「森の散策」など 最後まで緊張の連続となる体験となりました。「見えた!」と言う人。「全く見えない!」と言う人、それぞれでしたが、お互いに協力することで、闇夜でも行動出来ることが体験出来ました。
■7月31日 「チームビルディング」
晴れ渡る富士山麓「鳴沢活き活き広場」でクラスを超えた学年全体の親交、連帯を深める「チームビルディング」を実施しました。
第1部「フレンドシップゲーム」、第2部「ネイチャーラリー」の2部構成で実施しましたがすべてクラスマッチ方式としました。学年全体の親交・連帯を図りつつ、クラスで活動成果を競う仕組です。生徒さん達は最後まで真剣勝負が続きました。
「フレンドシップゲーム」では、挨拶ゲーム、富士山クイズ、タイムセンスゲームなどでゲームを楽しみながら親交を深めました。とは言っても、活動の成果が点数化されるため、クラスごとに勝利を意識した活動が展開されました。
15分間のクーリング時間をとって、第2部の「ネイチャーラリー」がスタートです。ここからは5,6人のグループ活動になります。原始時代を想定した8つの課題に挑戦し頂きました。活動の模様を写真でご紹介します。
計3時間の活動があっという間に終了となりました。最後の最後までクラスの優勝を目指して真剣勝負している生徒さんたちの姿はとても精悍でした。原始時代に生きた前人たちの苦労や知恵が体験出来たと思います。そして、人の営みの原点がそこにあったことも実感頂けたと思います。
2組が圧倒的な点数で優勝となりました。おめでとうございました。当団体より表彰状を授与させて頂きました。
■7月31日 「鳴沢コウモリ穴 洞穴探検」
ここにはいくつかの洞穴が密集して存在します。グループに分かれて4つの洞穴の入洞体験と合せ、「富士山の溶岩の特徴」や「富士山に住む動物たち」のレクチャーも実施いたしました。自然のままの洞穴であり、入洞するには体力も身のこなし(工夫)も求められます。どうクリアーするか・・・グループ全員で知恵を出し合い、助け合う場面が随所で見られました。
■最後に
7月30日、31日の2日間に渡って、4つの自然体験プログラムをサポートさせて頂きましたが生徒さん一人一人にとってどんな体験になったでしょうか。
洞穴探検でライトを消して暗やみを体験する場面がありましたが、ある生徒さんから「全く見えない! でも先人達は見えていかかも。もしかして人間の身体機能は退化しているのではないか?」との指摘がありました。体験を通して率直に思い得た気づきの瞬間でした。
自然体験活動で見たもの、体験したものはすべて事実です。この事実から「新たな気づき」「疑問や課題の発見」「見方、考え方の変化」「創意工夫」などがあったとすれば、必ずや今後の成長への礎になることでしょう。 この2日間の体験活動が一人一人の生徒さんの成長の機会となったならば大変光栄です。日本大学藤沢中学校2年生の皆さん、2日間大変お疲れ様でした。そしてありがとうございました。
<リポート 湯山、田中>
日本大学藤沢中学校 サイト情報
日本大学藤沢高等学校・藤沢中学校 (nihon-u.ac.jp)
2023-08-15 |
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イベント報告
本年度から杉並区立小学校の内、29校の5年生が山中湖村を拠点にした「富士移動教室」を本格的にスタートしました。7月11日、夏休み前、前半最後の実施校となった井荻小学校様の活動の模様をリポートします。
■明神山登山コースの構成
第1区間:登山道に入る前の平坦路
第2区間:緩やかな登り
第3区間:急な登り
第4区間:緩やかな下り・登りで明神山頂上に至る
第5区間:頂上から急な下りでゴール
となっており、とても変化に富んでいるコースです。そしてなんと言っても明神山頂上での大パノラマが待っています。
■また、多彩な自然観察が出来ます。
◇山の出来方
明神山は丹沢山地に属し、約500万年前フィリピン海プレートに乗って太平洋沖合から接岸した山、一方、現在の富士山は約1万年前に噴火して出来た山。この違いを対比して観察します。
◇標高1000mの植物
・広葉樹(ブナ、ミズナラ、ヤブウツギ、ツクバネウツギ、アブラチャン、ゴマギ、ヤマツツジ、ミツバツツジ、マユミ、サンショウ・・・)
・針葉樹(アカマツ、カラマツ、モミ、ヒノキ・・・)
・野草(マムシグサ、トリカブト、フタリシズカ、バイケイソウ、リンドウ・・・)
・その他(キノコ各種、サルオガセ、苔類・・・)
◇動物(痕跡)、野鳥
・シカ、イノシシ、タヌキ、リス、ムササビ、ヒガラ、キビタキ、ウグイス・・・
井萩小学校の5年生約80名が登山道入口でバスから降りると、目の前には、今日登る明神山の登山ルート全体が視界に入ってきました。はやる気持ちを押さえながら、先ずは「準備体操」を行って体をほぐします。9:00にスタート、しばらくは平坦な道を山に向かって歩いて行きます。途中、サンショウやゴマギなどの香りを楽しみました。
登山道に差し掛かると、「ナラ枯れ」の状況を観察したり、シカの骨を発見したり、マムシグサ、トリカブト、フタリシズカ などが現われ、森の営みを体験することが出来ました。ブナ林では、ブナの実を拾って、「これは、熊の大好物だよ」との説明に、「これでお腹いっぱい食べるのは大変だなー」との感想が。
「切通峠」で一休み、明神山の尾根を目指して上がって行きます。
尾根に到着すると、いよいよここからこのコースで最大の難所(急な登り)に挑戦します。井荻小の子供達は、クラス毎に一丸となって登っていきました。途中疲れた生徒さんの荷物を持ってあげたり、お互いに励まし合ったりと、クラス全体が協力し合って登っていく姿はとても感動的でした。挑戦は成長の源泉!を強く感じる場面でした。
急登を過ぎると、下り道になり、疲れも一気に回復し、元気に頂上を目指しました。緩やかな登山道では会話も弾みました。「今日の登山は本当に楽しい」「色々自然を学べた」「ここの自然はとても気持ちが良い」「思ったより頑張ることが出来た」「自分の体力に自信がついた」「次は両親と登りたい」などなど、体験中の印象を素直に表現してくれました。
歩き始めて2時間45分、目指した明神山の頂上に全員元気に到着しました。大パノラマの出現に大きな歓声が上がりました。頑張って、苦労して登ってきたことがより大きな感動につながったと思います。
「日本とは思えない景色だ」「初めて体験する景色だ」「一気に疲れがふっ飛んだ」「富士山が綺麗」「山中湖はクジラの形だ」などなど、この場に立って初めて出てくる言葉が続きました。
田中校長先生から「このコースは、とても教育的効果が高い」とのコメントを頂き、案内したスタッフ一同の大きな励みとなりました。9月から、後半の活動が始まります。この体験が子供達一人一人にとって成長の機会となるよう全力でサポートしていきたいと思います。
<リポート 田中>
2023-06-15 |
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イベント報告
「楽しみにしていた富士登山でしたが、青木ヶ原樹海でもいろいろな体験をしましょう」と開会式で元気よく挨拶された代表の生徒さん。あいにくの天候で、「富士山五合目中道ツアー」が変更され、「青木ヶ原樹海の体験学習」が行われました。
先ずは「コウモリ穴入洞」からスタートし、その後ゴールの「野鳥の森公園」まで、青木ヶ原樹海の自然について体験学習して頂きました。
体験学習は「なぜ?」「どうして?」「不思議だ!」などの気付きから始まります。好奇心や積極的な姿勢がその源になりますが、生徒さんからは様々な感想、疑問、質問がありました。その都度ガイドを交えて積極的なディスカッションが行われました。
・一番最近の富士山噴火は? “宝永噴火!江戸時代!”と即答の生徒さん
>側火山であることも知っていました。すごいね。
・青木ヶ原樹海の第一印象は? “青い” “綺麗”
>青木ヶ原樹海の特徴を見事に表現されました。
・樹海の中には、様々な溶岩の造形が。盛り上がったところ、割れたところ、穴になったところを見て、“すごい”“かっこいい”
>ダイレクトな感想ですね。
・“鍾乳洞の天井は凸凹していたが、コウモリ穴(溶岩洞穴)はあまり凸凹していなかった”
>洞穴の出来方の違いに早速気付いていました。
・コウモリ穴(溶岩洞穴)の第一印象は? 即座に “寒い!”
>なぜ、寒いのか・・・皆で考えてみました。
・縄状溶岩流を見て“これは「WiーFiマーク」だ”
>発想の豊かさに感動。なるほどなるほど! どちらも波の形ですね。
・“一つの溶岩洞穴の中でもツルツルの表面、縄状の溶岩、天井から溶岩が垂れた跡、壁からずり落ちた溶岩などなど、様々な現象があることが確認出来ました”
>ではなぜ、そのようなことが起きたのでしょうか? ガイドの説明に納得の様子でした。
・“コウモリは哺乳類唯一の自力飛翔できる生き物だよ”と解説してくれた生徒さん。
>お見事です。
・“樹海の中では磁石が効かないと聞いたが、本当ですか?”
>では、実際に磁石を近づけて見ましょう。 確かに回った! でも、ちょっと遠ざけると磁石は正常に動くことも確認出来ました。
・“磁鉄鉱は知っています”と複数の声が。
>近づけると磁石が回る理由に納得の様子、そしてすべての溶岩が回る訳ではないことも理解出来ました。
・松ぼっくりを食べた跡(森のエビフライ)を発見して“これはリスが食べたものだよ”と解説する生徒さんが複数いらっしゃいました。
>松ぼっくり(ツガ、アカマツ、ゴヨウマツなど)のエビフライを皆で探す姿はとても微笑ましかったです。
・松ぼっくりが岩の隙間にいっぱい積んであるのを見て“これはリスの仕業だね”
>細かなところに注目できました。リスの生態をご存じのようでした。
・シカが樹皮を食べた跡をみて “木が枯れてしまわないのか?”と心配の声が。
>枯れてしまった木と生き残っている木を比較してみましょう。
・植物が生きるための条件は? すかさず“水分、養分、光”と回答。学校で習ったとのこと。
>樹海は植物にとって非常に厳しい環境にあることを実感しながら、 樹海の「森の変遷」について事例検証しました。
・ギンリョウソウを発見すると“この植物はキノコから栄養もらっている”と説明してくれた生徒さん。
>その通り、秋になると近くにキノコが出る可能性がありますね。
以上の他にも、色々な発見から、話が盛り上がっていました。
ひとつのグループでは鳥の卵を2つも見つけました。ともに孵化したあとのものでひとつは青みがかっていて、もうひとつは白でした。生徒さんたちの顔がパッと輝いた瞬間でした。言葉で語って伝えるより、その時その場で出会う、現象、現物を確認することが圧倒的に感動を共有出来ることが実感できました。青と白の違いは謎のままでしたが、生徒さん達が今後解明してくれることを期待します。
ゴールの野鳥の森公園
たくさんの “なぜ?” “どうして?” “不思議だ!” の気づきが生まれた体験学習でした。自然体験学習においてこの気づきはとても重要で、そこからそれぞれの発見や意見について、お互いに考え、学び合うことができるからです。どんな小さな発見も躊躇せず発言してくれた堀兼中学校の生徒さん、ありがとうございました。みんなの気づきから自然体験学習は何倍も面白く、そして学びの幅を広げることが出来ることを改めて感じることができたツアーになりました。
<リポート 関口、田中>
2023-06-14 |
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イベント報告
新緑が美しい富士山麓に横浜市立新井中学校1年生の皆さんが「自然教室」でいらっしゃいました。入学して間もないこの時季の宿泊旅行でしたが、活き活きとした生徒さんたちの表情には中学生になった自覚や中学生生活のスタートに向けた希望に満ちあふれていました。
初日の午後、ホテルのホールで「草木染め」を体験して頂きました。現在、主流となっている化学染料は江戸末期に日本に入って来ましたが、それ以前は自然素材(植物、岩石、生物)を使った染めが行われていました。そもそも色の付いた布は貴重で高価でした。身分の高い人の衣類の生地として、更にはお守り、おまじない、魔除けの役目も果たしていました。
草木から染め液を抽出した「草木染め」は古くから伝わる日本の伝統工芸として受け継がれて来ましたが、今回、この古来の技を体験して頂きました。
染め液は「マリーゴールド」から抽出したもの使用しました。当法人のメンバーが畑で育てたマリーゴールドを秋に刈り取り、それを刻んで煮出して抽出した染め液です。染める布は「バンダナ」。
先ずは「バンダナ」に輪ゴムを巻いて「模様付け」を行います。模様の出来上がりを想像しながら、強く巻いて色の境目をはっきりさせたり、緩く巻いてぼかしたりと作業を進めていきます。個性が大いに発揮される場面です。色々な発想が入り混じって模様が出来上がっていきます。“いやー、もうどんな模様になるか想像付かなくなってしまった!”と生徒さんの正直な声が。
模様付けが終わるといよいよ染めに入ります。染め液に浸けて、媒染液(ミョウバン水)に浸ける・・・・これを何回か繰り返していくと、徐々に「マリーゴールド」の黄色に染め上がってきました。
色が落ち着いたとこで、いよいよ輪ゴムを外し、そこに描かれた模様とご対面です。素晴らしい作品が出来上がりました。
生徒さんからは“染め液が臭かった”“全く想像外の模様が出来た”“とても良い色が出てきて楽しかった”“この作品に満足している”などなど率直な感想を伺うことが出来ました。また、「もの作り」は楽しい! 自分の感性が表現出来た! 自然素材で作った作品は環境にも優しい! などなど「草木染め」体験から新しい気付もありました。やってみて初めて分かることが沢山あります。これからも色々なことに挑戦して感性を高めていって欲しいと願いつつ、生徒さんたちとお別れしました。
<リポート 田中>
2023-06-13 |
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昨年に引き続き、今年も横浜市立名瀬中学校のみなさんと「樹海~三湖台」へ行って来ました。スタートは富岳風穴、そこから青木ヶ原樹海の森を抜けて足和田山系の三湖台に至るトレッキングルートです。
樹海の体験は初めてとの生徒さんが多い中、「青木ヶ原樹海のイメージは?」と聞いてみると、「怖くて暗いイメージ」という生徒さんの声がほとんどでした。
先ず、富岳風穴に入洞しましたが、「森の中にあんなに大きな空間(洞穴)があるなんて」「中は寒くてびっくり」などと驚きの声が上がっていました。溶岩洞穴の成立ちに興味津々の様子でした。青木ヶ原樹海は平安時代初期の864~866年の貞観噴火が由来で、この時、大量の溶岩を富士山は噴出しました。溶岩が流れて表面が冷えて固まり、内部は高温のまま流れ続け、トンネル状の穴ができあがるのです。樹海には溶岩洞穴が100個以上あると言われています。
森を歩きながら、それぞれの班で決めた「テーマ」に沿って自然観察を進めて行きました。「キノコ」がテーマの班は、1センチにも満たない小さなキノコも見逃さず、熱心に写真を撮っているのが印象的でした。溶岩台地の起伏の激しい厳しい環境の中にあっても木々やキノコがしっかり育っていること、また、リスやネズミの食痕なども観察することができました。
樹海を抜けると、森の雰囲気が一気に変わります。「見渡せる感じ」「明るい」と生徒さんたち。足和田山系は、富士山よりもずっと前、約1000万年前に海から隆起してできた山で、ヒノキやツガなどの針葉樹が多かった樹海に対し、ミズナラやミズキなどの落葉樹の森になります。
ここから少しずつ登っていくと、すばらしい景色が広がります。この日は晴天で数日前に富士山に降った雪の白さと空の青のコントラストがとても美しい光景を作りだしていました。
ひとつめの展望スポット、「旧紅葉台」で初めて富士の勇姿が表れ、大きな歓声が上がっていました。
そして二つ目の展望スポット「紅葉台」では感動の大パノラマが広がっていました。
さらに登っていくと三湖台山頂になります。広大な青木ヶ原樹海、西湖、本栖湖を見渡せ、樹海の広さを実感することができました。もちろん富士山の眺めも最高でした。
ゴールでの振り返りでは、「樹海の暗いイメージはなくなったかな」と感想がありました。青木ヶ原樹海というひとつの森が生まれた時期や成立ちを学びながら現地、現物を体験して頂きましたが、班で掲げた「テーマ」に沿ってひとりひとり新しい発見ができたようで、とても嬉しかったです。これからもさまざまな自然に目を向けて、体験を積み重ね、感性を磨いていってください。
<リポート 関口>
2023-05-26 |
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イベント報告
入学してまだ1ヶ月程の横浜市立茅ケ崎中学校1学年の皆さんが「遠足/野外活動」で箱根にいらっしゃいました。自然豊かな森に囲まれた「レイクアリーナ箱根」のグラウンドおよび周辺の自然遊歩道を利用して、クラス及び学年全体の親交と連帯を深める活動に取組まれました。
澄み切った青空と新緑の森が皆さんの到着を待っていました。8台のバスが到着すると、次々に「おはようございます」の元気な声が飛び交い、この日の活動に向けた期待と熱意が伝わってきました。
この日の活動は、第1部(午前):班別に活動する「ネイチャーラリー」 第2部(午後):クラス別に活動する「クラスビルディング」で構成され、いずれもクラス対抗戦として総合得点を競います。
会場:レイクアリーナ箱根の芝生グラウンド
■第1部 「ネイチャーラリー」・・・・班活動(1班6人程度)
石器時代(旧、新)を想定して、人類が自然の中でどう生き延びてきたかをゲーム形式で原体験するものです。どうやって獲物(食料)を確保するか! そっと獲物に近づく技! 足跡から動物を特定する能力! 遠くまでヤリを投げる身体能力! 物の重さを特定する感性! 正確に木を加工する技術! 毒を持つ植物を見分ける知識! などなど色々な課題に挑戦して頂きました。
また、自然遊歩道の周回コースでは、豊かな箱根の植物を楽しみながら、5種類の植物探し(出題されたの植物の名前や特徴を記録する)活動も実施しました。
「ネイチャーラリー」は、すべてが班の自主的な活動に委ねられます。創意工夫、チームワークが班の成果(得点)となり、クラスの総合点に貢献します。制限時間ぎりぎりまで熱い挑戦が続きました。
■第2部 「クラスビルディング」・・・・クラス単位で活動
クラスの連帯をより深める活動としてフィールドゲームを実施しました。活動の結果はすべて得点化されるため、よそのクラスの結果を横目で見ながら、真剣な活動が続きました。
「富士山クイズ YES/NO」では、クイズに答えながら、富士山の自然(恩恵と脅威)、文化、地域との関わり、などについて学びました。クラスの戦略が当たり高得点を獲得したクラスもあり、それぞれのクラスで歓声が上がっていました。
「整列ゲーム」では、クラスが一体となって課題の順番に並び変えるゲームです。ここでもそれぞれのクラスの取組みに工夫が見られ、真剣な活動が続きました。
■総合点
第1部、第2部を合せた総合得点で。744点を獲得した3組が見事優勝となりました。3組の皆さんおめでとうございました。
■最後に
学校様が掲げたこの遠足の目的は ①集団行動<自覚を持った行動> ②親睦と仲間づくり<生徒・教師・クラス・学年> にありました。富士山ネイチャークラブがサポートさせて頂いたこの日の活動が、目的に叶うものになったなら大変光栄に思います。
<リポート 田中>
2023-05-26 |
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イベント報告
大妻多摩中学校は、入学間もない新入生の「オリエンテーション」をこの時季に富士山麓で実施することが恒例になっています。今年も4月20日~22日の3日間に渡って実施されました。
「オリエンテーション」の一環として自然体験プログラムが企画され、その活動を富士山ネイチャークラブがサポートいたしました。
■初日(4月20日) 「チームビルディング」
快晴の中、新入生約150人が鳴沢村の「活き活き広場」に集い、自然体験活動を通してクラス、そして学年全体の親交と連帯を図る「チームビルディング」を実施しました。
第1部/第2部構成で実施しましたが、それぞれの活動結果は得点化され、クラスマッチで競って頂きました。
第1部「フレンドシップゲーム」
身も心も解放して、クラス/学年全体の親交を一気に深めます。「挨拶ゲーム」では、学年全体で1月~12月生まれの人を探して挨拶するゲームです。入学間もない生徒さん達は大半が初めて会話する人ばかり、このゲームを通して10人を超える学友と知り合いになることが出来ました。この日の出会いは、必ずや今後の学校生活を豊かにしてくれることでしょう。
引き続いて「富士山クイズ YES/NO 」にも挑戦して頂きました。クイズに答えながら富士山の自然や文化、地域産業との関係などについて学んで頂きました。
第2部「ネイチャーラリー」
原始の時代(旧石器時代~新石器時代)の暮らしをゲーム化した体験活動です。グループ(6人程)で力を合わせて、8つの課題(ポイント)に挑戦して行きます。最も原始的な暮らしぶりを体験することで、持続可能な世界(地球)の今後を考える機会となったことでしょう。
クラスマッチは、844点を獲得した「4組」が見事優勝となりました。4組の皆さん、おめでとうございました。
■2日目午前 「富士山講話」
ホテルのホールにて座学「富士山講話」を実施しました。副題は「富士山を学んで自然のことを考えよう」でした。標高0m~3776mに至る富士山は、本州の自然体系が集約されて存在する貴重な山と言えます。この富士山の自然やその変化を学ぶことで、自然環境(地球環境)の課題に気付き、今後の取組みへの起点となることを願っています。
■2日目午後 「青木ヶ原樹海自然探究ツアー」
午前の講話に引続き、午後からフィールド学習として「青木ヶ原樹海自然探究ツアー」を実施しました。イメージしていた樹海と実踏して探究した事実に、大きなギャップがあったようですが、改めて現地、現物を確認する事の大切さが理解されたと思います。
最後に
大妻多摩中学校新入生「オリエンテーション」の一環として、チームビルディング活動、自然探究ツアーをサポートさせて頂きましたが、今年の新入生も大妻の伝統を受け継ぐに相応しい礼儀作法と笑顔がとても印象的でした。サポートしたスタッフからも、「今年の大妻多摩生も本当にすがすがしい生徒さん達だった」との声が多くありました。
大妻多摩中学高等学校様は、教育理念として「自立自存」「寛容と共生」「地球感覚」を3つの柱として掲げられています。今回の活動サポートがその一助になったとしたら幸いです。
<リポート 田中>
大妻多摩中学校 サイト情報
大妻多摩中学高等学校 (otsuma-tama.ed.jp)
2022-12-09 |
Blog,
イベント報告
富士五湖地方を紅葉が染め上げていたこの日、森村学園中等部1年生の皆様を「青木ヶ原樹海と溶岩洞穴」にご案内させて頂きました。
ご案内した「西湖コウモリ穴~野鳥の森公園」のコースは、現地で最も奨励されているモデルコースとなっていて、2時間というガイドウオークで富士山の造り上げた火山活動による大自然の奥深さに触れることができます。
この日のプログラムは選択制とのこと。4つプログラムの中で最も人気があったそうです。前日の活動では(やはり選択制だったそうです。)「金時山に登ったんです!」という元気で自然大好きな生徒さんもいらして、「なかなか良いチョイスですね。」と、こちらもテンションが上がります。
箱根火山帯に属する30万年前の成層火山である「金時山」と、まだ新しい火山である富士山のしかもわずか1200年にも満たない噴火の溶岩上に形成された「青木ヶ原樹海」と、どこがどのように異なるのか、そしてそれは何故なのか、自然は謎に満ちていますが比較していくことで大いなるヒントが得られたことでしょう。
全体の概要をお話ししたのち、まずは「西湖コウモリ穴」に入洞します。青木ヶ原樹海には100以上の溶岩洞穴が発見されていますがこちらはその代表的なもの。森林生態系の一員である(大切な役割を担う)「コウモリ」が多数生息していることでこちらの洞穴とコウモリは天然記念物として保護されています。
このような溶岩洞穴が富士山の火山噴火によってどのように出来たのか、「溶岩チューブ潜り体験」や「縄状溶岩の観察」を通して考え、学びます。
40分ほどの溶岩洞穴体験のあと、いよいよ青木ヶ原樹海の探索に向かいます。
森にはその森の主人公の樹種があって、例えば世界自然遺産の「屋久島」では「屋久杉」、同じく世界遺産の「白神山地」では?
「ブナ!」
元気よく答えてくれた生徒さんがいて嬉しくなりました。そう、だけどこの森にはスギもブナもなくて、ここの主人公はね...。
そこでこちらの主人公のご紹介。枝ぶりや幹の特徴などで見分け方をお伝えします。何故、スギやブナがないのか、なども含めてそれぞれの森林生態系の成り立ちやそれぞれの異なる環境のことなど。熱心にメモを取る生徒さんもいらして、「レポートを書かないといけないんです。」 どんなレポートに仕上がったでしょうか。いつか見せていただきたいものです。
この日の青木ヶ原樹海はその名に由来する青々とした針葉樹が広がっていましたが、三割ほどの落葉樹が美しく林床を染めており、「紅葉の秘密」についてのレクチャーもさせていただきました。
また、たくさんの生物の温床でもあります。哺乳類、野鳥、昆虫などなど。その動物たちの痕跡の中で、シカと二ホンリスのお話をしました。特定の種類が減っていく、あるいは増えていく、その原因はどこにあるのか。わたしたち人間だけの問題だけではなく地球環境を考えるSDG‘sにもつながって行きそうなテーマです。
この日のゴールは、「野鳥の森公園」。
到着したとたんに歓声があがります。それもそのはず、青木ヶ原樹海の中では見られなかった深紅のモミジのお出迎え。そして、富士山も顔を出して、最高の秋の一日になったのではないでしょうか。
<リポート 舟津川>
◆参考情報
森村学園 サイト情報
森村学園 中等部・高等部 (morimura.ac.jp)